幼稚園や保育園ではなかなかしなかったこと、できないだろうとさせていなかった動作の一つに「ちょうちょ結び」「タオルをしぼる」「ボタンを留める」などがあります。
園では、スモッグなど極力ボタンやひものないものを選んだり、靴もマジックテープのものを使用していた子も多いのではないでしょうか。
でも小学校では、徐々に服装や持ち物にこうした配慮がなくなってきます。 とくにちょうちょ結びやぞうきんをねじりながら絞る動作は、習得するのにコツが必要で、働きかけがなければ、子どもはなかなか身につきません。
小学校で必要になることが多い、手先を使った動作について元保育士の炭本まみが、家庭でのフォロー方法をご紹介します。
まず大前提として小学校では、入学して間もない子どもたちの個性や成長に差があることは十分承知していて、しばらくの期間は担任の先生のほかに補助の先生が入ります。
遅れをとる子どもや、できていない子どもにも声をかけたり、手伝ったりとケアしてくれるのであまり深刻に悩まなくてOKです。
ただし、小学校では手先を使った細やかな動作が非常に多く、
などさまざまな動作を素早く、指示を聞きながら行っていきます。
こういった動作を学校生活の中で滞りなく行い、遅れをとらずリズムに乗っていくようになるためには、ある程度練習をしておくと安心です。
もちろん、練習をしておかなくても入学してしばらくすれば少しずつできるようになっていくのですが、初めにつまずきを感じると、学校に対して苦手意識を抱くお子さんも少なくありません。
何も考えなくても、スムーズに難なくできている状態で入学したほうが、子どもはほかの事へ集中できストレスも抱えずに済むでしょう。
子どもは基本的に「できないことはできるようになりたい」、という感性を持ちながら成長をしています。そこを刺激するように、難しいことも繰り返し遊びながら練習できるといいですね♪
手先を使った遊びは、今後のさまざまな動作へ器用に対応できると同時に、脳にも多くの刺激を与えることができます。
手先の器用さは「巧緻性(こうちせい)」と言い、集中力や諦めず最後までやり遂げようとする根気強さをも育ててくれます。
小学校受験の中には、この「巧緻性」を試すテストがある学校もあるほど。
幼稚園や保育園に行っている子であれば、折り紙やシール貼り、色塗り、工作など、様々な手指を使う遊びや知育を受けているかもしれませんね。そういった遊びをおうちでも取り入れることが、手先の器用さにもつながります。
ちょうちょ結びは、手先の器用さはもちろん、完成するまでをイメージしたり記憶する脳の働きも大切な動作です。小学校では必須の動作ではありませんが、靴ひもや図工などの飾りつけで使うことも。
練習法は、赤と青、白と黒など色の違う紐を2本用意し、箱や2リットルなどの大きなペットボトルを使って練習する方法がおすすめ。
左右から2本のひもを結んで垂らしておき、それぞれを結んでちょうちょ結びを練習します。子どもの後に立って声をかけるとお互いにわかりやすいですよ。
お人形やぬいぐるみにリボンをかけてあげる、箱を用意してプレゼントを作ろうなどと、遊びとして取り入れると楽しく練習できそうですね。
ぞうきんやタオルは、自分のものを持ち込み、机の支柱に干して管理している学校が多いかもしれません。小学校では工作の後、掃除当番、給食当番など、タオルを濡らして絞って拭く機会がとても多くなります。
ぞうきんを絞る練習は、やっぱり実際にやってみることがいちばんでしょう。
家庭で食事の前にテーブルを拭くお手伝いをしてもらう、顔を洗い終わったらタオルを濡らして絞る練習をしてみましょう。
バケツやたらいなどを使って濡らし、しぼる時はそこから外れて床や机が濡れないように気を付ける配慮も必要になります。できれば狙った場所で絞ることもあわせて教えてあげたいですね。
まずは乾いたタオルを手首を使ってねじることから練習をスタートし、実際に濡らしてやってみるのも良いでしょう。
体操着から制服・私服へと着替える学校であれば、ボタンを留められないと自分一人で着替えることができません。また給食係の白衣にボタンがついていることも。
幼稚園や保育園は制服登園だったからできるはず…と思っていたけれど、実は朝忙しくてほとんどママやパパがボタンを留めてあげていたことも少なくありません。
小学校へ入学する前にボタンを自分で留められるか、再確認しておきましょう。
もしもできなかった場合は、パジャマを前開きでボタンで留めるタイプのものにして練習するのが一番の近道でしょう。
制服などの衣類のボタンは意外と小さく、ボタン穴もしっかり空いていないことがあります。小さなボタンも留めることができるよう、ブラウスなどを使ってしておきたいですね。
着せ替え人形などで、ボタンの洋服の着替えをさせてみる、ボタンをフェルトに縫いつけ、穴を開けて練習させるのもおすすめです。
ボタンを留める動作は意外と習得しやすいので、気軽に楽しく練習してみましょう。
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手先を使った動作は、指示や話を聞きながら淡々とできないと遅れをとったり焦ってストレスを感じることにもつながることも…。おうちで練習を重ね、完璧にできるようにならなくても大丈夫。「あ、これやったことあるかも!」と経験値として子どもが思えれば、安心にもつながります。
いつしか自然とできるようになっている数々の「手先を使う動作」、これをきっかけに少しだけ家庭でも意識を持って子どもに伝えてみませんか。
炭本まみ
保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。