数字で証明︕幼児期に⾝につける【⾮認知能⼒】は「またとないチャンス」「可能性を信じよう」

数字で証明︕幼児期に⾝につける【⾮認知能⼒】は「またとないチャンス」「可能性を信じよう」
近年、⼦育てや教育の分野で「⾮認知能⼒」という⾔葉をよく⽿にするようになりました。この⾮認知能⼒を幼児期に育むことが将来の成功を⼤きく左右すると⾔われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。数字データを基に解説します。
目次

非認知能力とは

非認知能力とは、いわゆる学力とは異なる、目に見えない心の力を指します。
その中でも特に以下の力が大切だと言われています。

1. グリット(やり抜く力)

グリットとは、困難な目標に対して情熱と粘り強さを持ち続ける能力です。これは、長期的な成功に不可欠であり、社会で活躍するための重要な要素とされています。

2. 協調性と共感

他者との協力や他人の意見を尊重する能力、共感する力は、円滑な人間関係を築くために必要です。これらの能力は、チームワークやリーダーシップにおいても重要な役割を果たします。

3. 自己制御・感情コントロール

自己制御とは、目標達成のために自分を律する力であり、感情コントロールは、感情にうまく対処する能力です。ストレス管理や衝動的な行動を抑えるために重要です。


非認知能力が重要視される 理由は以下の通りです。

1. 社会問題の解決

非認知能力は、環境問題や貧困、差別、戦争などの社会問題を解決するための鍵とされています。個人だけでなく社会全体の幸福や安定に寄与することが期待されています。

2. 幸せな人生の基盤

非認知能力は、個人の幸福や満足感を高めるために不可欠です。自分に自信を持つことができることで、人生の困難を乗り越え、豊かな人間関係を築くことができます。

3. 認知能力の向上

非認知能力を鍛えることで、認知能力も向上することが研究で示されています。精神的に安定し、モチベーションが高まることで、学習や仕事のパフォーマンスは向上します。

つまり、従来の教育観の中で大切とされていた「読み書き計算」等の認知能力も、非認知能力の土台の上に築かれていくのです。



では、非認知能力の重要性を裏付ける研究にはどのようなものがあるのでしょうか。
その代表例が、1962年から米国ミシガン州で行われた「ペリー就学前プログラム」です。

ペリー就学前プログラムとその成果

このプログラムでは、低所得者層の黒人の3〜4歳児123人を対象に、質の高い幼児教育(※)を実施。さらに、週1回の家庭訪問も行いました。その後、プログラムに参加した子どもたちを40歳まで追跡調査したところ、驚くべき結果が明らかになりました。

※質の高い幼児教育についてはこちらの記事で解説しております
https://oyako-heya.jp/console/articles/3063

(執筆中7/27納品予定)

プログラム参加群は非参加群と比べて、以下のような顕著な差が見られたのです。

ペリー就学前プログラムの焦点は、知識の詰め込みではなく、計画力、コミュニケーション力、問題解決力など、まさに非認知能力の育成にありました。幼児期に質の高い教育を通じてこの能力を身につけることが、長期的な人生の成功につながることを示唆しています。

また、ペリー就学前プログラムに投じた費用は1万2,356ドルでしたが、その後の社会的コストの削減や税収の増加により、40年間で21万3,722ドルの効果をもたらしたと試算されています。1ドルの投資が17ドルのリターンを生んだ計算です。非認知能力への投資は、個人の人生を豊かにするだけでなく、社会全体にとっても大きな効果があるというわけです。

ただし、非認知能力の育み方に唯一の正解はありません。子どもの個性や興味関心、家庭環境などは一人ひとり異なります。大切なのは、それぞれの子どもに合ったアプローチを見つけ、楽しみながら成長を促していくことです。画一的なトレーニングを強要するのではなく、遊びや体験を通じて自然な学びを引き出すことが理想的です。

幼児期は非認知能力を育むまたとないチャンス。子どもの可能性を信じ、その成長に寄り添っていくことが何より大切です。

【参考文献】
Lifetime effects: The High/Scope Perry Preschool study through age 40. High/Scope Educational Research Foundation.
ローレンス・J・シュヴァインハート他(2005)

The rate of return to the HighScope Perry Preschool Program. Journal of Public Economics.
J・J・ヘックマン他 (2010)

ライター/監修:でん吉(保育士資格)

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執筆者

保育士 でん吉

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