子どもが騒がないように、時間つぶしに、周りのお友だちが見ていたから…。なるべく見せたくないと思う保護者でも、結局はスマホ動画に頼ってしまったということは多いですよね。
そんなスマホ動画との幼児の付き合い方って、どうしたらいいのでしょう?自分たちが子どものころにはなかったサービスだっただけにどのようにしつけたらいいのか、悩むことだらけですよね。
「この時期はネットとの出会いの時期。この時期に親がどう対応するかが、その子と親とネットとの関係を決定づけていきます」
そう語るのは、研修講師や教材開発などを通じて「子育てとネット」領域での保護者や学校支援にも取り組んでいる、子どもネット研事務局の高橋大洋さんです。
スマートフォンの歴史が約10年、その中で動画をみんなが楽しむようになったのは、本当にここ数年の話ですよね。それでも、子育てにおいて「まったく見せない」という選択肢が大変困難に思えるほど、切っても切れない関係となってきました。
スマホ動画が小さな子どもたちにどのような影響を与えるものなのか、まだ研究成果があまりないという前提で、それでも幼児とスマホ動画においてぜひ保護者の方に心がけてほしいということをお伝えします。
幼児とスマホ動画で注意したいポイントはこの4つです。
まずは一つめ「スマホ動画以外の遊びをたっぷりと」。
じつはスマホ動画について「どのくらいの時間なら見せていいですか?」という質問をよく受けます。
じつはこれについては、この時間なら大丈夫という、絶対時間はありません。
子どもの一日の過ごし方とのバランスと大いに関係があるからです。
幼児期は、ほんとうにたくさんの種類の、多様な遊びを通じて、心身ともに発達していきます。
一人遊びだったり、集団遊びだったり、体を動かしたり、指先をうごかしたり。
そういう多様な遊びをできているかどうかが、スマホ動画視聴と大きく関わってくるのです。
一日の子どもの遊び時間の半分以上がスマホ動画視聴になっていたとしたら。それは発達に悪影響がありそうだといわれています。
また、スマホは一部の手指しか使いません。とても偏った身体能力の使い方なのです。
幼児期は1時間以内にといった提言を聞かれることがあると思いますが、それは子どもの一日の可処分時間とのバランスから算出された目安です。
スマホ動画はどうしても夢中になるものです。
スマホ動画に夢中になってほかの遊びができない、とならないように、見る前に時間を決める。
そして終わらせるときは親が声をかけることが大切です。タイマーをかけておくのもいいですね。
二つ目は、絶対に守ってほしい「睡眠1時間前の視聴はNG」。
スマートフォンは目に近い位置で強い光を浴びるため刺激が強く、また体内リズムの乱れを引き起こすなど、睡眠の質に悪影響を及ぼしていると、大きな問題となっています。
どんな事情があっても、睡眠1時間前にはスマホ動画をスパッとやめましょう。これは大人も同じですね。
3つめの「おやこでいっしょに”共視聴”」ですが、これはスマホ動画だけでなく、DVDやテレビ視聴にもいえることです。
じつは、どれだけ質のいい教育番組でも、子どもがじーっと一人で見てるだけでは教育効果が期待できないということがアメリカでの実験でわかっています。
子どもは、何かを視聴するときに子どもなりの理屈で理解しようとしています。
しかし、それは必ずしも正しい理解とはいえません。
そういうときに、親がその内容についてちょっとした声掛けをして、理解のギャップを埋め、理解を助けてあげるということが非常に大切なのです。
横で座ってずっといっしょに見ているというのは、なかなかにむずかしいかもしれません。
ですが、家事や下の子のお世話をしながらで構いません。
「アンパンマン、すごいねー」「バイキンマン、いたそうだね」などとその内容に関わる感想を、子どもにかけていくとよいでしょう。
子どもは親もいっしょに見ているということでの満足感も得られます。
そして親の言葉をもとに、内容を深く理解していきます。
その”共視聴”がむずかしいのが、スマートフォンです。
どうしても画面が小さく、誰かと共有しにくいアイテムですし、親ものぞきこまなければいけません。
ですから、スマートフォンをテレビにつなげて、テレビをモニタ画面として見るのをおすすめします。
親も遠くからでも見やすいですよね。
デジタル家電の映像と音声をデジタルテレビに送る「HDMIケーブル」を用いれば簡単にテレビにつなぐことができますよ。ぜひ試してみてください。
ちなみに、スマートフォンの課題はここにあります。
スマートフォンは手元で操作ができるので、他者とその内容を共有できず、同じ空間にいてもお互い何をやっているのかわからないツールなのです。
たとえば、新聞を読むのは、「お父さんが」「起きてすぐ」「ソファーに座って」「表から」読む。
あるいは「お母さんは」「朝ごはんが終わってから」「ダイニングテーブルで」「中を開いて」読む。
そんな風に、さまざまな動作を、子どもは大人を観察して、少しずつ学んでいくもの。
それがスマートフォンではできず、学習のチャンスがありません。
そのため将来、小学校高学年、中学生になったときに、自分なりにしか使うことができず、それがトラブルになりやすい理由のひとつなのです。
なので、スマホでも親はどんな風に選んだり、どんな風に操作しているのかなどのお手本を見せていきましょう。
また、子どもが好きな動画について会話をするのもいいですね。
「おもしろかったね、びっくりしたね」など、その動画をみていないときに話をするのも、子どもにはうれしい、いい体験になるでしょう。
さて、いまの時代3~6歳の時期というのは、初めてネットと出会う時期であるといえるでしょう。
この時期にどうネットとの関係の基礎を作るか。
大げさですが、これからの子どもの人生に大いに関わるといっても過言ではありません。
小学校、中学校、高校…。現代では、ネットとしつけの関係は切っても切れません。
問題はどんどん複雑化していきます。あとから、ルールを厳しくしても子どもは不満に思うだけなのです。
ですから、4つめの「おやこの約束づくり」は本当に大切なのです。
おやこで約束を作り、約束を守れるよう運用していきましょう。
もちろん、約束を守れたらしっかりほめる。
その繰り返しが、将来の親、子ども、スマホ(ネット)の関係に必ずやいい影響を及ぼしてくれるでしょう。
保護者のみなさんに覚えておいてほしいのが、ネット動画は「ハマらないほうがおかしい」ということです。
テレビ番組は、マスにむけてのメディアなので、子どもにとって楽しいものばかりではありません。
DVDは数に限りがあるので、面白くて繰り返し見ても、いずれ飽きが来てしまいます。
でも、ネット動画は次から次へと自分の興味に合うものが提供されます。
さまざまな視聴分析から、脱落しないような改善が確かな精度でどんどん実施されています。
いままでのメディアとは、まったく違う「だれもやめられない仕掛け」がいっぱい張り巡らされているのです。
ですから、スマホ動画に子どもがハマっても、それは子どもが悪いわけではありません。
子どもを叱ってもどうしようもないことといえるでしょう。
スマホ動画は、いつでも、簡単に、リーズナブルに時間を過ごせる、とても便利なツールであることは確かです。
しかし、その裏には吸引力のある大きなリスクもはらんでいるということを、きちんと大人が知っておく必要があるでしょう。
どうしてもハマってしまうもの。
かけがえのない大切な時期に、子どもからたくさんの体験のチャンスを奪ってしまうことにもなりかねません。
だからこそ、ほかに面白いことをどれだけ準備するか、そこが親の腕の見せどころでもあるのです。
ちなみに、2歳まではスマホ動画は基本的には避けてください。
相手の反応を見て脳が育っていく発達の大切な時期のため、一方的に発信される動画はなにもいい影響がありません。
祖父母とのビデオ通話などにとどめておくことをおすすめします。
子どもネット研事務局メンバー 高橋 大洋
子どもたちのインターネット利用について考える研究会(子どもネット研)事務局メンバー。研修講師、教材開発、執筆などを通じて「子育てとネット」領域での保護者や学校支援に取り組む。二人のお子さまをもつお父さんでもある。
子どもたちのインターネット利用について考える研究会
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