”天才”を生み出すと話題の「モンテッソーリ教育」が真に目指すものってなあに?わが子にどう取り入れる?
3歳~6歳の子どもをもつママたちは、子育てや教育に関するどんな言葉に関心をもっているのでしょうか。「おやこのくふう」が実施したアンケート結果を見ながら、読み解いていきます。
子育てや教育、発達に関する言葉で気になっている言葉、詳しく知りたいことを聞いたところ、もっとも関心が高かったのが「プログラミング教育」。
2020年より小学校の指導要領に追加され、将来的にプログラミングを含む「情報」科目を大学入試に加える方針が決定されたことで、より注目を集めているといえそうです。
その目的は、どのような職業にも必要になる「プログラミング的思考」を身につけること。自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要か、一つ一つの動きに対応した記号をどのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを順序立てて論理的に思考していくことを学びます。
2位の「モンテッソーリ教育」は、ローマ大学最初の女性医学博士として障害児の治療教育に携わりながら、実験心理学、教育学にも大きな成果をあげたマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育方法。
「子どもには、自分で自分を育てる力が元々備わっている」という「自己教育力」の存在を前提としていて、藤井聡太棋士やGoogle創業者など世界の有名人が受けていたことでもいまとても注目を浴びている教育のひとつ。
先行き不透明な激動の時代に非常に重要な「真の生きるチカラ」を育めると、世界はもとより、日本でもますます広がっていくことが予想されています。
5位の「STEAM(スティーム)教育」は、2000年代にアメリカで始まった教育モデルで、科学・技術・工学・芸術・数学の5つの英単語の頭文字を組み合わせた造語です。
STEM(ステム)教育(S(科学)T(技術)E(工学)M(数学)の理数教育)にA(アート)の創造性教育を加えた5分野について、相互に関係しあう分野横断的な「実社会と結びついた学び」を指します。
8位の「アクティブ・ラーニング」は、先生が生徒に対して一方的に講義をする従来型の受動的な学びとは逆の、子どもたちが積極的に授業に参加できる能動的な学びのこと。自ら学ぶ力を身につけていける学習方法の総称で、その多くは「主体的・対話的で深い学び」と説明されます。
文部科学省による2017年・2018年公示の新学習指導要領でも、未来を生きる子どもたちに大切なのは「何を学ぶか」だけではなく「何ができるようになるか」「どのように学ぶか」であり、時代に合った新たな学習法として、アクティブ・ラーニングも推奨されています。
11位以降で注目すべきは、12位の「非認知能力」と17位の「認知能力」。
非認知能力については後述しますが、自制心、忍耐力、自身、協調性、コミュニケーション力などの点数で表せられない力のこと。 一方、認知能力は読み書き、計算など点数で測ることができる能力のこと。この2つの力は概念上、分けられていますが、対立するものではなく、「非認知能力が伸びていけば、認知能力にもプラスの影響を与える」という研究結果があり、いわば、認知能力の土台になるのが非認知能力です。
また、19位の「Ed Tech(エド・テック)」は、Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語。
教育現場にテクノロジーを入れてイノベーションを起こしていく動きやサービス全般を指し、ICT化(ITの力を使って、学校の教育現場を便利に豊かに変えていくこと)が進むにつれて、注目されてきました。
経産省の「未来の教室」をけん引しているのも、このEdTech。EdTechを教育現場に導入することで、英語、数学、理科、社会などのいわゆる"知識"習得をこれまでより劇的に短時間で行えるため、その空いた時間で、探究学習やプロジェクト型学習に取り組めるようになるのがメリットです。単に時間短縮ということではなく、効率的な学習を叶えるための手段というところがポイントになります。
上の問いで12位に入った「非認知能力」。
その言葉の意味を理解しているかどうかを聞いたところ、4割以上が「言葉自体を聞いたことがない」と答えた一方、「聞いたことがあり、意味もわかる」も約3割を占め、少しずつ定着していることがうかがえます。
非認知的能力とは、先に説明したように「点数化できない力」。「見えない学力」、「EQ=Emotional Intelligence Quotient(心の知能指数)」、「ライフスキル」「ソフトスキル」などと言われることもあり、これから未来を生きる子どもたちに欠かせない力として、幼児期から意識していくことが大切とされています。
先行きが不透明な昨今、コロナ禍が想定通りにはいかない世の中を決定づけました。このような予想がつかない緊急事態は、「テストで〇〇点取れた」というような知識だけでは、太刀打ちできません。
高い偏差値を獲得して、よい大学・大手企業に入れば安泰。そんな時代がまさに終わろうとしている今。どこにも正解はないからこそ、自分で、または他者と共にベストな方向を見出すための「非認知能力」が必要になるのです。
非認知能力同様に、これからの子どもに必要と注目を集めているSTEAM(スティーム)教育についても、半数以上が「言葉自体を聞いたことがない」という答えでした。
STEAM教育は、上で紹介した通り、科学・技術・工学・芸術・数学の5つの英単語の頭文字を組み合わせた造語です。
人工知能をもったロボットがいろいろなことをやるようになるこれからの時代、「正解のある問いを与えられてその解を答える」のではなく、「自ら問いを生み出して。自らスピーディーに解いていくこと」が重要になっていきます。
STEAM教育では、
を育みます。
今回のアンケートを通して、これからの時代を生きていくために必要な力や、それを身につけるための教育に、未就学児の親が高い関心を示していることがわかりました。
言葉は時代を映す鏡。
聞き慣れない用語と出会ったときにも「難しい」「わからない」と敬遠してしまわず、少し掘り下げてみることで、お子さまの未来を切り拓くヒントが見つかるかもしれません。
《調査概要》
・調査テーマ:「子育てや教育、発達に関する言葉」に関する調査
・調査方法:インターネットによる調査
・調査時期:2021年3月12日~14日
・調査対象:3歳~6歳までの子をもつ家庭
・調査対象者数:324名
ライター 福田チヅコ
主として大手通信教育会社にて未就学児や小学生向けの教材や告知物の編集・原稿執筆を担当。
その他、女性誌やWEBでインタビューや対談記事を手がけている。