天真爛漫で無邪気な子どもの様子を見ていると、こんな子どもがストレスを抱えるものなの?と感じますよね。
子どもであっても年齢とともに感情や情緒が豊かになり、周囲と自分の立場を考えたり相手を思いやったり、時には我慢をすることも多くなります。
周囲の大人が子どもが感情を抑えていることに気づいてあげられず、聞き分けの良さやおとなしさを当然としていたら、その子どもの心はきっと大きなストレスを抱えるでしょう。
また、子ども自身がストレスを抱えていることを自覚せず、体調不良や仕草・動作になって表出することもあります。
2人目が生まれたことでみんなの注目が赤ちゃんへ行ってしまったようでストレスや寂しさを感じるのに、お兄ちゃん・お姉ちゃんになったのだからと甘えられなくなりストレスになることもありますね。
子どもがストレスに感じることはどんなこと・どんなときなのか、ストレスを感じているサイン、また、もしも2人目の子どもが生まれてお兄ちゃん・お姉ちゃんになったときのストレスについて、周囲の大人ができる対応を保育士ライターの炭本まみがお話します。
人は年齢が進み大人になるにつれてストレスを抱えるようになります。
多少のストレスは、精神的なモチベーションにつながると言われていますが、大きなストレスは体にも心にも良くありませんね。
小さな子どももストレスを様々なストレスを抱えていますが、子ども自身は「ストレスを感じている」と自覚することはありません。言葉で気持ちを伝えたり、説明するのはむずかしいことなのです。
特に幼児期の子どもが抱えるストレスとは、どんなものがあるのでしょうか。
ストレスを言葉で表現できない子どもは、どのようなストレスのサインを出すのでしょうか。ストレスとして現れる行動や様子の代表的なものを紹介します。
子どもは言葉にできないストレスの辛さから、体調不良になってしまうことがあります。また、いつもできていることができなくなったり、わざとではないのにトイレに間に合わなくなる、頻尿になることもあります。
甘える態度が強くなったり、大人のうつ病のように元気がなくなったり、保護者を含む周囲の人に対して乱暴になることで、ストレスを表現することもあります。
今まで穏やかだった子どもが意地悪をするようになったり、感情の起伏が激しくなったり、ストレスが強くなると、病院に相談しなければならないような心配な様子がストレスとして現れることもあります。
赤ちゃんが生まれたときは、なるべく「上の子を優先に」とよく言われていますが、なかなかそうはいかないものですよね。
ですが、そもそも上の子にとって、赤ちゃんが生まれるということは知ってはいても、どのような生活になるのか、自分が兄・姉になるということに対するイメージはまったく持てないものです。
周囲の大人が「お兄ちゃんになったね。赤ちゃんが来てくれてうれしいね。」などと話しかけても子どもの心の中は正直「何とも言えない」「微妙」「嬉しくない」「逆に寂しい」というのが正直なところでしょう。
その上、赤ちゃんのお世話にパパやママは奮闘し、周囲の大人は赤ちゃんにばかり笑顔で注目し、自分には「ちょっと待ってね」「自分でできるでしょ」「もうお兄ちゃんなんだから」と言われるのです。
上の子にとって、赤ちゃんが家に来た日から、生活が一変するのです。大きなストレスを感じるのは当然のことでしょう。
赤ちゃんのかわいらしさにパパやママは胸がいっぱいになり、わがままや理屈を言う(本当は言っていませんが)上の子が疎ましく感じたり、かわいく思えなくなってしまうこともあります。
赤ちゃんのお世話で寝不足になり、疲れ切っている中、上の子にも要求されることでイライラや疲れがピークになる毎日は本当に大変なことでしょう。
子どもは大人が思うよりもずっと察しがいいもの。そんなパパやママの気持ちが上の子に伝わっていることは言うまでもありません。
大変な赤ちゃんの子育てと、上の子の子育て。そんな日常に上の子のストレスサインを感じたとき、どうしたらよいのでしょうか。
上の子どものストレスの原因については、おおよそ予測の付く限りのことはお伝えしました。ママ・パパにはまずは、上の子にはストレスがかかっている、寂しい思いをしている、ということを頭に置いてもらいたいと思います。
毎日、そして、すぐには上の子に関わることがむずかしくても、ストレスを解消し子どもの心の安定と安心を育むことは、いつからでも遅くはありません。
パパやママ、周囲の大人にできる上の子への関わり方を紹介します。
一番大切なことは、赤ちゃんと同じかそれ以上に、上の子とスキンシップをたくさんとることです。赤ちゃんにミルクをあげている時もそばに呼んで、ママにくっついたり手をつないだり、赤ちゃんに触れさせたりしてみましょう。
赤ちゃんが眠っている時や、機嫌よく過ごしているときは、上の子をパパやママの膝に乗せて絵本を読んであげたり一緒におやつを食べたりしましょう。
どうしてもスキンシップがとれない、むずかしい、疲れているなどのときは、言葉や目線でもコミュニケーションが取れるもの。
〇〇ちゃん大好きだよ。〇〇ちゃんが赤ちゃんのときはこうだったよ。と話したり、赤ちゃんが寝付くときなどは、上の子の目を見てにっこりと笑顔を見せることだけでも子どもの心に愛情が伝わるものです。
スキンシップ以上に子どもが喜ぶのは、子どもと二人だけの時間を作ってあげることです。 赤ちゃんをパパかママに預け、上の子とお出かけしたり、お家でゆっくりしたり、おやつを作ったり遊んだりと上の子が保護者を独り占めできる時間を作ってあげましょう。 これも毎日でなくて構いません。週末や月に数回でよいのです。
また、赤ちゃんと上の子を時間差で寝かしつけ、上の子とは眠る前にたっぷり時間を取り、おしゃべりをしたり、絵本を読んだり、家の中でかくれんぼをしたり、お布団の上でくすぐりあいっこをするなど、何もかも忘れられるような時間を一緒に過ごしましょう。
上の子どもにメリットがあるのはもちろん、パパやママも上の子のかわいらしさや大切さを改めて感じられるはずです。
上の子にとっては赤ちゃんがくることで、その中心となる存在や注目を浴びる存在が赤ちゃんに代わってしまい、生活が一変してしまったことが一番のショックやストレスでしょう。
みんなが赤ちゃんに注目し「かわいいね」と自分にも認めるように投げかけられても、上の子がかわいいのは「自分」であり赤ちゃんではありません。
少しずつ赤ちゃんのいる生活に慣れ、赤ちゃんが育ってきて家族の一員として上の子も認識しだすと同時にストレスも薄れていくことでしょう。
それまでに、大切にしてほしいのは、上の子が「自分なんていなくてもいいんだ」「みんな赤ちゃんの方がかわいいんだ、大切なんだ」「パパとママは自分なんかどうでもいい」そういう思いを抱いているかもしれないと想像することです。
そしてまずは、上の子に対してお兄ちゃん・お姉ちゃん扱いを急にすることなくこれまで通り、なんでも優先してあげてください。もちろん赤ちゃんが優先のことが多くなるでしょうけれど、上の子には「あなたが一番だよ」とわかるように言葉や態度で示しましょう。
「おやつ、〇〇ちゃんに先にあげるね。」「〇〇ちゃん、先にママがおしたく手伝うよ」などです。
少しずつ赤ちゃんのいる生活に慣れてきたころは、お手伝いを頼み、認めたり褒めることで自信を持たせます。「オムツ1枚取ってきてくれる?」「赤ちゃん泣いてるから、よしよししって声をかけててくれる?」と簡単なお願いをします。できたら「ありがとう。ママ助かるよ」とお礼を言います。
このように段階を踏み、愛情を感じられれば、少しずつ兄・姉としてのふるまいが自然とできるようになるのです。赤ちゃんが生まれてもパパやママに大切にされたという嬉しい気持ちが、赤ちゃんへの愛情へ変わり、本当のお兄ちゃん・お姉ちゃんになっていきますよ。
筆者は保育士であるとともに二児の母ですが、次男が生まれた当初から次男が話すようになるころまで、長男を「お兄ちゃん」と呼んだことがありませんでした。
常に名前で呼び、上の子を優先にするときだけ「お兄ちゃんだからね、先に生まれた先輩だから、おやつも先に用意するね」と、お兄ちゃんという立場が嬉しいという気持ちをくすぐるような時だけ呼んでいました。
「もうお兄ちゃんなんだから、ちょっとくらい待って」「お姉ちゃんになったのだから一人でできるでしょう」というのは、大人の都合です。
昨日まで長男・長女は一人っ子だったのですから、急にお兄ちゃん・お姉ちゃんにはなれません。ゆっくりと兄・姉へと上の子を育てていきましょう。
また、赤ちゃん育児で疲れていても、上の子の呼びかけを無視したり、よその子どもやほかの兄弟と比べることも、自己否定につながります。
ストレスサインが出ても、対応を変えることで子どもの姿がすぐに変わっていきます。保護者も完璧ではありません。できるときだけでも良いので、上の子へのフォローやねぎらいの言葉をかけ、たくさん抱きしめてあげましょう。
こんな症状が続いたり気になるときは、病院を受診しましょう。
お医者さんが良い方法を教えてくれたり、治療を開始したりするかもしれません。
心配をそのままにせず、相談することをおすすめします。
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ストレスを言葉にしない・できない子どもですが、赤ちゃんが生まれて自分が兄・姉になること、家族の構成が変わること、赤ちゃんが家族の中心になることは、子どもにとって大変なショックです。
大きな変化はなかったとしても、心配ないからとそのままにせず、必ず上の子との時間を作ったり、スキンシップを濃密にすることを意識するようにしましょう。
赤ちゃんが生まれてもパパやママは自分のことが大切なんだ、好きなんだ、嫌いになったわけじゃないんだ、と感じるとともに、赤ちゃんっていいな、かわいいな、お世話してみたいなと気持ちに余裕が出てきて、自然とお兄ちゃん・お姉ちゃんらしく育ちます。
パパとママはしばらくの間子育てが大変ですが、どうか上の子の気持ちを忘れずにいてくださいね。
炭本まみ
保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。
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