小学校入学まであと1年となる5歳児。急に入学が目前になったような気がしますね。
保育園や幼稚園では、入学前の最後の園生活になるため、子ども一人ひとりについての成長や発達を改めて見つめなおし、1年間で身に着けてほしい目標やクラス全体としてどのような「育ちあい」ができるかを考えたりします。
家庭でも最後の園生活になり一つひとつの行事やイベントに感慨深さを感じたり、ランドセルや学習机の用意を検討するなど入学に向けた準備や期待が高まるのではないでしょうか。
そんな5歳児の子どもの心や体の発達や特徴はどんな感じなのでしょう。
また、5歳児に合った関わり方や成長・発達を促す遊びとはどんな内容なのでしょうか。
今回は平均的な「5歳児」の姿を中心に、さまざまな姿や大人との関わりについて、保育士ライターの炭本まみがお話します。
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5歳児の平均的な体格はどれくらいなのでしょうか。母子手帳や園で行われている身体測定で平均的な身長・体重のお知らせがあるかもしれませんが、改めて確認しておきましょう。
※参考:平成 22 年乳幼児身体発育調査報告書(概要)/厚生労働省
身長・体重は個人差があります。あくまで平均ですので、知識として知っておきましょう。 平均よりもかなり小さい・大きいなど気になる際は、小児科や自治体の子育て相談センターへ相談しましょう。
5歳児の身体的な発達は目まぐるしく成長し、ほぼ大人と同じような動きができるようになります。 それにともなってさまざまなシーンでの生活面での自立も確率していきます。
全身を使った巧みな動きや、運動量・体力が向上し、大人と一緒に問題なく行動ができるようになります。怪我の回避や注意力もこれまでの経験を活かし、身についていきます。
また、手の動きもさらに巧みで繊細な動きができるようになり、文字に関心が出てくることから文字を書くことができる子どももいます。
おおまかには以下のような成長・発達が感じられるでしょう。
新しい運動や遊び、手の動きに対して、言葉で説明したりやって見せたりすることで、自分の体でイメージし習得することが早くなります。周囲の大人は、これまでの経験の積み重ねの大切さ・成長を感じる時期となるでしょう。
5歳になると、周囲の情報や動作を見たり聞いたりし、自分の心で判断したり、見聞きしたことを身に着けたりする力が十分についてきます。
「もうそんなことができるの?もう知っているんだ」と、周囲の大人が驚くこともあるでしょう。
お出かけや習い事など、特別なことをしなくても大丈夫。自宅でお料理やおやつ作りを一緒に行う、お手伝いや一緒に本や図鑑を読むなど、さまざまな経験や親子でのコミュニケーションを持つことも大切です。
それは、大きな子どもの刺激となり、好奇心が育つと同時に知的な能力も発達することでしょう。
5歳になると言葉はどのくらい発達するのでしょうか。
言葉の発達は、人とのかかわりの中で成長します。言葉の発達は人とのコミュニケーション能力の発達と同時進行と考えても良いでしょう。
特徴的な発達を紹介します。
子ども同士でケンカやトラブルを解決しようとしたり、遊びのルールを確認し合ったりしながら集団生活を進めていったりします。大人には、口答えをしたり揚げ足をとったりして、驚かされることも。
5歳児になると社会のさまざまな出来事やルールに興味を持つようになります。また、友だち同士での関わりの中で、自分たちでルールや遊びの内容を決めたり、けんかやトラブルになったとき周囲の仲間と一緒に解決しようとし、大人の介入がなくても解決していけるように成長していきます。
具体的な社会性の発達・特徴について紹介しましょう。
5歳児はまるで大人と変わりないような、社会性を身に着け人格が確立していきます。 自分の気持ちだけではなく、相手にも気持ちがあり、すり合わせていくことで楽しく充実した時間になることや、トラブルを回避し友だちや人とのつながりを感じ、情緒の発達にもつながるでしょう。
保育園や幼稚園でも5歳児クラスは園生活最後の1年として、保育士は一人ひとりの成長・発達・必要な援助・伸ばしたい個性を改めて確認します。また、それと同時にその一人ひとりが集まったクラスについて、どのようなクラスづくりをしていくかを熟考しています。
5歳児になった子ども達が4歳児から一番大きく成長することは、クラスの一体感でしょう。子ども一人ひとりが相手を思いやったり、クラスとして取り組むことへの醍醐味を感じながら、成長をしていきます。
これは保育士や教師がそのような目標を持ち、日ごろどのような関わりや言葉での投げかけが必要なのか考えながら丁寧に関わるからなのです。5歳児の発達についてふれたように、
また、知的な重複するところもありますが、身体的・知的な発達についても興味や関心の広がりからさまざまなことに挑戦してみたいという気持ちが大きくなります。
このころの5歳児は入学や卒園への期待とともに、不安もいっぱいです。在園中は、周囲の大人が「もうすぐ1年生なのだから」とプレッシャーをかけることなく、入学を楽しみに迎えられるよう、声をかけたり話をしたりします。
5歳児になると大人に対して口答えをしたり、揚げ足を取ったりすることが得意になることがあります。また、自分の決めたことに対して気持ちを曲げなかったり、泣いたり怒っても通そうとするときもあります。
この時期は、1歳半頃から3歳くらいまで続く「イヤイヤ期」(第一次反抗期)と、中高生にある「第二次反抗期」との間にある「中間反抗期」とも言われています。
反抗期は自立心が育つ時期。最近言葉がとげとげしいな、反抗的な言葉や態度が増えたかも?と思ったら、それは5歳から9歳くらいまで続くと言われる「中間反抗期」に突入したのかもしれません。
そんな子どもの様子が現れたとき、大人はどのように関わったら良いのでしょうか。
「中間反抗期」の子どもに接する大人はイライラしますが、先の見通しを持てるように予定をあらかじめ話してあげたり、大人に対して強い態度や言葉で接してきたときは、大人は強く叱らずにまずは共感しましょう。
そして、落ち着いてから「そういうときはどうしたらよいか」、または「そういう言い方をするとびっくりするしママ・パパは悲しくなるな」などと情緒的な言葉で優しく伝えましょう。
子どもは大人のそうした態度や言葉にハッとしたり、素直に大人の言葉を受け止め、様子が改善していくでしょう。
「何?その言い方!」「親に向かって」「いつも怒ってばっかり」「もうまた?」など、ネガティブな言葉で子どもを責めるのはNG。
5歳になったとはいえ、まだ生まれて5年。まだまだ心と言葉がうまく表現できないこともあります。まずはしっかり気持ちを受け止めてあげて、安心させてあげることで落ち着いていくはずです。
「中間反抗期」の子どもの態度を含めた具体的な大人の関わりを、シチュエーション別にお話しましょう。
保育園や幼稚園へ通っていれば社会的なルールや集団生活のルールは理解しているはず。 それと同じように、子どもの年齢が上がってくると家庭生活のルールも必要になってきます。
家庭で過ごすときのルールや子どもの役割を持たせることで、ルールを守れなかったときにルールに触れながら話すことで子ども自身がミスに気づきやすくなります。
例えば、ゲームをする時間を決める、家庭内での役割を子どもも担う(靴を揃える・お箸やコップを出すなど食事の用意をす等)などがあるかもしれませんが、家庭でのルールを決める際も保護者が一方的に伝えるのではなく、子どもと一緒に考えるという過程が大切です。
一緒に考えると納得しルールを守ろうとするでしょう。
ルールを守らなかったとき、乱暴なことをしたり暴言を吐いたりと、さまざまな場面で叱ることがあるでしょう。そんなときに大切にしたいのが、大人が感情的にならないことです。
「どうしたの?」 「何があったの?」 「ルールはどうだったっけ?」とまずは子どもに寄添う言葉をかけてあげます。
特に「どうしたの?」という言葉は、子どもを信頼している気持ちが伝わる言葉です。 いつもはできるのに、何かあったの? と大人が寄り添う気持ちを子どもが感じ取るでしょう。
その上で、「そうだったんだね。〇〇はどうしたらいいと思う?」一緒に考えたり、「これは〇〇だから、してはいけないよ。」と、いけない理由を話すことも大切です。
こどもを叱ることは、子どもに正しいことを伝えることと自立や成長の手助けをすることであって、感情に任せて怒りつけ萎縮させることではありません。
ついつい大きな声を出して、子どもを責めたくなる気持ちもよくわかります。保護者ならみんなが通る道でしょう。保護者も少しずつ意識を変え、子どもとともに成長していきたいですね。
暴力的な言葉や態度に対しては、「それはいけないよ」としっかり毅然とした態度で伝えましょう。
特に家族や友だちなど、人に対してそのような言動や態度があった場合は、落ち着いてからなぜいけなかったか話します。
その上で、今後はどうしたら良いか一緒に考え子どもから言葉を引き出せるといいですね。
ルールを守れた、人にやさしくできた、お手伝いができた、嫌いな食材を食べられたなど、子どもが良い行いをしたり、自ら行動できたり、苦手を克服しようと努力をしている姿を見せてくれる時もたくさんありますね。
思わず「すごいね!」「えらかったね!」「さすがもうすぐ1年生だね」と褒めちぎりたくなります。
けれどときに、「褒める」ことは子どものプレッシャーになったり、褒められたいがために行動をするようになることもあります。
褒めたい場面では「できたね」「ママうれしいな」「食べられたね」など、子どもができた行動をそのまま言葉にする=認める・肯定する言葉をかけるようにしましょう。
このような言葉がけをすることで、褒められることよりも保護者が自分を見ていてくれている、今の自分は正しい・できるようになったと、自分で自分を認め、自己肯定感が高まります。
自分に自信を持ち、今のままの自分でいいのだ、生きていてよかった、この家庭はいいな、ママやパパが大好きだな、この社会はいいところだな、とさまざまな思いにつながります。
5歳になると大人と同じように体力がつき、さまざまな運動機能や巧みな動き、物事の捉え方ができるようになっていきます。
体も心も急成長していくこの時期に、さまざまな経験をさせてあげたいですね。
お料理をはじめとする家事や、アウトドアでキャンプやトレッキングなどの体験、英会話やリトミック・ピアノなどの習いごとやスポーツ少年団への入団体験、プロスポーツ観戦など、普段したことのない経験をすることで、脳に多くの刺激が向かい、さまざまなことへ興味・関心が広がります。
また、経験したことの中から好きなことや得意なことを見つけ、楽しめるようになるでしょう。
5歳になると1年生になることへ向け、机やランドセルの用意をはじめ、周囲の大人は「もうすぐ1年生だね」とうれしい声掛けが増えるでしょう。子どもは大人よりも期待と不安で胸いっぱいになっているはず。
そんな子どもに対し「もうすぐ1年生」という言葉を使ってプレッシャーをかけたり叱るときの言葉にはしないようにしたいですね。
「もうすぐ1年生なのにピーマン食べられないと恥ずかしいよ」
「1年生になるのに約束守れないならランドセルは買えないな」
など、ネガティブなことを言うことで、1年生になるってなんだかイヤかも……。と子どもが感じてしまうこともあります
また逆に、 「さすがもうすぐ1年生だね!お手伝いできてすごいね」など、プレッシャーになるような言葉がけを繰り返さないよう気をつけましょう。
体も心もしなやかに成長する5歳児。好奇心を刺激する毎日のおすすめのおすすめの遊びを紹介します。
体をたくさん動かし少し難しい動きも興味を持って楽しめる5歳児。ですが、体の器用さや運動機能の発達は、個人差があるので、むずかしそう・楽しめていない場合は無理をさせないようにしましょう。
ボールをキックしたり、キャッチボールをする、ドリブルをしながら歩くなど、ボールを使って走りまわる遊びは、運動機能や視覚能力を高めると同時にストレスを解消できる遊びです。
近くの森や林、公園などにはさまざまな草花や樹木があります。葉っぱの違いや木の幹の違い、野鳥の声や姿などを見たり聞いたりして楽しみます。
見つけた花や草、野鳥を図鑑で調べたり、スマートフォンで調べて、花や木の名前を知ることはとても楽しいでしょう。
知的好奇心も高まり、公園や自然の中へ出かけることを楽しめるようになります。
今は、手ぶらでキャンプ体験ができる「グランピング」などの施設が日本各地に増えました。キャンプ道具やアイテムを持っていなくても、キャンプを楽しめます。
火を起こす、ナイフで食材をカットする、テントを建てる、ペグをハンマーで打つなど、子どもにとって非日常的な体験が盛りだくさんです。
自宅ではさせてあげられないことも、キャンプであれば保護者にも時間の余裕があるので安全にできるようゆっくりと見守ってあげられることでしょう。
散歩は疲れるし退屈、付き合う保護者も大変に感じるかもしれませんが、自転車でお出かけしてみるのもおすすめ。
自転車は歩くことよりも疲れにくいので保護者も付き合いやすいのではないでしょうか。 風を感じてサイクリングするのは爽快。車では通れなかった道を通ってみたり、ゆっくり景色を見たり、いつもは車で行く場所に自転車で行くことが新鮮で、楽しい活動になるでしょう。
室内では「静」的な遊びが多くなりますが、普段は「遊び」と捉えていないことも楽しめる内容も紹介しましょう。
家事をするのは良い体験になり、集中して取り組めます。お風呂を洗う、食器をしまう、お料理をする、おやつを作る、掃除機をかける、玄関を掃くなど、子どもが経験したことのない家事は特に、楽しんでやってくれるでしょう。
ポイントは、やり方を簡単に伝え、ダメ出しはしないこと。
始めは、仕上げは保護者がやるつもりで、少しずつ「こうやると簡単だよ」などのコツを知らせていきましょう。
危なっかしくても手を出したり止めたりしてはいけません。
子どもは危険や困難な中から安全に行う方法を求めて自分なりに加減したりすることを習得します。
100円ショップや雑貨店にもドミノセットが販売されるようになりました。お値段の張る高級品でなくても、リーズナブルな物で十分楽しめます。
倒れないように並べること、倒れてしまったときのくやしさ、倒れないようにする工夫、おもしろい倒れ方をする並べ方など、楽しみ方が広い遊びです。
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風船はゆっくりと落ちるので、床に落とさず何回レシーブできるかを楽しみます。
立って、寝転がって、膝をついてと、さまざまなスタイルでやってみたり、風船を1個だけではなく、数を増やしてやってみたり、お部屋にひもを貼って家族で対戦したりと、遊び方のバリエーションがたくさんありますよ。
ペットボトル、ラップの芯、箱ティッシュの空き箱、段ボール、新聞紙など廃材を使って工作をしてみませんか。
セロテープやガムテープ、カラーペンや折り紙なども用意してあげるとカラフルに仕上がりますね。
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5歳は、魅力的なストーリー性のある絵本や、一緒に冒険している気持ちになる絵本、豊かな心を育み、子どもの心へ訴えかけ、投げかけるストーリーの絵本など、さまざまなジャンルを楽しめるようになります。
また、絵本のほかにも保育士や教師に物語を読んでもらって耳で聞き、イメージを自分の心の中に広げるような作品も良いでしょう。おすすめしたい絵本を3冊紹介します。
お子さんは、車いすに乗った人、手や足が欠損している人、声をあげたり独り言を言ってしまう人、耳の聞こえない人など、障害のある人とかかわったり会ったりしたことはあるでしょうか。
障害のある人とは? 手がない「さっちゃん」を通して、さっちゃんの心の中を知ったり、周囲の友だちの関わりを感じたり、母親の子どもに対する思いなどに触れられる絵本です。
読み聞かせる保護者の方が胸がいっぱいになって、涙がこぼれるという人もいます。 自分とは見た目や雰囲気、考え方の違う人がたくさんいること、障害のある人について親子で話すきっかけになることでしょう。
死んだら地獄? 天国? おどろおどろしい表紙とは裏腹に、地獄へ落ちた「そうべい」が、愉快に地獄を飛び回り、生き返るお話です。
妖怪やお化けっているのかな? いないよ! まだなんとなくいるような気がしている5歳の頃。そんな子どもへ、楽しい妖怪と遊ぶ主人公の楽しさを伝えてくれる絵本です。
怖いけれど、絵本を見ている子どもも一緒に遊びたくなるようなダイナミックなイラストとストーリー、そして「めっきらもっきらどおんどん」という呪文が印象的です。
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5歳児は、3歳頃に比べるとずいぶん大人っぽくなり、言葉も体も大きく成長する時期です。けれど、大きく成長するには、保護者が温かく見守る視線と子どもの成長をどう伸ばしていくか、家庭のルールはどうしていくか、という主軸が必要になってくる時期でもあります。
子どもが元気に過ごしていても、安心しきってしまうことなく、コミュニケーションをたくさんとって、さまざまな会話を心がけたいですね!
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炭本まみ
保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。