おやこで一緒にお出かけした先で、知人に出会ったとき「こんにちは!」と子どもに声を掛けられることはありませんか。そんなとき子どもが恥ずかしがって保護者のうしろに隠れたり、無言だったり、照れ笑いして挨拶ができないと、保護者は「ほら、こんにちは、は?」とうながしますね。
子どもはいつ頃から言われなくても挨拶をするのでしょうか。いつ頃から挨拶が習慣づいていくのでしょうか。また、どのようにしつけをしたらよいのでしょうか。
大人は挨拶をされたら返す、または自ら挨拶をすることが当然のように身についていますね。その姿を見たわが子に「どうして、誰かに会ったらこんにちは、って言うの?」と聞かれたらどんな風に答えられるでしょうか。
保育園や幼稚園、小学校などの集団生活の中では習慣づいてできている子でも、意外とおやこだけのお出かけのときはできなくなるケースもあります。
子どもの挨拶を習慣づけるため、また、気持ちよく挨拶できる子どもに育てるために保護者にどんなことができるのかを、保育士の炭本まみが詳しくお話します。
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保育園や幼稚園へ登園したら一番初めに掛けられる声は挨拶ですね。「おはよう!」「おはようございます!」などの挨拶を先生方からかけられたとき、お子さんはどうしていますか?気持ちよく元気に「おはようございます!」と挨拶を返せているでしょうか。
そもそも、なぜ挨拶するのでしょうか。そしてなぜ社会では挨拶することを求められるのでしょうか。もしも子どもに「どうして挨拶をするの?」「しないとダメなの?」と聞かれたらどう応えてあげたらよいのでしょうか。
保育園では、一日の中で言う「挨拶」はどんなものがあるか考えます。
最低限でもこれくらいはあります。
保育士時代に筆者も子どもたちにそれぞれの挨拶には、すべて意味があるから挨拶をしない場合、されなかった場合、自分はどう感じるかをよく話しました。
元気で登園できたことを喜ぶ保育士・子ども本人、そして友だち。
誰かが栄養を考えて一生懸命作ってくれた食事を食べるありがたさ。
ケンカをしたときに仲直りする言葉。
願いをきいてもらったとき、親切にしてもらったときに言う言葉。
また明日ね、ばいばい!という言葉。
人との関わりの中でコミュニケーションを気持ちよくスムーズにしてくれる潤滑油のような役割が「挨拶」です。
おはようございますという挨拶をする朝に、そこから会話が発展することもあります。
いつもと違って元気がない挨拶のとき、「どうしたの?」と心配してもらったり、してあげることもできるでしょう。
また、感謝やお詫びの気持ちの挨拶は、さらに人との関わりを深め、気持ちの良い関係が作れます。
挨拶は、様々な人と関わる上で欠かせないコミュニケーションを取るきっかけであり、毎日の生活の中で活動の切り替えや節目になる言葉でもあります。
もしも挨拶をお互いにしなかったら、自分がしなかったら、なんとなく居心地悪い思いをしないでしょうか。子どもなら「無視をされたのかな」と感じるかもしれませんね。挨拶を返すことは、自分に声をかけ気遣ってくれたことに対するお礼や相手への思いやりでもあるのです。
子どもに挨拶の必要性や意味を聞かれたときは、こんな風に答えてあげたいですね。まずは保護者が「なぜ人は挨拶をするのか」という答えを明確にしておくことも大切です。
挨拶は何歳くらいからできるようになるのでしょうか。
挨拶をしている意識を持ち、はっきりと言葉にした挨拶を言えるようになるのは、早ければ
2歳半から3歳前くらいからでしょう。
言葉が出始め、大人と単純な言葉で会話が成立できるようになれば挨拶をすることはできます。
また、言葉がなくてもお辞儀をする、手を振るなど、仕草や態度で挨拶をしていることを伝える意識については、早ければ1歳過ぎた頃から2歳過ぎまでくらいからできる子もいるでしょう。
できる・言えるけれど、恥ずかしいし意味を理解できなくてしない子どももいます。意味も分からずオウム返しのようにする子どももいます。
それぞれの子どもの成長発達によって個人差はありますが、大人が挨拶を毎日している姿は見ており、少しずつ子どもも意識をするようになるのです。
保護者の方の中には、子どもの挨拶が身につかない、恥ずかしがったり嫌がったりして、挨拶について理解しているのに言えない悩みを抱えている方がいるかもしれません。
保育園では、朝、保護者から玄関で子どもを預かる際、必ず保護者と子どもに元気に挨拶をします。その際、挨拶をしない子どもは多いときは半数ほど、少なくても4分の1程度の子どもが挨拶をできる年齢であるにも関わらずできないことがあります。
なるべく3歳児クラス(年少さん)になる頃までには、挨拶ができるようにうながしていますが、家庭では保護者対子どもとの関わりなので、身につけさせるのが難しいと感じる保護者の方も多いでしょう。
ついつい「こんにちはって言ってるよ、こんにちは、は?」「ほら、ご挨拶して。もう恥ずかしい」「どうしていつも挨拶しないの?」と言ってしまいますよね。
子どもが挨拶をしない理由はどんなことなのでしょうか。
「こんにちは!「おはよう」「かわいいね」大人は子どもに対して好意的に色々な言葉をかけたり挨拶をします。保育園や幼稚園などの集団生活を送っている子どもなら、挨拶や言葉がけは毎日のことです。
挨拶のできない子どもの保護者の中には、「親の前ではおしゃべりが止まらないんですよ、『ちょっと黙っていてね』なんて言うくらいなんです」と話している方もいます。
家庭では自分自身をリラックスさせて、本当の自分を出せるけれど、外出先や家族以外の人の前では人が変わったように話さなくなる子ども=内向的・内弁慶なのでしょう。
無理に挨拶を強いたり、後になって「なぜ挨拶しなかったの?おうちではこんなに元気なのに」などと言うことで、さらに緊張し、家族以外の人への挨拶ができなくなることもあります。
「ドキドキしたね」「急に挨拶されるとびっくりするよね」と、子どもの心に強く共感をしてあげることが大切です。保護者が理解してくれているという安心感から、成長をしていくうちに必ず急かされなくても挨拶ができるようになります。
挨拶をしなくてはならない、挨拶は大切、挨拶の必要性も理解しているのにできない子どももいます。
例えば保護者が挨拶をした後に自分も挨拶をしようとしたのに、そのまま保護者と他人とのトークが盛り上がってしまい挨拶するタイミングを逃してしまうこともあるでしょう。
また、今までママ・パパと話していたのに、園に到着した・出先で保護者の知人に会ったなど、子どもにとっては急激に場面が変更になることで心の準備ができていなかったため、タイミングを逃した場合もあります。
そんなときは、「向こうに先生がいるから、おはようって挨拶しようね」など、心の準備をしてあげることが大切です。それでもできなかったとしても心配は不要です。
自分で覚悟したり勇気をだしたりし、自分なりのタイミングをつかんでいくはずです。
挨拶をしない・できない子どもの中には、家族がいない場所の方が本来の自分を出し切れる子どももいます。
成長と共に、家族の前で格好をつけるようになるのです。特に男の子に多いように感じます。
家族がいない場所では、平気で挨拶をしたり会話をしているのに、家族の前だと挨拶をしない、保育園や幼稚園では挨拶をしていると先生に聞いているのであれば、大丈夫です。
それは、年齢とともに自分以外の人の視線や見え方を客観視したり気にするようになった成長の表れです。
気になるようであれば、園と連絡を取り合い、先生方に挨拶や返事、会話のやり取りをしているか聞いてみましょう。
親に促されなくても自分から挨拶をするよそのお子さんを見ると、「すごいなぁ」「しつけが行き届いているな」「どう育てると自分から挨拶するようになるのだろう」と思う方がいるかもしれません。
挨拶は大人のわたしたちもそうであるように、習慣と慣れ、そしてコミュニケーションの一貫と捉えることで身についていくものですね。
挨拶をしたり会話をしたりできることで、近所の人が顔見知りとなり、いざというときに防犯など助けてもらうことがあるかもしれません。
だからといって、いくら言葉で子どもに「挨拶をしなさい」「明日はちゃんとしてよ」と繰り返し伝えることで挨拶って面倒、挨拶することが怖い、挨拶するのが緊張する、挨拶ができなかったらどうしようと思う子どももいます。
挨拶をする子どもに育てるポイントとはどのようなことでしょうか。
元気で機嫌良く挨拶をしてくれるママ・パパの姿は、子どもはしっかりと見て胸に刻んでいます。挨拶をすることは普通のことであり、家庭の中でも身についていることでしょう。
ママ・パパが子どもをせっついたり、怒りつけたり、機嫌が悪かったりするとママ・パパの挨拶がなかったり、声が小さかったりします。
また、子どもも出かけるギリギリまで眠っていて機嫌が悪かったり、朝食を食べる時間がなく元気がなかったり、叱られながらだと挨拶はできません。
子どもは日々成長し、個人差はあれど必ず大人になっていきます。焦らずにまずはママ・パパが挨拶を元気にする姿を見せ続けてあげてください。
「おはよう、は?」「挨拶しなさい!」など、他人に対しての挨拶を返さないわが子にイライラしたり怒ったり、何度も繰り返し挨拶をするように言うママ・パパもいます。
子どもは言われれば言われるほどに緊張し、恐怖と焦りで言葉が出なくなってしまいます。
そればかりか、相手の方にもその雰囲気が伝わり良くない空気感になってしまうことも。これでは挨拶の意味がありませんね。
帰宅してからでいいので「今度会ったら、こんにちはって言ってみようか。言えるとなんだかうれしくなるよ」と挨拶の気持ちの良さを伝えてあげる方がよっぽど効果的ですし、子どもの心に響きますよ。
子どもはいずれ成長し、小学校・中学校、そして社会人として大人になって行きます。その中で様々な人に出会い、挨拶の大切さや必要性が身に沁みる日がくるでしょう。
ママ・パパは挨拶をしないわが子に焦ることなく、自分たちの姿を見せながら成長を見守るのが一番の効果です。
子どもは着実に保護者の姿を見て成長をしていきます。
どんな子どもに成長してほしいのか、それは、保護者がそんな姿を見せること。
どうか、ママ・パパも元気で気持ちの良い挨拶を忘れず、毎日子どもに聞かせてあげましょう。
いつも挨拶の話ばかりしていると、子どもも保護者もくたびれてしまいます。 そんなときは楽しい絵本で挨拶に触れてみませんか。おすすめの3冊をご紹介します。
「おはよう・いってきます・いってらっしゃい・こんにちは・さようなら・ありがとう・ごめんなさい・ただいま・いただきます・ごちそうさま・おやすみなさい」の11のあいさつをシンプルな挨拶をかわいいイラストと共に描いたわかりやすい絵本。
1歳から2歳の小さな子どもも楽しみながら挨拶を覚えられそうです。
いろいろな場面、いろいろな状況で、どんな挨拶をすればいいのかな?と、親子で考えながら読める絵本です。
基本的なあいさつを身につけたり、上手にあいさつしたりできることは、人との関わりが楽しくなり、自分と相手、双方の胸を開いた関わりができると教えてくれます。
挨拶には正解はありません。「あなたなら、どうあいさつしますか?」と問いかけてくれる絵本です。
場面にあった挨拶を紹介しながら、挨拶をするとこんなに楽しくていいことがあるよ、と絵本の世界観を壊さない夢のある挨拶指導絵本です。
挨拶が自然と子どもたちに身につくよう、楽しい言葉や表現、楽しいイラストで紹介しているので、きっと絵本を見た後は、子どもたちも真似をして挨拶をすることでしょう。
うながされなくても自分からすすんで挨拶をする、礼儀正しい子どもに育ってほしい!保護者なら誰しもそう思いますよね。教え込むのではなく、まずは保護者自身の挨拶を元気にする姿を見せることが一番大切です。
笑顔で元気に挨拶をすることで、挨拶をされた人がどのような反応をするか、子どもは大人の様子を黙って観察し、いつしか真似るようになるもの。
内弁慶で挨拶をしない、繰り返し挨拶の大切さを伝えても身につかない‥‥‥。と焦ることなく、成長と共に必ず挨拶はできるようになります。絵本や日常会話を通して、挨拶の大切さや信頼関係を築く第一歩であることを、伝えていきましょう。
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炭本まみ
保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。