「〇〇したら〇〇のごほうびね」逆に「〇〇しないと〇〇はナシだよ」など、子どもとふだんからよく「約束」をするママやパパも多いのではないでしょうか。
しかし家庭教育アドバイザーのTERUさんによると、親子の約束には注意が必要とのこと。なんと、約束をすればするほど子どもが無責任になってしまうケースがあるのだとか。
ちょっとドキッとしてしまう話ですよね。一体どういうことなのか、くわしく教えていただきましょう。
親子間の「約束」には、いくつかの種類があります。
そのなかでも「お友だちにやさしくしようね」という人として大切な約束や、「車が通るところでは遊ばないようにしてね」という命を守るための約束は、子どもが生きていく上で必要な約束です。
これらは一度約束をしたからといってすぐにできるようになるとは限りません。本当に大切なときに親との約束を思い出して適切な行動につなげられるように、幼少期のうちから何度も繰り返し教えて約束をすることが大切です。
子どもとの約束の仕方についてご説明する前に、まずはこれを大前提として心に留めておいてください。
約束には親が"改善したいこと"が込められていることが多いですよね
生きるために必要な約束以外にも、親は子どもとの生活で大なり小なりいろいろな約束をしていると思います。
それらは子どもに日常の動作を促したり、家庭での過ごし方について注意したり、学校や園での生活に支障が出ないようにするために時間を守らせたりするような、親から子へ発信される約束が多いでしょう。
その約束によって子どもの意識が高まり、行動が改善される場合もあります。
しかし、やり方や頻度によっては、改善したい子どもの行動が逆にひどくなり、約束に対して無責任になってしまうケースも。注意したい約束の例を紹介します。
登校・登園前の朝の忙しい時間にこんな約束を使っていませんか?「〇時までにごはん食べないとデザートは食べられないよ」「早く準備しないとテレビはなしね」のような「〇〇しないと〇〇できないよ」という約束です。
こういった約束をした時点で、その約束を守るか守らないかは子どもの問題です。結果の責任は子どもにあり、子どもは食事の時間をどうするか、準備をどう進めるかを自分で決めることができます。そして子どもが約束を守れたら、先の例でいうと「時間内にごはんを食べられたら、デザートを食べさせてあげる」のが親の約束に対する責任です。
しかし、もし子どもが約束を守ったのに親が約束を守ってくれなかったら、子どもは「どうせ〇〇してくれないんだから…」と諦めてしまい、約束の効力が薄れてしまいます。
これは、親にとっては約束を破る、というほどの大げさなものではないことが多いのですが、それが問題です。
たとえば、冷蔵庫を見てみたらデザートがなかった、時間内に食べられたけど、歯磨きの時間を考えたらもう時間がなかった、など…「ごめん」と軽く約束をスルーしてしまうことも。
でも、これは子どもにとっては「約束と違う!」と大ごとです。
本当に大切な"生きるために必要な約束"でさえ響かなくなってしまう可能性もありますから、親も約束を守る責任をしっかり果たしましょう。
子どもと「〇〇しないと〇〇できないよ」と約束したあと、約束の時間や結果にたどりつく前から子どもの行動が気になってソワソワしたりイライラしたりすることはありませんか?
子どもの様子を見て「間に合うかな…」「このペースだと厳しいかも」と不安になり、「あと10分だよ!」「早くしないと間に合わないよ!」のように口を出してしまうこともあるかもしれません。しまいには「ほら早く着替える!もう、お母さんがやってあげるから!」と、なんとか間に合わせようと躍起になることも。
このように、親が約束を守らせることに必死になって手を出し口を出すことにパワーを使うのはとても疲れますよね。
そして、本来子どもに責任があるはずの約束を守る過程に、それが親の責任であるかのように大人が干渉しすぎてしまうと、子どもは「自分が急がなくてもお母さんがなんとかしてくれる」と思ってしまいます。
その結果、子どもは親との約束を重要視せず、約束に対して無責任になってしまうことがあるのです。
子どもが一人で頑張ったにせよ親が手伝ったにせよ、約束の時間に間に合わなかった場合は「〇〇しない」のが約束になります。
先に挙げた例ではデザートをあげないこと、テレビを見せないことが、親が守るべき約束です。一度約束したら、親はその過程には口出しせず、約束を守らせるためにパワーを使うべきです。
ただ、約束したからといって子どもがすんなり聞き入れてくれるとは限りません。「守れなかったからテレビは見ないよ」と言うと泣いたり怒ったり、癇癪を起こして暴れたりすることもあるでしょう。
そんな子どもの姿を見て「じゃあひと口だけね!」「10分見たらおしまいにするよ!」と親が態度を曖昧にし特別対応をしてしまうと、子どもは"約束を守らなくても困らない"と認識してしまいます。
そして「約束しても最後にはママはOKしてくれる」「とりあえず返事しておけばいいや」と約束に対して無責任な考えを持つようになってしまうのです。
子どもが約束を守らないのは、親の対応が原因かもしれないんですね…
紹介した3つのケースではなかなか子どもの行動が改善されず、小さな約束をすればするほど子どもが約束に対して無責任になっていく傾向があります。「〇〇しないと〇〇できない」という約束をしても、どちらかが妥協して守れない状況が続くのは逆効果です。
それを繰り返し、約束に子どもの意識や行動が伴わなくなれば、約束をしてもしなくても同じですよね。普段の子どもとの関わりを振り返り、しなくてもいい約束をしすぎないようにすれば、親も子も余計なパワーを使わずに済み子育てが少し楽になるかもしれません。
では、約束できちんと子どもの意識や行動を改善させるためにはどうすればよいのでしょうか。次の記事で子どもとの約束の仕方や、約束を守れなかったときの対応を紹介します。
こちらの動画ではTERUさんご本人がくわしく解説しています。ご本人の語りでさらに納得!ぜひチェックしてみてください♪
家庭教育アドバイザー TERU
幼児教育の講師。 1000人以上の子どもたちと関わってきた経験をもとに、0~12歳の保護者向けに知育、育脳、子どもとの接し方など家庭教育情報を発信している。登録者8万人超のYouTubeでは"子どもを成長させる"実践的な子育て動画を配信中。
YouTube:子育て勉強会 TERU channel
Twitter:@TERUkyoiku
Instagram:teru_kyoiku
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