こうして、私とヒトシは離婚。
私は息子のコウキを連れて家を出た。
それから数ヶ月後。
新しい生活にも慣れてきた頃、私の職場に、ボロボロになったヒトシが訪ねてきた。
「サキ…いるか? 助けてくれ…! 大変なんだ!」
「あら、何かあったのかしら?」
「お前と別れてから、ママがめちゃくちゃなんだよ! 頼れるのは、もうお前しかいないんだ!」
ヒトシの話によれば、私が家を出てからというもの、ハルエさんの愛情表現は日に日にエスカレート。
母親とは思えないほどベタベタとくっついてきて、彼の店のスタッフは全員辞めてしまい、家にも帰れないほど追い詰められているという。
「だから言ったでしょ、後悔しないのって。マザコンだからこそ、母親の本性を見抜けなかったのね」
「え…?」
「私とコウキが出ていった日のこと、覚えてる? あの時、あなたを見るハルエさんの顔は、明らかに母親の顔ではなかったわ。悪意と欲望に満ち溢れた、怪物の顔よ」
私がそう話していると、店の外から、狂気に満ちた声が聞こえてきた。
「ヒトシたーん! 見つけたわよー!」
「ま、ママ!? いや、母さん! 頼む、やめてくれ!」
ハルエさんが、ヒトシを追いかけてきたのだ。
「どうしたの、ヒトシたん。いつもみたいに“ママ”って呼んでくれていいのよ?」
「さあヒトシたん、ママの愛を、存分に受け取ってちょうだい!」
「く、来るな! 化け物!」
鬼の形相で息子に迫る元義母。
その時、店の外を通りかかった警察官が、異様な雰囲気を察して駆けつけてくれた。
「おい君たち、何をしているんだ!」
「何すんのよ、離しなさい! ヒトシたんへの愛は、永久に不滅なのよ!」
その後、ハルエさんは公務執行妨害の現行犯で逮捕された。
ヒトシは店をたたみ、今は訪問美容サービスで生計を立てているらしい。
そして、私はというと…。
「私が2号店の店長に?」
「そうよ。スタッフの中で任せられるのは、サキさんしかいないわ」
勤めていた美容室の2号店がオープンすることになり、そこの店長を任されることになったのだ。
長年の努力が実を結び、私はとても嬉しくなった。
これからは、息子のコウキと二人、明るい未来を生きていくんだ。
※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。 ※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。 ※この物語はフィクションです。
(おやこのへや編集部)
おやこのへや編集部
心も体も大きく成長する幼児期から小学生の子どもたち。一人ひとりの個性が出てきて、子育てに悩むことも多いこの時期を、おやこで楽しく過ごせるよう、ヒントになる情報を発信していきます。
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