非認知能力とは、目標に向かって頑張る力や失敗から学ぶ力、人とコミュニケーションをとる力など「IQや数値で測れない力」を指し、いま世界で注目されています。
非認知能力は読み書き計算などの「認知能力」の土台にもなり、幼児期から意識して伸ばしていきたい大切な力です。
でも、そうわかってはいても親世代にはなかなか馴染みがなく、難しくとらえられがち。
そこで、子育て中の親が非認知能力についての知識を得るのにおすすめの本を、連載でおなじみの教育方法学の専門家・岡山大学の中山芳一先生に紹介していただきました。
※本ページはアフィリエイトプログラムを利用しています。
「より多くの情報とデータに基づいて非認知能力を伸ばすことの大切さを提起してくれている一冊。私たちは子どもたちにとって「環境」であるという言葉は忘れられません」(中山芳一先生)
本書の著者ポール・タフは、前著『成功する子 失敗する子』で非認知能力の重要性を提起し、全米ベストセラーとなりました。一方で課題として残っていた、「どうすれば非認知能力を伸ばせるのか」という具体的な方法について、本書で最新の研究に基づく根拠や実際の事例を取り上げて解説しています。
「幼児期の親子のストレスを和らげるには?」「子どものモチベーションを高めるために有効なフィードバックは?」など、子育てですぐに実践したい、子どもにとって大切なことが詰まっています。
===
『私たちは子どもに何ができるのか―非認知能力を育み格差に挑む』
ポール・タフ/高山真由美[訳]
英治出版
単行本1,760円(税込)/Kindle版(電子書籍)1,584円(税込)
amazon購入はこちら
「様々な調査結果と脳科学からの知見、そして保育学に基づいたメソッドがとてもバランスよく、紹介されています。「非認知能力」という言葉は使われていないのですが、そういうことなんだとわかる一冊」(中山芳一先生)
「もっと早くに〇〇させておくんだった」「よその子はもうあんなにできるのに」と自分の子育てを悔やんだり、周りと比べて焦ったりする必要はありません。子どもの中に眠っている「成長力」を引き出すためには「待つ」ことが大切──。
心理学者でお茶の水女子大学名誉教授である著者が、子どもの発達としつけの関係をはじめとした最新の調査を取り上げながら、子育てに本当に大切なことを教えてくれています。「赤ちゃんってこうなんだ」「心配することないんだ」と、子育てに必死で取り組む人をほっと安心させてくれる一冊です。
===
『子育てに「もう遅い」はありません』
内田伸子
冨山房インターナショナル
1,320円(税込)
amazon購入はこちら
「いわずと知れた絵本作家。子どもからの質問に大変明快に答えてくれていて「気持ちいい」のひと言に尽きる一冊。タイトルにある「じょうぶな頭」はまさに非認知能力と結びつきます」(中山芳一先生)
五味太郎さんが、子どもたちの疑問や悩みなど「50の質問」にわかりやすく答えてくれる「生きるためのアドバイスブック」。自分で考え、自分で悩み、自分を励まし、そして自分に自信をもって生きていく力、すなわち非認知能力を身につけるための本と言えるでしょう。
姿の見えない悩みや不安も、五味さんの言葉で明るく前向きにとらえることができそうです。子育てをする親はもちろん、おやこで一緒に読むのもいいかもしれません。
===
『じょうぶな頭とかしこい体になるために』
五味太郎
ブロンズ新社
1,540円(税込)
amazon購入はこちら
「子育て真っ最中のお父さん心理学者である森口氏が、非認知スキルの中でもとくに「自分をコントロールする力(実行機能)」についてとてもわかりやすく解説してくれている一冊です」(中山芳一先生)
非認知スキルはどうやって身につくの?どんなときに働かなくなるの?など"そもそも"の疑問に、科学の知見からわかりやすく答えてくれる一冊です。
「非認知スキルがIQより大事って本当?」「YouTubeを子どもに見せるのはやっぱりダメ?」「理想の子育てって?」などなど、子育て中の親なら誰しも抱える不安や疑問の数々。発達心理学の最新知見から、その疑問に深く関わる非認知能力の育て方・鍛え方を解説しています。
===
『自分をコントロールする力―非認知スキルの心理学』
森口佑介
講談社現代新書
新書990円(税込)/Kindle版(電子書籍)935円(税込)
amazon購入はこちら
「前著の解説本に続く実践本。研究室の中に閉じこもらない実践研究専門の教育学者だからこそ書き上げられたと思っています。非認知能力を伸ばすためにわかりやすく提案した一冊です!」(中山芳一先生)
こちらは中山先生の著書。「頭がいい」と「勉強ができる」は違う!と、前著『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』で解説されていますが、本書はその非認知能力をいかにして伸ばすかの実践的な内容を理解し、実際の子育ての参考にできる一冊となっています。
教育改革とともに変わる子どもの学びの環境や、来たるAIとの共存時代に必要な、「正解」ではなく「納得解」を見出す力。それは子どもだけが伸ばせるものと思われがちですが、実は大人になってからでも伸ばすことができると言います。教育・子育てに関わるすべての人にとってよき参考書となるでしょう。
===
『家庭、学校、職場で生かせる!非認知能力を伸ばすコツ』
中山芳一
東京書籍
単行本1,870円(税込)/Kindle版(電子書籍)1,534円(税込)
amazon購入はこちら
数字では評価できない、けれども生きていくのに大切な非認知能力。
ここで紹介した本では、専門家でない親でも「なるほど!」と理解しやすい、やさしい解説をしてくれています。非認知能力の伸ばし方を正しく知り、子育てに気軽に取り入れられるヒントを見つけられるのではないでしょうか。
そして、非認知能力は子どもだけではなく、生涯にわたって必要な力であり、社会のあらゆる場面で求められます。大人になってからも非認知能力を鍛えることはできます。
親自身も役に立つことが多いはず。
「やらなきゃ!」と焦ったり難しくとらえたりせず、気軽に手にとってみてください。
岡山大学准教授 中山 芳一
1976年岡山県生まれ。岡山大学 全学教育・学生支援機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中高学生の各世代の子どもたちが非認知的能力やメタ認知能力を向上できるように尽力している。9年間没頭した学童保育現場での実践経験から、「実践ありき」の研究をモットーにしている。『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(ともに東京書籍)ほか著書多数。最新刊は監修をつとめた『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』(東京書籍)。
ライター 西方 香澄
徳島で生まれ育ち、大学進学を機に神戸へ。養護教諭・児童発達支援など教育に従事したのち独学でライティングをはじめる。夫・1歳になった娘とクリエイティブな毎日をつくるため、現在デザインも勉強中。