「無理して参加しなくていいなら、私も帰る」
「みんなも帰ろう」
私が帰ると決めた瞬間、話を聞いていた他の同級生たちも、次々と席を立ち始めたのだ。
「ちょ、ちょっと待ってよ! なんであなたたちも帰るの!」
「まだこういう嫌がらせをするなら帰る。カリンが理不尽だって話も、当時から赤木くんから聞いてるし」
「ご祝儀代も浮いたしね! この後みんなで同窓会しよ!」
「私もご祝儀、返してもらおう。席がない人からお金だけ受け取るなんて、意味がわからないし」
慌てて引き留めようとするカリンを無視し、私を含め、高校の同級生は全員が会場から出て行ってしまった。
一方その頃。
会場を出た私たちは、近くの居酒屋で同窓会をしようと盛り上がっていた。
しかし、私はどうにも後味が悪い気持ちを拭えずにいた。
「何も事情を説明せずに出てきたら、他のゲストの人たちが驚くかなって…」
私がそう言うと、同級生たちは呆れながらも「芽衣子は優しいね」と笑ってくれた。
自分が納得したい。その一心で、私は一人、再び会場へと戻ることにした。
「ただいま」
私が会場に戻った瞬間、友人のスピーチの時間で誰にお願いするか窮地に陥っていたカリンが、鬼の形相で私にマイクを突きつけてきた。
「芽衣子! 人よりも私を優先して戻ってきたのね! ほら、友人のスピーチ、よろしく!」
「え…うん」
誰もいないよりはマシ。
さっさと喋って出ていきなさい。
カリンの心の声が聞こえるようだった。
私はマイクを受け取ると、自分が話したいことを、そのまま話し始めた。
「突然出て行ってしまい、すみません。私たちは新婦とは高校の同級生でして…」
私は、カリンから受けた嫌がらせのこと、逆恨みで今日の席が用意されていなかったこと、それに呆れて皆が帰ってしまったこと。
全ての真実を、会場にいるすべての人たちの前で、ありのままに語った。
「あんた、ふざけんじゃないわよ! なんてことするの!」
「スピーチをよろしくって言われたから、私が話したいことを話しただけよ」
会場は騒然とし、カリン側のゲストたちは次々と席を立ち、帰ってしまった。
カリンは会社での昇進の話も白紙になり、数々の嘘がバレて新郎とは離婚の危機に陥ったという。
その夜、私たちは改めて同窓会を開いていた。急遽呼び出された赤木くんも、そこにいた。
「今更だから言えるけど、実は赤木、本当に芽衣子のことが好きだったんだよ」
「え? でも本人はそんな気持ちはないって…」
「それは、芽衣子を守るための嘘だよ」
「…恥ずかしいけど、その通りです」
赤木くんからの突然の告白に、今度は私が顔を赤らめる番だった。
14年越しの、予想もしなかった嬉しいサプライズだった。
イラスト:嫁子のスカッと漫画
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