園や学校、習い事に「行きたくない」という子どもに即答で「いいよ」と言えますか?

園や学校、習い事に「行きたくない」という子どもに即答で「いいよ」と言えますか?
「今こそ!シンプル子育てのすすめ」を連載中の人気教育YouTuberの葉一さんと教育方法学の専門家の中山芳一先生。実際に子育て中のお父さんでもあるおふたりに「子育てで一番大切にしたいこと」を対談形式でうかがいました。習い事など、始めたことを子どもが辞めたいと言ったらどうしますか…?
目次

対談前編では、あふれる子育て情報に踊らさせれることなく、親は取捨選択して、子どもにとって必要な関わりをしていくことの大切さ、そしてわが子への自信を親がしっかりと育む大切さが語られました。

今回は、子どもが何か始めたことを「嫌だ」「辞めたい」と行った時の親の対応について。「おやこのくふう」にも、そういったシーンで悩んだり迷ったりしてしまうママ・パパたちの声がよく届きます。

嫌なことを辞めた先に新たな「好き」が見つかるかも

一度始めたことはできれば続けてほしいと思ってしまいますが…

おやこのくふう編集部 編集部

葉一さん(以下葉一):親はつい、子どもが一度始めたものは続けさせなくてはと思いがちですよね。でも、「やめさせる力」も大事なんです。
たとえば習い事を始めるとき、初回はウキウキだったけど、2回目もそうである保証はありません。子どもってびっくりするくらい興味が変わったりしますよね。子どもってそういうものなんです。
だから「引き返したいな」「辞めたいな」と思ったときに、「いいよ」と言ってあげるのは親の役目で、それができると、子どもも変わってきます。

中山芳一先生(以下中山):「一度始めたことは続けるべき」という考えは、昭和世代の親にありがちかもしれません。自分が子どものときから、そう言われて育ってきているので…。

葉一:「嫌いなものを嫌い」と言える力はこれからの時代は特に必要です。それが言えるからこそ、次の"好き"が見つかる可能性もあります。

私も子どもの習い事について「休みたかったら休んでもいいよ」「辞めたかったら辞めてもいいからね」と言っています。毎週その時間にいつも子どもが元気なわけじゃないですし、親がそういったスタンスでいる方が子どもは心の余白を持ちやすいんです。

中山:私も、学生と接するとき、基本的には逃げ道を残します。葉一さんの言う"余白"にあたりますが、それをつぶしてしまうと子どもは「大人にやらされて」しまうことになります。

葉一:大人は、子どもがいつでも「やめたい」と意思表明できる環境をつくってあげることが大切ですし、その方が子どもたちの物事の継続率は高くなると思っています。

もしうちの子が病気でないのに「学校を休みたい」と言ってきたら、私は即答で「いいよ」と言います。そして「でも、理由を教えてほしいな」と聞きます。
これは順番が大切で、「どうして休みたいの?」と理由を先に聞いてしまうと、子どもはそれでYES・NOのジャッジをされると思い理由を言いづらくなってしまうんですよね。なので、先に「いいよ」と伝えてあげることにしています。

習い事も学校も…親にとって休ませるのはそれなりに勇気がいることですよね

おやこのくふう編集部 編集部

葉一:子どもの言葉にYESと言いたいのに即答できないときは「どうして私はYESと言えないんだろう」と自分自身に問いかけてみるのがよいでしょう。もし、その答えが自分(親)の気持ちの面の問題だったら、自分が処理をすればよい問題ですよね。何が引っ掛かっているのかというのを明確にできれば、親自身も対処しやすくなるはずです。

子どもに関する評価の項目を増やしてみよう!

一方で「辞めたい…」と言われたとき、他の子はちゃんとできているのにと比較して焦ることも多いのではないでしょうか?

おやこのくふう編集部 編集部

葉一:わが子を他の子と比較しないほうがいい、とわかっていても、なかなかそうはいきませんよね。私自身も比べてしまうことはあります。
でも、比べてしまったとしても、それを子どもに向けなければいいんです。他人との比較を子どもに押し付けるか、心の中だけに留めておくかは自分次第です。

そして比較をしないためには、その子の評価項目を増やすというのも大切だなと思います。

たとえばゲームのキャラクターには「攻撃力」「防御力」など…いくつか能力を示す項目がありますよね。ゲームであればその数は決まっていますが、それが人間だったら項目はたくさんあります。すべての項目で負ける子は決していません。

たとえば、運動は得意ではないので5段階で2かもしれないけど、「きょうだいの面倒をみる」「やさしい」「気が利く」などの項目は圧倒的にすばらしい!など。
これらは点数化できない非認知能力なので、他の子とは比べられません。親の中で「すばらしい」と決めたらすばらしいのです。

このように、子どもの評価項目を親自身で増やしてあげると、他の子と比較してもやもやすることが減らせると思っています。

中山:親ができることは非認知能力サイドの項目をどんどん増やして、子どもの良いところを見ていくこと。その項目を増やすためには、やっぱり、親が子どもをよく観察することが必要ですね。

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親にとって習い事を始めるとき以上に悩ましい、子どもからの「辞めたい」表明ですが、重くとらえすぎなくてよいということがわかりました。
また、つい「あれができない」「これができない」とできないことが気になりがちですが、できていることを見つけてたくさん評価してあげられると、親も子も笑顔が増えそうですね。

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監修者

岡山大学准教授 中山 芳一

1976年岡山県生まれ。岡山大学 全学教育・学生支援機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中高学生の各世代の子どもたちが非認知的能力やメタ認知能力を向上できるように尽力している。9年間没頭した学童保育現場での実践経験から、「実践ありき」の研究をモットーにしている。『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(ともに東京書籍)ほか著書多数。最新刊は監修をつとめた『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』(東京書籍)。

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お話を伺った方

教育YouTuber 葉一

1985年、福岡県生まれ。東京学芸大学卒業後、教材販売会社勤務、学習塾講師を経て、2012年から小学校3年生から高校生向けの学習動画を配信。経済的事情から望む教育が受けられない教育格差の解消を目指す。最新刊に『塾へ行かなくても成績が超アップ!自宅学習の強化書』(フォレスト出版)。2男の父。
ホームページ「19ch 塾チャンネルTV」
YouTubeチャンネル「とある男が授業をしてみた」

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