小学校になると、たたかいごっこをする子は自然と少なくなってきます。 親御さんからたたかいごっこが大好きだったと教えてもらったり、ヒーローのハンカチなどを使っていたりすると「やっぱり」と思うことがよくありました。 正義感や思いやりがある子がとても多いのです。
たたかいごっこをたくさんしてきたからといって、乱暴になるということはありません。 教育現場で見ているかぎり、あまり関係がないと思います。 たたかいごっこで鍛えたパンチは、たしかに相手は痛いかもしれませんが…。
小学校低学年で手が出るトラブルは、思ったことを言葉にできなくて手が出てしまったり、何か原因があってイライラしていたりということが大半です。 理由があってのトラブルは、失敗を繰り返さないように指導することで、学校ではだんだんなくなっていきます。
「ごっこあそび」は、子どもの発達をうながす大切な遊びです。 好きなごっこあそびがたたかいごっこだとしても、かっこいいヒーローになりきって遊ぶうちに創造性が育まれています。 たたかいごっこで子どもがなりきっているのは、弱い立場の人をまもり悪者をたおすヒーローです。 ヒーローにあこがれる子は正義感にあふれており、暴力はいけないということをとてもよくわかっています。 ヒーローみたいにやさしくなりたいから、友だちがいやがることはやめて、よろこばせてあげたい。 中には友だちとヒーローごっこを楽しむために、悪役に「なってあげる」子もいます。 たたかいごっこってすてきだと思いませんか?
たたかいごっこが好きな子には、人の役に立ちたいという思いがあります。 小学校でも、困っている子がいたら率先して助けに行くんです。 例えば、けがをしている子を見つけたら「ちょっと待ってて!先生よびにいってくる!」と全速力でかけだして大声で職員室に飛び込んでいます。 先生のお手伝いや、係の仕事なども積極的にこなすので、学校ではたくさんほめられます。 やったことがない仕事も任されて、できることがどんどんふえていくのです。
こんな子は、「ありがとう」の言葉が一番のごほうび。 もっと活躍したいと思っています。 まるでテレビで見るヒーローそのものですよね。 たくさんお手伝いをさせて、思いきり褒めてあげてください。 はりきってどんどんお手伝いをするのではないでしょうか。 助けてもらっているこちらも、そのかわいらしさに笑顔がとまりません。
教員時代にたくさん見た子どもたちのかわいい行動をもとに書いてみました。 ちょっと乱暴かなと心配な子ほど「たすけて」と頼ってみてください。 入学してからも心配ないので、思う存分かっこいいヒーローになりきってもらいましょう! (かなせんせい)
・小学校教諭専修免許状/幼稚園・中学校(理科)・高等学校(理科)教諭第一種免許状/図書館司書教諭免許状資格 かなせんせい
小学校に15年勤務し、教員として子どもや親御さんとかかわってきました。教え方や自分の子育ての経験を保護者に伝えたときに喜んでもらえた経験から、退職してからもライターとして活動しています。