近年、急速に認識が改められつつある性の多様性。LGBTやLGBTQ+などのワードを目にする機会も増えました。 多様性が重要視される社会の中で、子どもにも性について新しい知識や認識を持っていてほしいという親も多いでしょう。
一方で、自身は多様性を尊重する社会で育たなかった親世代は、子どもにどう説明すれば良いのかわからないことも…。
夫婦ともに医師をしながら子どもの性教育について活動するユニット「アクロストン」さんに性の多様性についての子どもへの伝え方を聞きました。
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実は近年の小学校では、名簿も男女混合にしたり体操服も統一されていたり…と文部科学省の方針もあって、少なくとも形だけでもジェンダーフリーが進んでいます。小学校の先生の中には、性教育やジェンダーの問題に意識を向けている人も多いんです。
一方で、幼児期に過ごす保育園・幼稚園は、性差を意識した活動がまだまだ多く、子どもが固定観念を持ってしまいがち。男の子と女の子で活動を分けたり、発表会の衣裳が分かれていたり…よくあります。
園生活を通して、子どもも「女の子の色はピンク、男の子は青」なんてステレオタイプな意識を持つこともありますよね。
子どもが「青は男の子の色」といった場合には、「ママは青が好きだけどね」「プリキュアも青いるよね?」と伝えてみましょう。子どもの決定を否定する権利はないので、「そういうのはよくないよ」とはいわなくてOK。
そのうえで、どちらを選ぶかは子ども次第だけど、青=男、ピンク=女という世界以外があることも伝えたいですね。「ピンクは男の子でもいいんだけど、僕は青が好きだから青に変える」というのは全然問題ないといえるでしょう。
街中やテレビでフェミニンな外見の男性やマニッシュな女性を見かけると、子どもが「あの人は男?女?」と質問して親を困らせることがありますよね。
そんなときは、「どうだろうね?わからないね」といっていいんです。
子どもたちの授業でも伝えるのですが、自分のことを男か女と思っているかなんてまわりの誰にもわからないものだと伝えましょう。
小さい子どもであっても、男か女かは自分で決めることで、さらに男なのか、女なのかは人にいわなくてもいいことなんです。いわば、とてもプライベートな情報です。
わが家では子どもの学校の書類などで性別を書く欄があると、わざと子どもに聞こえるように「なぜこれを書かせるのかな?」と疑問を口にしていますし、その都度子どもに聞きます。子どもはもう聞かれ慣れていて面倒そうに「そこ、男にしといて」なんていいますけど(笑)。
世代間の認識が大きいのがジェンダー。実は子どもたちは大人が思っている以上にジェンダーフリーな感覚を持っています。
けっこうおじいちゃん・おばあちゃんから「男らしく・女らしく」といわれるケースもありますね。
何かいわれたら「男の子(女の子)だからって関係ないよね?」と子どもにも言ってあげてください。本当は言った本人にも伝えたほうがいいですが…なかなか言えないこともありますよね。
子どもには親の言葉のほうが効くので、ちゃんと伝えてあげましょう。そのうちおじいちゃん・おばあちゃんも、親や孫が嫌がっていることがわかれば、言わなくなります。
小学校の授業などで話をすると「LGBT」についてももよく知っているし、子どもたちのほうがよほど柔軟な考えを持っていると感じることが多いです。
問題は親世代にあることのほうが多いのでは?と思うことも…。
いくら「男女平等」といっても、家庭内が”パパのいうことは絶対”であれば、「うちは違う」となってしまうことに。
なかなか難しいことですが、まずは夫婦の関係性を見直してみることも大切です。
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子どものほうが新しい感覚を持って生きているということに、新しい時代への希望を感じられるというアクロストンさん。
親自身も子どもから学びながら、お互いの意識をアップデートしていきたいですね。
3~9歳ではじめるアクロストン式 「赤ちゃんってどうやってできるの?」いま、子どもに伝えたい性のQ&A
アクロストン著(主婦の友社)
アクロストン
医師2人による性教育コンテンツ制作ユニット。小学生2人のお子さんがいるママとパパでもあります。小学校の保健の授業や楽しく性について学べるワークショップを日本各地で開催。子ども達に正しい性の知識を持ち、家庭内で性の話ができるようになる世界を目指して活動しています。