子どもの「落書き」への向き合い方|表現力を育む保育士のアプローチ

子どもの「落書き」への向き合い方|表現力を育む保育士のアプローチ
「子どもが壁に落書きしちゃって…」「本に落書きされて困っています…」そんな経験をしたことのあるママやパパも多いのではないでしょうか。実は落書きは子どもの表現力の芽生えのサインです。このときに大切なのは、頭ごなしに叱るのではなく、子どもの気持ちに寄り添いながら、表現する喜びを育むことです。おやこで一緒に、かけがえのない「今」を描いていく喜びを味わってみませんか。
目次

1. 落書きの心理的な意味を理解する

子どもが落書きをするのには、必ず理由があります。 自分の存在を主張したい、何かを表現したい、描く喜びを味わいたい。

そんな子どもの内なる欲求の表れが、落書きです。 園でも、子どもたちの落書きを、表現力の芽生えのサインととらえ、その心理的な意味を汲み取ることを大切にしています。

ご家庭でも、落書きを目にしたら、まずは「どうして描いたのかな」と子どもの気持ちを想像してみてください。「描きたかったんだね」と、表現欲求を受け止めるところから始めることが、落書きへの適切な対応の第一歩となります。

2. 描画の喜びを味わえる環境を整える

落書きをする子どもには、できるだけのびのびと描画を楽しめる環境を用意してあげましょう。

園では、いつでも自由に絵を描ける紙や画材を用意し、子どもたちの表現活動を応援しています。 ご家庭でも、子ども用の画用紙やクレヨンを手の届くところに置いてあげて「ここなら描いていいよ」と、描画スペースを決めておくのもおすすめです。 子どもが安心して表現できる環境があれば、壁や本への落書きも自然と減っていくはず。

描くことの喜びを存分に味わえる場を、おやこで一緒につくっていきましょう。

3. 年齢に応じた対応を心がける

落書きへの対応は、子どもの年齢に合わせて変えていくことも大切なポイント。

1〜2歳頃は、描く楽しさを満喫する時期です。 まずは描画を思い切り楽しめるよう見守ってあげましょう。

3歳頃になると、描きたい場所とそうでない場所の区別がつくようになります。 「お絵かきはお絵かき帳にしようね」と、優しく描画スペースを伝えていくことが大切です。

4歳以降は、「落書きはダメだよ」とルールを教えつつ、表現する楽しさは別の形で存分に味わえるよう工夫してあげてください。

年齢に応じた対応を心がけることで、子どもは描画のマナーを自然と身につけていけるはずです。

4. 子どもの表現を認め、言葉で伝え合う

落書きの後は、子どもの表現したものをしっかりと認め、言葉で伝え合うことを忘れずに。 「○○を描いたんだね」「こことここが面白いね」と、子どもの表現を受け止め、対話を重ねることが大切です。

園でも、子どもたちの表現一つひとつに耳を傾け、言葉を添えるようにしています。 ご家庭でも、落書きを通して子どもの内面に触れ、表現の意図を聞いてみてください。 「パパが大好きだから描いたの」「動物に興味があるんだね」。子どもの心の声に気づくことができます。

表現を認め合い、言葉で響き合う。そんなおやこの会話が、豊かな心を育んでいくのです。

5. 創造性を育む遊びを取り入れる

落書きへの対応と同時に、子どもの創造性を育む遊びを積極的に取り入れることも大切です。

園では、粘土遊びや製作遊び、ごっこ遊びなど、子どもたちの想像力を刺激する遊びを多く用意しています。 ご家庭でも、お絵描き以外の表現遊びをおやこで楽しんでみてはいかがでしょうか。

新聞紙で自由に工作したり、音楽に合わせて体を動かしたり、創造的な遊びに触れる中で、子どもの表現力は多様に花開いていきます。 落書きだけでなく、様々な形で創造性を発揮できる環境を作っていきたいですね。

まとめ

子どもの落書きは、表現力の芽生えのサインです。

大切なのは、子どもの気持ちに寄り添い、描画の喜びを味わえる環境を整えること。 年齢に応じた対応を心がけ、表現を認め合い、言葉で伝え合うこと。 そして、創造性を育む遊びを積極的に取り入れること。

その積み重ねが、子どもの豊かな表現力を育んでいくのです。

壁いっぱいに描かれた落書きも、子どもなりのメッセージ。 つたない線の一本一本に、子どもの表現があることを感じずにはいられません。 ご家庭でも、どうか子どもの表現を否定せずに、温かく受け止めてあげてください。

色とりどりの落書きが、いつしか心に響く絵になっていくかもしれません。 今はまだ描きたい気持ちが抑えられない子どもも、やがては自分らしい表現方法を見つけていけるはずです。

ライター / 監修:でん吉(保育士)

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執筆者

保育士 でん吉

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