きょうだいが生まれて一人ひとりとじっくり向き合う時間が減ってしまった、寂しい思いをさせているかも…そんなふうに悩む親は多いと思います。
きょうだい育児をするうえで、親が知っておきたい心構えを家庭教育アドバイザーのTERUさんに教えてもらいました。
子育てにおいて、親が子ども一人にじっくり手をかけ時間をかけた方が得るものが大きいか…というと、必ずしもそうではありません。もちろん一人っ子ならではのメリットもありますが、きょうだいがいることによるメリットもたくさんあります。
たとえば年上のきょうだいがいる子は、親が手をかけなくても、いろいろなことを自然に、主体的に習得することが多いです。
学習面でもしつけの面でも、つねに"多くの見本に触れる機会がある"状況ですから、お兄ちゃんやお姉ちゃんがしていることを見て、さまざまなことを自ら習得することができるのです。
一人っ子の場合に親が子どもに何かを教えようとすると、どうしても「親が教える側、子どもは教えられる側」という構図ができやすく、教えられる側の子どもは受動的な姿勢になりがちです。
一方、きょうだいがいると、上の子の行動を見て主体的に学ぶことができ、やらされて習得するわけではないためモチベーション高く学ぶことができるのです。
きょうだいがいるという環境は、子どもの自立につながりやすいというメリットもあります。
親がたっぷり手をかけることが当たり前になっていると、親は知らず知らずのうちに子どもができることまでやってしまう…という場面が多くなります。
子どもが自立するには、「自分のことを自分でやる」「自分の責任を自分でとる」という経験が欠かせません。その点で、どうしても自分のことを自分でやらなくてはいけない状況が生まれるきょうだい育児には、大きなメリットがあるといえるでしょう。
きょうだいが生まれると親は下の子を構いがちになり、「上の子に寂しい思いをさせていないかと不安になる」という声もよく聞きますね。
個人的にはこの心配は無用だと考えています。
実際に一人っ子として育った私が、まったく寂しくなかったかというと…正直そんなことはありませんでした。「きょうだいがいる友だちは家にも遊び相手がいる」という羨ましさもありました。
ですから当然、きょうだいがいることによる寂しさもあって当然だと思います。
これは一人っ子かきょうだいがいるかということだけではなく、家庭の事情や普段の過ごし方、地域や友だち付き合いなどさまざまな事情が関わってくるため、一概にいうことはできません。
「一人っ子だから、親との時間が多く寂しくない」「きょうだいがいるから、親が下の子にかかりっきりになり寂しく感じることが多い」というわけではないのです。
きょうだいがいてもいなくても、子どもにはなにかしら"寂しい"という感情は生まれます。そしてその感情は、人間の感情として大切なものです。ほどよく「足りない」ことで人間には欲求が生まれ、その欲求によって行動できたり人を思いやれたりします。寂しいことがイコール不幸だ、と思う必要はないのです。
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一人っ子だったら、きょうだいがいたら…そんな「たられば」を考え始めると、悩みは次から次へとわいてきます。
慌ただしい子育て家庭の毎日。きょうだいがいるからこう、と決めつけるのではなく「今、目の前のわが子とどう過ごしていきたいか」を考えられるといいのかもしれませんね。
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家庭教育アドバイザー TERU
幼児教育の講師。 1000人以上の子どもたちと関わってきた経験をもとに、0~12歳の保護者向けに知育、育脳、子どもとの接し方など家庭教育情報を発信している。登録者8万人超のYouTubeでは"子どもを成長させる"実践的な子育て動画を配信中。
YouTube:子育て勉強会 TERU channel
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ライター 西方 香澄
徳島で生まれ育ち、大学進学を機に神戸へ。養護教諭・児童発達支援など教育に従事したのち独学でライティングをはじめる。夫・1歳になった娘とクリエイティブな毎日をつくるため、現在デザインも勉強中。
一人っ子の場合に比べて、きょうだいがいるとどうしても一人にかけられる時間が少なくなり、気になっている親御さんも多いようです。