「自我」が芽生える1歳半ごろから始まったイヤイヤ期も終了!
なんでもイヤイヤと言っていたけれど、少しおさまったかな?と思ったら3歳になってもまた反抗期がスタートしたように癇癪を起したり、ちょっとしたことで泣き叫ぶ…。そんな子どもの対応に悩んでいるママ・パパはいませんか?
子どもと関わるとすぐに怒ったり、思い通りにならないと泣いたりと、子どもとの関わりに悩み、疲れを感じているかもしれません。
「子どもは素直でかわいい」と世間では言いますが、ほど遠いわが子。一体どうしたらいいのでしょう。
3歳・4歳・5歳と幼稚園や保育園に入園したころの子どもが、小学校入学前までに見せる自分の感情との葛藤や、発達成長に寄り添った保護者の関わり方を保育士ライターの炭本まみがお話します。
イヤイヤ期を過ぎて3歳以上になっても子どもが思い通りにならないと怒るのは、じつは大人と同じようにストレスを感じているからです。
子どもたちは心と体が成長・発達していき、これまで保護者の言う通りに素直だった子もだんだんと「自我」(自分の存在や思い)に目覚めます。
そして子どもも大人と同じように、自分の考え方や思うことや願望など、その子自身の気持ちが思うように通らない場合、ストレスを感じます。
子どもが大人と違うのは、周囲の状況を考えず、泣きわめいたり怒ったりと思いっきり感情をあらわにする点です。ママ・パパや大人が相手の場合は甘えたい気持ちもあるのでしょう。
対応する時には、子どもの年齢による心の発達をよく理解したうえで、怒っている気持ちを受け止めて寄り添うことが大切。
まずは泣き叫んだり、怒ったり、保護者を叩いたりする行動の理由や、その背景にある気持ちをしっかりとくんで、言葉にならない気持ちを代弁してあげましょう。甘えたい気持ちも受け止めます。
こうした行動が子どもの成長や自立を促し、保護者や周囲の人を信頼する気持ちを育てていきますよ。
子どもが思い通りにならないと怒るのは、発達過程の一つという前提のうえで、次は3歳・4歳・5歳の年齢別に子どもの姿と保護者の関わり方について詳しく解説していきます。
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3歳児の子どもは、1歳〜2歳と比べぐんと言葉の数が増えます。生活面では着替えや食事、トイレなど身の回りのことも自立し始める子どもが多くなります。
心の発達についても、自分と他者との違いや考え方の違いを知りますが、だからといって自分の心に折り合いをつけて周囲と意見や行動を合わせることは難しいでしょう。
そのため、自分の意思を泣いても通そうとしたり、意見が合わなかった場合や否定されたときなど、怒ったり相手を叩いたり物に当たったりする姿が見られます。
3歳児にはまだスムーズな気持ちの切り替えや、相手の立場に立った思いやり、その場・その時の状況に合わせた行動はむずかしいもの。
さらに自分の思っていること、気持ちを言葉にして相手に伝えるのは子どもにとって大変高度なことです。
自分の本当の気持ちが相手に伝わらないもどかしさ、辛さ、イライラがストレスになり、怒るという態度になってしまうのでしょう。
さらには、家庭内でのルールや社会性についてもまだ理解がむずかしい子どももいます。
3歳といっても、まだまだ個々の成長には個人差があるので、聞き分けのいい子だと感じても、実はまだ自立へ向けての成長がゆっくりペースだということもあります。
また、癇癪や怒る姿が見られない子どもは、保護者がうまく関わっている場合もあります。
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もうすっかり大人との会話もスムーズになり、生活面でも自立してくる3歳児。けれど感情的になることも多く、お困りの保護者の方、子育てに疲れている保護者の方も多いでしょう。
ここでは、OKとNGの関わり方の一例を紹介します。
もちろん保護者もイライラする気持ちを抑えているのですから、できる範囲で構いません。気持ちを押し殺して冷静に対応するのは大変なストレスになります。
ベテラン保育士が冷静に声掛けできるのは、繰り返し対応することで心が慣れてくるからです。繰り返すことで「この子は今、こういう時期なのだから仕方がない」と思えるようになってきますよ。
では次に、NGな関りについて紹介しましょう。
このような関わりは、子どもの存在や気持ちを受け止めていないことになります。結果、子どもは自分が信頼する大好きなママ・パパに愛されていないと感じてしまい、自分に自信を失います。
よく聞く「自己肯定感」の低下につながることもあるでしょう。
手の付けられない癇癪や、繰り返す大泣きなど、保護者にとっては大変なストレスですね。 ですが必ず落ち着く日がきます。まずはNG行動をしないよう気をつけてみましょう。
4歳児になると、人とのかかわりの中で相手の気持ちを察したり思いやる行動ができるようになる子もいます。
ですが、疲れているとき、甘えたいとき、どうしても納得がいかない・ゆずれないときは、泣いて怒ったり、物に当たったり、相手を叩いたりし、言葉での話し合いができないことが多々あるでしょう。
4歳はママ・パパのひざの上から、離れたり戻ったりしながら、戻れる場所がある安心した気持ちを保ち更に成長をしていく時期です。
もう4歳なのに…。と癇癪や大泣きを嘆くことなく、しっかりと受け止め、代弁してあげたいですね。
具体的な関わり方は3歳児とほぼ同じですが、心がおちついたときに言葉やイラストを使いながら自分に起きたこと、自分のした行動を客観視できるようにフォローしてみましょう。
言葉だけではなくイラストを交えて、自分の姿を客観視することは怒りの感情だけではなく、今後困ったときや願望を抱いたときに「どのように人に伝えたらいいのか」「気持ちをどう整理し前に進んだらよいのか」という考え方を育てます。
ママ・パパに時間に余裕がある時には、こんな方法も試してみてくださいね。
5歳になると、幼稚園や保育園などの集団生活を過ごしている子どもがほとんどでしょう。
集団生活の中では、自分の思い通りにいかないことも多くあり、友達と話し合ったり先生と相談したりしながら、集団として社会で生きることを学ぶ時期です。
それでも納得のいかないことや、理不尽なことがあれば、園に行きたくないと言ったり、保護者に話してくることがよくあります。
小学校入学へ向けて、生活面と共に心持ちも自立していきますが、自立とはなんでも自分で解決することではありません。このころの子どもには、うまくいかないことや思うようにならないことがあった時の対処法を伝えましょう。
こういったことが5歳児のときにできていれば、小学校へ入学しても心配は少ないかもしれません。
このように心の自立も成長していく5歳児が、怒ったり泣いたりする時はどんな時でしょうか。
5歳児になると様々なことに対して、周囲の言葉かけで気持ちを切り替えられるようになってきます。
その一番の方法が「褒める・認める言葉をかけながら慰め、良くない行動を伝え、励ます」です。
筆者は、現役保育士時代にはこのように子ども自身の良いところを先に伝え褒め、それから変化することを提案していました。
大人もそうですが、褒められ認められた後の叱咤激励は、心に響くものです。子どもも同じなのです。
このような会話をすること自体が、子どものために時間を割くことであり、それは子どもにとって何より愛情を感じることです。
子育ては日々忙しく、時間のない日々ですが、「〇歳だからもうできて当然」ではなく、普段から子どもを認めたり褒める言葉を積極的にかけ続け、家庭が安心して気持ちを発せる場所であり、成長の拠点であると感じさせてあげてほしいと思います。
このように寄り添い、認め、方法を考える心からの対話を通しても、癇癪や怒りがなかなかおさまらない、ほかの子どもと比べても感情が不安定だったり激しかったりし、不安を感じる場合は、園の先生・地域の子育て支援センターなどに相談してみましょう。
保護者の杞憂であれば安心ですし、もしも情緒の不安定さや、発達のでこぼこなどを感じられるようなことがあれば、小児科を紹介されるはずです。
その際も、早い段階から子どもへの関わりを教わったり、子ども自身もお医者さんと話すことで、情緒が安定し発達のでこぼこもわかりにくくなっていきます。
おかしいな、もしかして障害があるのかな?と独断で決めてしまうことはせず、少しでも悩んだときは不安解消をしようかな、という軽い気持ちで構いませんので、専門の機関に相談しましょう。
子どもの癇癪の理由を教えてくれたり、保護者の関わり方を教えてくれて、きっと心が軽くなるはずです。
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子どもの激しい感情や癇癪についつい「また?」「もういい加減にしてよ」という気持ちになるのは、当然のこと。そう感じてしまう保護者様自身の気持ちを責めなくても大丈夫です。
けれど自分自身に心や時間の余裕があるときは、子どもの心に寄り添ってあげたり、会話をしたり、子どもを認めたり褒める言葉をかけることを実践してみませんか。
実はそれが子どもの癇癪や怒りをしずめる一番の近道。辛い時期でも、子どもを褒めることでなぜかママやパパの心もほっこりするもの。ぜひトライしてみてくださいね。
炭本まみ
保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。