昨今「食」を取り巻く環境が大きく変化しています。
スーパーでは、旬に関わらず多種多様な食材が手に入ったり、カット済みのものが並んでいたりと、消費者にとっては非常に便利な変化です。 その反面、幼少期からこのような環境に慣れてしまうと、食材に対する感謝や大事に思う気持ちが薄れ、好き嫌いに繋がっていくということも事実です。
「じゃあ。どうしたらいいの?」と考え込んでしまいますよね。
好き嫌い克服のため、周りの環境を変えることは難しいですが、食育は家庭でも意外と簡単に取り入れることができます! 今回は、子どもが主体的に参加しやすい、家庭での食育をご紹介していきます。
はじめに、食育の定義を解説します。
食育は、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置付けられるとともに、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるもの。 (参考:農林水産省 「全国食育推進ネットワーク」)
とされています。 やや難しく定義されていますが、つまり、「食事に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けること。」であると言えます。
定義を知ると、いかに幼少期の食育が重要かが理解できますよね。
次に、食育から身に付くとされている6つの力を紹介します。
①食べ物を大事にする感謝の心 ②好き嫌いしないで栄養バランスよく食べること ③食事マナーなどの社会性 ④食事の重要性や心身の健康 ⑤安全な品質など食品を選択する能力 ⑥地域の産物や歴史などの食文化の理解など (参考:文部科学省 「食べるが「価値」。」)
幼少期に育む力としては、どれも不可欠です。 その中でも好き嫌いの克服に繋げていくには、「食べ物を大事にする感謝の心」を育んでいくことが重要です。
幼少期の食育の重要性が理解できたところで、どのような食育が効果的なのかを紹介していきます。
食育の働きかけ方は、多種多様です。 その中でなにより重要なことは、大人の「やってごらん」が強くなりすぎないこと。つまり、子どもが楽しんで主体的に参加することが、効果的な食育に繋がっていくのです。
冒頭でもお伝えしたように、苦手な食材でも、その食材に関する楽しい経験や思い出が増えると「食べてみようかな?」というきっかけに繋げていくことができます。
では、子どもが主体的に参加しやすい、家庭でできる食育とはどのようなものがあるのか紹介していきます。
野菜の栽培体験は、野菜に興味を持つために非常に効果的です。
栽培体験というと、大きな畑を思い浮かべ、「それは大変・・・」と考える方が多いのではないでしょうか。 そのような心配はいりません! 家庭用の小さいプランターで十分なのです。
種を植え、毎日水をあげて育てていくという過程がなにより重要です。
子どもと一緒に成長の過程を楽しみ、成長日記などをつけていくとより良いです。 愛情を持って成長を見届けることで、興味が深まり、少しずつ苦手意識がなくなっていくことが期待できます。
「買い物にいくだけで食育?」と、疑問が浮かびますが、こちらも立派な食育です。
並んでいる食材で同じものは一つもありません。色や形などが全て異なることを知るのも、食育です。 そこで、子どもに一番美味しそうに見えるものを、選んでもらいましょう。
はじめは、選び方が間違っていても問題ありません。自分で選んだものには特別な思いがあります。 そのような経験を増やして、食材への興味を深めていくことが重要です。
大手スーパーでももちろん良いのですが、道の駅のような旬の食材が並ぶスーパーだとより良いです。また、そのようなスーパーには、カット前の食材が売られていることが多いため、食材の本来の姿を知ることもできますよ。
「こんなに大きかったんだ!」「皮はこんな色をしているんだ!」など、新たな発見により、食材への興味が増し、苦手克服への一歩を踏み出すことが期待できます。
栽培した野菜や、買い物で購入したものは、ぜひ一緒に料理をしてください。
包丁を握ることがまだ難しければ、食材を洗ったり、ちぎったりするだけでも十分です。あまりに難しいことを求めると、できない経験がマイナスな思い出になってしまうので、注意が必要です。 年齢や成長発達に合ったお手伝いを、任せてあげてくださいね。
自分で栽培したり選んだりした食材を自分で調理することで、またひとつ、特別な体験が増えるのです。
今回は、幼少期における食育の重要性と、主体的に参加しやすい家庭での食育を紹介しました。
家庭で行う食育は、「子どもが楽しんで主体的に参加すること」がなにより重要です。 苦手な食材に関する楽しい経験や思い出を増やしていくことで、克服に一歩ずつ近づいています!
苦手なものが食べられたときは、大袈裟に思えるほどたくさん褒めてあげてくださいね。 (kana)