幼児・小学生との親子ケンカの理由は?仲直りのコツやケンカが絶えないときの対処法を保育士が解説

幼児・小学生との親子ケンカの理由は?仲直りのコツやケンカが絶えないときの対処法を保育士が解説
3歳を過ぎたころから大人と会話が成立し、屁理屈を言うようになったり反抗的な言葉を使ったり、時には大人を馬鹿にした言葉を使うようになることもありますね。ついついイラっとして親子ケンカになってしまうことも。そんなときの対処法を保育士ライターが解説します。
目次

成長と共に悪い言葉を使ったり、人を馬鹿にしたりするわが子を見て、叱ったり怒ったりするうちに、売り言葉に買い言葉のケンカに発展してはいませんか。

親も子もお互いがイライラやストレスを言葉でぶつけ合うことは、子どもとの関係がギスギスして会話するたびにすぐにケンカ腰になってしまうこともあるでしょう。

小学生になると、周囲の友達や上級生との関わりからだんだんといけない言葉を使って相手を黙らせようとしたり、傷つけるつもりはなくてもひどい言葉を放つこともあるでしょう。

ケンカになってしまった場合、子どもから謝るまで許さない・口を利かない・良好な態度をしないなど、親も意地になってしまいますよね。
子どもと親子ケンカになりそうになったとき、どうしたらケンカに発展せずに済むのか、また、ケンカになったときはどうしたら収まるのか対応に悩んではいませんか。

子どもとの関係性が成長と共に変化する幼児期から小学生の頃の親子関係を基本に、親子ケンカになってしまったときの対処法を保育士の炭本まみが、詳しくお話します。

親子ケンカは幼児期から起こる!?

大人との会話が少しずつ成り立ち始めるのには、個人差があります。 おおよそ2歳から3歳を過ぎた頃には大人と簡単な会話ができるようになる子どもが多いでしょう。

2歳から3歳の頃は、素直に言うことを聞いていた2歳前のころから成長を重ね、イヤイヤ期や反抗期へと突入する時期です。

親や周囲の人の言うことに対し、この時期の子どもはまず「イヤ!」「自分で!」と自己主張をしますね。
そういう時期だとわかってはいても、ママ・パパも疲れていたり忙しい時間帯にそう言われると思わずイライラしてしまうでしょう。当然のことです。

思わず「イヤイヤ言わないで!」「もういい加減にして」と疲れやストレスを子どもに言葉で放ってしまいますね。
幼児期は「イヤ!自分で!」「もうママ知らないからね」など、自己主張をスタートした子どもに対して、思うようにならない大人のイライラから親子ケンカに発展することが多いもの。

小学生になるころには、言葉が発達し大人と対等に会話ができるようになります。けれど、宿題や明日の用意、生活面でのルールなどについて注意をすると、子どもが言い返したり反抗したりすることが多くなります。
できていないからうながしただけなのに…。親の気持ちとは裏腹に子どもは「今やろうと思ったのに」「うるさいな」と思い、ケンカになっていきます。

親子ケンカの原因は?よくあるパターン

子どもとの親子ケンカにうんざりしているママ・パパは、どのような原因でケンカになることが多いのでしょうか。それぞれ子どもの年齢別によくあるパターンを紹介します。

幼児期の場合の親子ケンカの原因
  • イヤイヤ期の子どもに対して保護者がイライラしてしまう
  • 歯磨き・着替え・食事など生活面のしつけをすると嫌がる
  • 自分の言いたいこと・したいことが上手く言葉で言えず、癇癪を起こし保護者が叱る
  • 悪い言葉・人を傷つける言葉を深く考えずに言う
  • ゲームやスマホ、テレビをいつまでもやっていてルールを守らない
  • 保護者のうながしや注意に対して口答えをする
小学生の場合の親子ケンカの原因
  • 宿題や明日の用意についての注意へ反論
  • 家庭でのルールやすべきことを守らないことに対する注意
  • 帰宅後や起床後などに機嫌が悪く、保護者に八つ当たりする
  • 保護者が過去の失敗例も引き出し、説教をする

大まかにはこのようなことが原因としてあげられるでしょう。
こうして状況を冷静に考えると、ケンカにならない方法や事前の対処法、保護者の声の掛け方によって、ケンカを回避できるケースもありそうです。
次の項では親子ケンカをしたときの対処法と、仲直りのコツをご紹介します。

親子ケンカをしたときの対応は?仲直りのコツ

そもそも親子でなくともケンカとは、なぜ起きるのでしょうか。

  • 日頃思っていることをなかなか伝えられず爆発しケンカになる
  • 相手に対して期待をしていることを裏切られたと感じた
  • 自分の思い通りにならないことに対し、イライラして相手に怒る
  • 自分の時間を無駄にされたことに怒る
  • 感情の赴くままに、言葉に気持ちをのせて勢いで言ってしまう
一般的なケンカが起きる原因には、このような要因があると考えられますが、これは親子ケンカにも当てはまるのではないでしょうか。

ケンカにならないように、日頃の会話を通して様々な社会的なルールや人との関わり方、生き方や考え方に対する親の思いを伝えたり、子どもの思いを受け止めながら話したりすることで回避できるはずです。

それでも保護者も感情のある人間ですから、ケンカになることもありますね。もしもケンカになったとき、どのように対応したらよいのか仲直りのコツをお話しましょう。

時間を置いて保護者から謝り、ケンカの状況について話す

ケンカ後すぐに仲直りするのは親子ともに気持ちの切り替えが難しいかもしれません。 冷静になる時間が必要ですね。

お互いが冷静になったかな?と思った頃に、「さっきはたくさん怒ってごめんね」と、まずは子どもに対して感情的になったことを保護者から謝りましょう。
ただし子どもの態度が穏やかになっている場合でも謝ることを強要してはいけません。謝るという行為は人に言われて謝っても、何の意味も持たないからです。
子どもが自分の気持ちを切り替え自ら「ごめんね。」と言えるまで待ちましょう。

保護者が謝ったあとは、「ママ、〇〇ちゃんの言い方が悲しかったよ。今度もしそういう気持ちになったらもう少し優しく言ってくれたら嬉しいな」と、諭したりお説教をしたりするのではなく保護者のそのときの気持ちと、どうしてほしいのかをはっきり伝えましょう。

子どもがどんなに大きくなっても、保護者が悲しむことは胸が痛むものです。言い方・伝え方を教えるとともに、態度や言葉に気をつけなければ相手を傷つけるのだということをさりげなく伝えられるのが、保護者が「自分軸」で気持ちを伝えることです。すぐには伝わりませんが、繰り返し伝えていきましょう。

子どもの気持ちをよく聞きながら、ルールを相談して決める

お互いの気持ちを伝えられたら、どうしたかったのか・今後どうしたらいいと思うかをゆっくり話し合ってみましょう。
どうしたらよいと思うのか、まだ表現できない年齢であれば、こんな方法はどうかな?と提案してみるのも良いでしょう。小学生になれば、子どもが自分で言えるかもしれませんね。

そのようにして親子で話したことは、子どもが目につきやすいところへメモに書いて貼っておくのはいかがでしょうか。

また同じようなことが起きたときには、落ち着いてから確認しましょう。
社会性や人との関わり方、家庭内のルール・集団生活のルールなど、保護者としての思いや子ども像を話し合いをしながら伝えていきましょう。

ケンカにならないように「今はそういう時期」と冷静になる

子どもの癇癪や反抗的な態度、乱暴な言葉などは、必ず何か心の中に思っていることがあるけれど上手く表現できないか、そういう態度をして大人を試しているということもあります。

人に対する言葉遣いや態度、ルールを守ることなど、家庭内で社会性を育てていくことが大切ですが、その一方で、「今はそういう時期なのだ」と保護者が冷静に子どもの成長を見つめ、受け止めることも大切です。

子どもと同じ土俵に立ち、感情に任せてケンカをすることは、子どもの成長発達においては、あまり意味がありません。それどころか、子どもの態度がエスカレートしたり、保護者との信頼関係が希薄になる可能性もあります。

何を言ってもママ・パパは怒らないと子どもが思ってしまうのは、家庭のバランスが崩れている証ですので良くないのですが、保護者の中で「ここまではいいけれど、ここからはダメ」と線引きをしておくことをおすすめします。

ダメなこと、悪い言葉、傷つける態度などをしたときは、怒ったり怒鳴ったりケンカをするのではなく、毅然とした態度で「そういう態度は良くない。ママは悲しい。優しく言ってくれた方が伝わるな」と伝えてみましょう。

また、宿題や家庭で決めたお手伝いなど子どものしなければならないことをしない場合は、「宿題どこまで進んだの?」「靴揃えてくれたんだね(やっていなくても)」など、様子をうかがうように促すことをおすすめします。

指示・注意されたのではなく、気づかされたと子どもが感じるような言葉がけを工夫してみましょう。

これはNG!親子ケンカで避けるべき対応

親も子も感情があるので、ケンカをまったくしないのは難しいことです。親も子どもに対して腹が立つこともあるでしょう。

ただし、だからといって感情に任せて人格否定するような言葉を言ってはいけません。
例えば「お前など産まなければよかった」「いつまでたってもダメな子だね」などは、子どもの存在そのものを否定することになり、大変傷つきます。

子ども自身ではなく子どもができていない「行動」に対して指摘をするよう気を付けましょう。
また、この前も・去年からずっとなど、過去の注意までも引っ張りだして怒ることもやめましょう。言いたくなる気持ちはよくわかりますが、それは保護者のストレスを子どもにぶつけているだけで、何の意味も持たず、いたずらに子どもを傷つけ、子どもの自信を奪います。

さらに、叩いたり押したり、転ばせたり、つねったりなど体に対する暴力は絶対にやめましょう。また、食事を与えない・家に入れない・どこかへ閉じ込める・無視をするといった行為も絶対にいけません。逆になぜ自分は子どもに対して暴力をふるいたくなるのか、自分自身を振り返る必要があります。子どもではなく保護者自身に何か心の傷や悩みがあるのではないでしょうか。

どうしても止められない場合は、家族や保育園、学校、児童相談所などに相談しましょう。

親子ケンカで感情をエスカレートさせない秘訣

親子ケンカをエスカレートさせない、または、親子ケンカを起こさない秘訣はただ一つ「子どもを冷静に見つめること」です。

子どもの行動のすべてには、その行動をする意味や背景があります。
大人の意識していないところで、子どもは色々なことに気づき、感じとり、周囲の人や保護者を観察しているものです。

子どもが感情的になっていたり、強い言葉や態度を投げかけてくるとき、「どうしたの?」 と声に出してみましょう。それとともに保護者も心の中で「最近何かあったかな」と家庭や園・学校生活について振り返ってみるのです。

  • 帰宅後忙しくてあまり会話がなく、注意や促しばかりになっていた
  • 急かすことが多く、「早くしなさい」などの声掛けが多かった
  • 子どもと雑談をしていなかった
  • 学校や園の様子をしばらく聞いていなかった
  • 寝不足・夜更かしをしていた
  • 反抗期・イヤイヤ期である

このような状況が続いてはいませんか。
子どもと話すことは、自分の子どもへの在り方や、知らなかった子どもの抱えている問題や、悩み・さみしさ、希望などに気づく大切な時間です。

どんな年齢であっても保護者に自分のことを気にかけてもらえることが子どもは何よりうれしいのです。

保護者は子どもの保護者であり、ケンカ相手ではありません。
ちょっとだけ大人になって子どもの成長時期や、イライラの背景・原因を探ったり、わからなければ子どもとしっかり向き合って子どもだけの時間を作ったり、会話を増やすようにしてみましょう。

子どものイライラする時期は成長過程で必ず通る道でもあります。いつか終わるだろうと、見守りながらも距離を保つことも大切です。

***

子どもはいくつになっても保護者を信頼していますし、信頼してもらいたいと思っています。ケンカになるということは、保護者も感情を子どもにぶつけてしまっているということ。

ストレスや疲れを、周囲の人や自治体の支援などに頼りながら解消し、子どもとのかかわりを大切にし成長を見守りたいですね。

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執筆者

炭本まみ

保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。

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