「うちの子、同じクラスの子よりできないことが多くて…」。保育士をしていると、子ども同士を比べて我が子の "できない部分" を気にする保護者の方の相談を耳にすることがよくあります。
子どもの発達には個人差があるのは当然のこと。同じ年齢の子どもでも、その成長のペースはみんな異なります。育児本や雑誌に頻出する「〇歳児はこれができるはず」といった固定観念にとらわれ、我が子を他の子と比べてしまうと、子どもの自信を育むどころか、かえって傷つけてしまうことにもなりかねません。
保育士として、長年子どもと関わる中で、発達における個人差の大きさを実感しています。とても分かりやすい例でいくと、年長になるタイミングで漢字を混ぜながら文章を書ける子もいれば、ひらがなを全く読めない子もいます。それでも文字に興味をもつ瞬間は必ずきます。他の子が楽しそうに絵本を読んでいたり、文字のクイズをしてみたり、友達から手紙をもらったりする経験を通して興味の芽がでてきます。その芽を伸ばす環境を用意してあげることが大切で、できるようになるタイミングはそれぞれです。
園で絵本などを読んでいると、ひらがなが全くよめなかった子がある日突然、文字を読めることに気が付きます。それに気づいたとき「え!今なんて言った?【い】?そうだよ、すごい!【い】って読めるようになったんだね!」とすかさずほめて盛り上げる。すると、子どもの心が動きます。芽が出る瞬間です。その興味を伸ばせる環境を試行錯誤しながら整えていくことで、ひらがなが読めるようになっていくのです。一人ひとりのペースに合わせ、伸びそうなタイミングを見極める。小さな成長も見逃さず認めていくことが、子どもの自信に繋がります。
きょうだいがいる子の場合、つい比べてしまいがちですが、これもできれば避けたいところです。第一子と第二子では、成長の過程も興味を示すものも違って当然です。「お兄ちゃんはもっと早くできたのに」などと比べられては、下の子はプレッシャーに感じてしまうでしょう。それぞれの子どもの個性を大切にし、「この子はこの子のペース」と認めていくことが何より大切なのです。
保育の中では、子どもの気持ちに寄り添い、一人ひとりの興味関心を大切にするようにしています。クラスのみんなで「ママパパにみんなの歌声を届けよう!」というプロジェクト企画がスタートしたときのことです。歌が得意な子もいれば、人前で歌うことに抵抗がある子もいます。そのような時、保育者はそれぞれの子どもなりの形で参加できるように働きかけることがあります。歌を歌う、ダンスをする、楽器を演奏する、保護者の招待状をつくるなど、さまざまな役割を選択できる環境を準備するのです。
「歌を届けたい」というプロジェクトへの距離感、表現方法は十人十色。大切なのは子どもが自分の選択で活動を選べて、その選択によって表現できることです。一人ひとりの良さを認め合える雰囲気づくりは、保育に限らず、家庭、ひいては社会の中で、大切にしていきたいことだと思います。
子育ての中で、わが子を他の子と比べてしまう気持ちは、私も3児の親として、とてもよくわかります。人間は本能的に見劣りする箇所にどうしても意識がいく生き物です。
個性を認め、長所を伸ばしていく。「うちの子はうちの子」です。小さな成長を周りにいる方と一緒に喜び合っていきたいですね。
ライター/監修:でん吉(保育士)
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