3歳の子どもは1歳、2歳の頃と同じように一人ひとりの成長発達の個人差が大きい年齢です。まだまだ遅生まれ(4月生まれ)と早生まれ(翌年の1月以降)との差を感じたり、兄弟がいる、習い事をしているなど、生活環境によっても大きな個人差があります。
3歳は自立へ向けて基本的な生活習慣の自立をめざす第一歩の一年。
「3歳とはこういうもの」と一概には言いきれませんが、おおよその特徴や保育園・幼稚園で過ごしているときの様子や先生のかかわりはどんな感じなのか、また、3歳児にぴったりの遊びや楽しい絵本を、保育士ライターの炭本まみが解説します。
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3歳の頃の平均的な身長や体重はどれくらいなのでしょうか。
3歳児検診などで母子手帳を見る機会があると、成長曲線と自分の子どもの体の大きさを比べることがあるかもしれません。
厚生労働省は、子ども達の保健指導の充実を目的に全国の乳幼児の身体発育の状態を調査してます。その調査結果が、母子手帳に記されている成長曲線です。
コロナ禍の影響で近年の調査はありませんが、最新のデータである2010年の3歳児の平均身長と体重は、下記のようになっています。
※参考:平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書(概要)/厚生労働省
これはあくまで平均なので、大きく数値から外れていなければ個人差の範囲です。あまり気にすることはありません。
どうしても気になる場合は自治体の保健師や小児科へ相談してみましょう。
3歳を過ぎると体の使い方が器用になり、動きがしなやかになってくることを感じるでしょう。また、生活面での動作も少しずつできるようになり自立していきます。
運動面での成長としては、下記のような姿が見られるでしょう。
また生活面では少しずつ自立が進み、下記のような成長がみられるでしょう。
少しずつ体の動きから赤ちゃんくささが抜け、大人びてきます。そして手先の器用さも際立ってくるでしょう。月齢や経験、成長によって差はありますが、少しずつできるようになります。
できないことがあった場合は手を貸したり手伝い、「できたね」と認めてあげましょう。3歳児とひと口に言っても、3歳になったばかりと4歳に近い3歳では成長も大きく変わります。今できないからと焦らず、そのうち自分でできるようになるので、長い目で見てあげたいですね。
3歳のころの知的な発達についての成長は、人とのかかわりの中で感じ取れます。
3歳の頃は、周囲の人とのかかわりを持ち始めたり、意識したり、影響されて自分もやってみたいと思ったり、豊かな感情表現をするようになったりします。
また、「なぜだろう、どうしてなんだろう。」という疑問を持つようにもなります。 物事がルールや規則で成り立っていることや、人や自然、小動物などのかかわりから 様々な刺激を受けて大きく知的な成長をしていきます。
知的な成長についても、体力や運動面と同じように個人差は大きいものです。
例えば、名前を呼ばれているのに返事をしない・呼ばれていることを認識しない、集団の中で全体に向けての話を聞くことができない、落ち着かず常に動いている、訳もなく癇癪を起こすなど、気になる姿があれば通っている保育園や幼稚園に相談してみましょう。
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ことばの発達についても大変個人差が大きいでしょう。上にきょうだいがいるなど家庭環境によって、また子ども個人の性格によっても変わってきます。
2歳までは約900語前後言われていますが、3歳から4歳にかけて話せる言葉は約1700語にものぼります。大人ともほぼ対等に会話ができるようになる子も多いでしょう。
平均的なことばの成長としては、以下の通りです。
ただ、少し離れたところから名前を呼んでも振り向かない、肩をトントンと触れるなどしないと振り向かない・気づけないお子さん、言葉は理解しているけれど自宅でも言葉が出ない、特定のひらがなの発音がよくない・言えない、どもる(吃音)など、心配な場合は園や自治体の相談センターなどへ相談してみましょう。
1歳後半から2歳はイヤイヤ期のピークで疲れ果てているママやパパがいるかもしれませんね。イヤイヤ期は長ければ4歳過ぎまで続く子どももいますが、平均して3歳を過ぎるころにはだいたい落ち着き、大人との会話の中でさまざまな思いを伝えたり、納得していくようになります。
それでもまだまだ3歳。この世に生まれてたったの3年なのです。
ママ見て!など、見てほしい・認めてほしい気持ち、わがままを言って甘えることもたくさんあるでしょう。
かと思えば、なんでも自分でやりたがったり、大人のまねをしたがったりもします。
この時期は信頼しているママやパパに甘えたり、離れたりを繰り返しながら少しずつ自立していく過程です。
甘えてきたときは「もう3歳なのに」と言わず、しっかりと気持ちを受け止めスキンシップをたくさんとり安心させてあげましょう。安心するとまた自立への道を進んでいくはずです。
保育園に行っている子どもの場合、2歳児クラスから3歳児クラスになって一番変わるのは、担任の数が減ることと3歳児からの新入児が入園してくることでしょう。
生活面での自立を目指し、実際に自立していくので、担任の数は減りますが、サポート体制についてはしっかりしていて、新入園児が慣れるまでは保育士が多くサポートに入ったりすることが多いので、あまり心配しすぎないで大丈夫。
クラスでは、自由遊びの時間などは友だち同士で遊ぼうとする姿がありますが、まだまだ「ひとり遊び」「傍観あそび」「平行遊び」など、一人の世界で遊ぶことが多いでしょう。
保育士が仲立ちとなり、遊びに誘ったり橋渡しをしたり、ケンカの仲裁をするなどのかかわりを通して少しずつ友達を意識し、誘いあって遊ぶようになっていきます。
それでもまだまだ3歳児なので、ルールや決まりを守れず、おもちゃの取り合いや、ケンカになることが多く、その都度保育士は双方の気持ちを伝え、相手にも気持ちがあること、仲良くするにはどうしたらよいのかを伝えていきます。
このように、3歳になるとクラスの中で社会性が芽生え、生活面では自立し、言葉でのやり取りも発達する中、一段と集団生活が楽しく充実していく時期でもあります。
また3歳児は、月齢や個性による成長の個人差が大きい年齢です。生活面でも、トイレが自立しておらず、おもらしをしたり、着替えが自分でできなかったり、言葉がうまくでなくて友だちを叩く・噛む、食事の偏食、体力差があるでしょう。
家庭と連携を取りながら、園でも個別に働きかけ、成長を促していきます。
3歳になるとルールのあるあそびや、ものを使ったあそびなど、遊びの幅がぐんと広がります。運動機能の発達や、理解力、語彙力、手先の器用さ、集中力などの発達によって、これまでできなかったようなさまざまな遊びを楽しめるようになります。
保育園や幼稚園など、集団で過ごす場合の3歳児が楽しめる遊びを紹介します。
室内遊び
どの遊びにも、発達を促したり自信をつける、友達との遊びを通してかかわりを深めるという3歳児なりのねらいや目的があります。 おうちでも取り入れられる遊びがたくさんあることでしょう。パパやママと一緒に遊んでみてくださいね。
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お話のストーリーや言葉のリズム、イラストの細やかさや美しさに惹かれるなど、2歳の頃とは違って一歩成長した楽しみ方ができる3歳児。園でもよく読まれている、おすすめの絵本を3冊紹介しましょう。
ちょっと怖くて、おもしろくて、夢のような子どもの世界。本当にありそうで、やっぱりなさそうな…そんな子どもの夢を丸ごと絵本にしたようなストーリーです。
幾度となく出てくる「めっきらもっきらどおんどん」というセリフを子どもが覚え、木の根元を見つけると大きな声でとなえるようになるはず!
3歳児も引き込まれる、簡単ながら楽しい空想の世界が描かれています。
3人の不思議で楽しく優しいおばけたちと友達になった気分でひたれるイチ押し絵本です。
どうしても「お月さま」がほしい女の子。パパに「お月さまとって」とねだります。
パパは大きなはしごを用意して、月へと昇っていきます。
絵本の画面が2倍以上に大きくなるページには大きなお月さまが!子ども達はきっと圧倒され驚き喜ぶことでしょう。
お月さまがだんだん小さくなってしまうところもかわいらしいですし、科学的な月への興味にもつながるでしょう。
ダイナミックなイラストと不思議なストーリーが子どもに人気の絵本作家「長新太」の絵本です。
カメラマンが湖でかいじゅうが出てくるのを待ち、撮影しようと待機していると、かいじゅうが出てくるのです。「ぼこぼこぼこぼこ ぼこぼこぼん」のセリフが楽しくて、子ども達もすぐに覚えて一緒に言うようになるでしょう。
イラストもストーリーも単純ですが、奥深く、3歳児に大変人気の絵本です。
3歳の頃は、自立と甘えを行ったり来たりする時期。自立しているのに甘えて「やって」と言ってきたり、まだできないことも「もうできるよ」と言って失敗してみたりと、人生の自立へ向かって歩き出す年齢です。
周囲の大人やママ・パパは、子どもの気持ちに寄り添いながらも、子どもが安心して快適に過ごせるようにいつも温かく優しく見守ってあげましょう。
子どもは見守られている安心感をおぼえると、安心基地である大人から一歩踏み出そうとしますよ。
社会の中では、交通ルールや人とのかかわり方、挨拶をすること、家庭内・園での約束事を守るよう、繰り返し根気よく伝えましょう。
まだまだ大人の言うことを理解できなかったり、ルールだとわかっていてもやりたがらないこともあります。そんな時は、眠かったり疲れていたり、体調が悪かったり、おなかがすいているときかもしれません。
怒ったり怒鳴りつけるようなことをしてまでも、ルールを守らせるようなことはせず、励ましたり休ませたりしながらありのままの子どもの姿を受け入れていきましょう。
そうすることで、大人との信頼関係が育ち、いつか必ず自らルールやきまりを守ったり、すべきことをできる子どもに育っていくはずです。
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どんどん個性豊かに成長する3歳児。「魔の2歳児」から「悪魔の3歳児」などと言われていますが、言葉で言い返したり大人を言い負かそうとする子どももいます。
また反対に、気持ちが繊細で、すぐに泣いたり、あまり言葉を発しない子どももいるでしょう。
どんな子どもも、しっかりと気持ちに寄り添い、代弁し、一緒に考える姿勢を大人が示せば、大人を信頼し成長をしていきます。子どもは本来、自ら成長したいという気持ちをもって生まれてきます。3歳のころは特に自立へ向けた成長が著しい時期。
温かく成長を見守り、喜び、愛情を注ぎながら、一緒に考え成長していきたいですね。
個性が豊かになり、子どもの成長が心配になる親御さんも多い時期でしょう。発達に関して気になったり、悩んだときは、なるべく早めに担任や自治体の保健所、小児科などへ相談しましょう。なんでもなければそれでよいのです。また、ちょっとした訓練で言葉の発音や筋肉の使い方が改善できることもあります。
パパやママ、また、担任の先生だけでは子育てはできません。時には専門家に相談し頼ることで、おおらかに子育てを楽しんでくださいね。
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炭本まみ
保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。