私の名前は花江。
娘の柚月は小学5年生になってから反抗期に入ったようで、特に夫である蒼太への態度が極端に悪い。
「パパとは話したくない。だからご飯もいらない」
そんなある日、柚月が学校の発表会の招待状をくれた。
「ママとパパで見に来てね」
しかし当日、蒼太は「仕事が入った」と、柚月との大切な約束を破ったのだ。
「パパ気にしてないよ。忙しかったんなら仕方ないよね」
娘は気丈に振る舞うが、私は約束を破っておきながら謝りもしない蒼太の態度が許せなかった。
「柚月にきちんと謝ってくれない? 約束したんだから、誠意ある対応をすべきよ」
「ええ、大げさだな。約束なんて破るためにあるんだぞ」
「あなたね…。そんなふざけたこと言わないで」
「一度約束を破ったくらいで落ち込むとか、柚月はまだまだお子ちゃまだな」
あまりに無神経な夫の言葉。
私は、彼に娘の気持ちを分からせるための仕返しを決意した。
翌日から、私は蒼太のお弁当作りをやめ、頼み事も全て無視。
「約束なんて破るためにあるんでしょ?」と、彼が言った言葉をそのまま返してやった。
蒼太はしぶしぶ柚月に謝ったが、その反省は上辺だけ。
私への当てつけがましい態度は、その後も続いた。
そんなある日、蒼太の出張中に、義母から「義父がガンで倒れた」という電話がかかってきた。
私はすぐにお見舞いへ。
すると義母から「蒼太に連絡がつかないから、代わりに電話してもらえる?」と頼まれた。
個室だったため、その場でスピーカーにして電話をかけることに。
『もしもし? 今、舌打ちした?』
「あ、蒼太? 今いい? ちょっと急な話なんだけどね、お父さんが倒れちゃって…」
『おいおいおばさん、出張中で寂しいからって電話してくんなよ。学生カップルじゃないんだからやめてくれよな』
「あなた、黙っていれば何なの! 花江さんに向かってその言い方!」
『え、母さん!?』
まさか義母がいるとは思っていなかったのだろう。
病室に、蒼太の情けない声が響いた。
電話の向こうの義母は激怒し、義父は「あいつが恥をかくところを見れば、安心して天国に行けそうだ」とまで言い出す始末。
しかしその時、私の隣にいた柚月が、小声で私に話しかけてきた。
「ママ、私さ、パパの秘密知ってるんだよね」
「え…?」
「この前、パパが知らない女の人に浮気のメッセージを送ってるの見ちゃったの。『愛してるよ、また出張の日にデートしようね』って。それ見ちゃってから、パパのことマジ無理になっちゃって…」
柚月の反抗期の本当の理由。
それは、夫の裏切りが原因だったのだ。
この日から、私と柚月は、蒼太の浮気を暴くための計画が始まった。
次の出張の日、私は蒼太のバッグにGPSと盗聴器を仕掛け、浮気の証拠をがっちりと掴んだ。
ところが、蒼太が帰宅する前に、義父が亡くなったという知らせが届いた。
私は、蒼太に連絡しなかった。
「葬式でギャフンと言わせてやってくれ」
それが、優しい義父の最後の“遺言”だったからだ。
一週間後、何も知らない蒼太が、浮気旅行から上機嫌で帰ってきた。
「ただいまー! いやー、今回は楽しい出張だったよ」
「何、どうしたのですって。あなたの父親が亡くなったのよ。それなのにヘラヘラと、恥を知りなさい」
「待ってくれよ、父さんが亡くなった!? なんで連絡しないんだ!」
「だけどあなた、浮気に忙しそうだったから、邪魔しちゃ悪いなと思って」
「お、おい、なんで知ってるんだよ!」
蒼太が動揺したその時、玄関のチャイムが鳴った。
そこに立っていたのは、蒼太の浮気相手の“霞”だった。
「あなたの奥さんに呼ばれたの。『夫のことで話したいことがある』って。やっと浮気がバレたのね! これで離婚してくれるってこと?」
霞は、私が離婚の話し合いのために呼んだのだと勘違いしていた。
彼女の口から、蒼太との交際が5年にも及ぶこと、結婚の約束をしていたことまでが暴露された。
「いや、これはその、違くて…」
「今更何が違うっていうの。証拠もあるのよ」
追い詰められた蒼太は、今度は私のせいにし始めた。
「そもそも誰のせいでこうなったと思ってるんだ!全部、花江のせいなんだからな! 気を使わなくなって、俺を夢中にさせる努力をしなかった!」
その時、ずっと黙っていた義母が口を開いた。
「あなたのお父さんは、私が産後で疲れ果てても、努力しろなんて言ったことがなかったわ。それどころか、いつもありがとうって毎日感謝してくれたのよ」
「……」
「私の育て方が間違っていたのかしら…」
あまりに情けない息子の姿に、義母は涙を流した。
私は蒼太に離婚を突きつけた。
「待ってくれよ! 俺の話も聞いてくれって!」
「いいえ、もう十分です。慰謝料と養育費、払ってくださいね」
蒼太は霞に「一緒に支払おう」と泣きついたが、霞は「あなたなんて知らない!」と彼を捨てて去っていった。
私は、絶望する蒼太に、かつて彼が私に言った言葉をそのまま返してあげた。
「約束を破られたくらいで大げさすぎるわ。約束なんて、破るためにあるのよ」
その後、蒼太は親戚一同から見放され、独りぼっちになった。ストレスで仕事のミスも増え、慰謝料と養育費の支払いで生活は困窮しているという。
一方、私は柚月と共に新しい生活を始めていた。
「ママ、大好き!」
これからは母と娘二人、お互いを支え合い、楽しく幸せな暮らしを送っていくんだ。
出典:嫁子のスカッと漫画
イラスト:嫁子のスカッと漫画
※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。 ※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。 ※この物語はフィクションです。 (おやこのへや編集部)
おやこのへや編集部
心も体も大きく成長する幼児期から小学生の子どもたち。一人ひとりの個性が出てきて、子育てに悩むことも多いこの時期を、おやこで楽しく過ごせるよう、ヒントになる情報を発信していきます。
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