子どもが「ママがいい!」とママばかりになるのはなぜ?理由や子どもとの関わり方を保育士がアドバイス

子どもが「ママがいい!」とママばかりになるのはなぜ?理由や子どもとの関わり方を保育士がアドバイス
パパが子どもに「ママがいいの!」と言われたり泣かれたりする場面はよくあること。それはなぜなのでしょうか。「パパもいい」「パパがいい!」と子どもの気持ちを変えるにはママのチカラが必要なのです。子どもの心理と関わり方をご紹介します。
目次

子どもを出産し、子育ての中心はママという家庭は多いでしょう。それは仕方のないことであり、多くの子どもが「ママがすき」と無意識のうちに信頼をして過ごしています。

パパはお仕事があったり、日中一緒に過ごす時間が少なく、なかなか子育てに参加できないことが多いのではないでしょうか。

社会の背景をすぐに変えることはむずかしいことですが、子どもの意識をパパにも向けたり、「パパもママもいい!だいすき!」と感じさせてあげることは実は意外とむずかしいことではありません。

ママだけがいい、ママがいないと不安な気持ちを覚える子どもが、パパといても安心して楽しく過ごせると、ママもちょっと一人でお出かけしたり、家庭の中でもほっと一息ついたりできますね。パパも子どもと泣かれることなく一緒に過ごせることは嬉しいでしょうし、さらに子どもに対して愛着が強まるでしょう。

では、子どもはどうして「ママがいい!」と執着をするのか、パパもいい!という気持ちにするために、どんな関わり方や方法があるのかを保育士の炭本まみがお話します。

何でも「ママがいい!」となるのはなぜ?

「ママがだいすき」「ずっとママといたい」「ママじゃなきゃだめ」と子どもが思うことは当然のことです。
これは、子どもがママを求める「愛着行動」と呼ばれるもので、発達成長をするしていく中で必ず通る道であり、大切な心の土台になります。

ふだん過ごす時間が多いママとは意思疎通がしやすく、言葉がなくても態度や視線だけで子どもの要望を察することができますね。日常生活の中でこの時間帯ならおなかがすいているのだろう、暑いんだな、のどが渇いているはず、など、ママは気づくことも多いでしょう。

子どもにとっては、自分をよく理解し愛情を持って接してくれる一番の理解者であるママには、生まれて生活を重ねていくことで絶大な信頼をおけるひとです。

ちなみに、パパのことを認識するのは、生後3〜4ヵ月ごろから徐々にママではない人だと感じます。そして、生後6か月くらいになるとさらにママとママではない人の認識がすすみ、パパの抱っこを嫌がったり、よその人への人見知りが始まります。

この「ママがいい!」は、ママにとってはうれしくもあり、離れられない辛さもあり、きっと複雑な気持ちになるでしょう。また、パパにとっては、寂しくもありちょっと面倒なときはママにお任せすればいいかなと考えることもあるのではないでしょうか。

「ママがいい!」はいつからいつまで続く?

赤ちゃんは生後3か月から4か月頃になると少しずつママと、それ以外のひととの区別がつきはじめます。
ママが声をかけると安心したり、ママの顔を見るとにっこりと笑顔になることもあります。

そして、生後6か月頃からはママではないひとに抱かれたり、声をかけられると、不安な気持ちがこみ上げ、急にママが恋しくなり泣き出す「人見知り」がスタ―トします。 残念ながら、その「人見知り」をするひとの中にパパも含まれることも多くあるのです。

「ママがいい!」と「人見知り」は、子どもの育つ環境や個性によって変わるものの、長ければ1歳から2歳くらいまで続くことがあります。

児童センターや公園、保育園などでさまざまな人と関わりを持つようになると、少しずつ人見知りも、ママでなくてはダメ、ということも無くなっていきます。

このように長い間、パパと接したりすることに不安を覚え泣かれることが続くと、パパも悲しく寂しい思いをしたり、子どもをかわいいと思えなくなったりするかもしれません。

また、ママもパパと子どもが上手く接することができないと、寂しい気持ちになったり、子どもから離れられず忙しく辛い気持ちになることもあるでしょう。

【ママ編】「ママがいい!」への向き合い方・対処法

子どもの「ママがいい!」という時期は、子どもが愛おしくもあり、けれど心も体もなかなか自由になれずママも苦しい、忙しい、辛いという気持ちを持つのではないでしょうか。

この時期のママはどんな風に子どもと過ごしたらよいのでしょうか。また、NGなことはどのようなことでしょうか。

まだよく理解できなくても、名前や家族のことを子どもに話す

「〇〇ちゃんのパパはね、〇〇ちゃんのことが大好きだって!」
「〇〇ちゃんのおじいちゃんが会いたいなぁって言ってるよ」
「パパもママもみんな〇〇ちゃんのことが好きだよ」
「今度パパとママと〇〇ちゃんと、お散歩へ行こうね」
「〇〇ちゃんのパパ、どこかな? いたね! にっこりしてくれたねーうれしいね!」
「パパのことすきなひとー?」子「はーい」(または笑顔・手を挙げる)ママ「そうね!」
「パパはいっぱいお仕事を頑張っていてえらいね! パパ早く帰ってくるといいね」
「パパが帰ってきたよ!〇〇ちゃんも、おかえりって言おうね」(言えなくてもOK)
子どもにとってママの存在は絶対的なものであり、疑うことなく信頼をしています。 だからこそママの言葉は子どもにとって、とても大切なものになるのです。

ママが話してくれる「パパ」という存在が子どもにとってポジティブな存在へと意識づけられるよう、日頃からパパという言葉を子どもにたくさんかけてあげましょう。

例えば、パパが子どもと関わろうとするとき「〇〇ちゃんのこと大好きなパパだね。うれしいね!」と声を添えてあげましょう。

「パパが〇〇ちゃんとあそびたいよーって。パパは〇〇ちゃんのこと大好きだものね」と言うことで、子どももパパに信頼を寄せ良い感情を抱くようになります。

また、パパもママの言葉を耳から聞くことを通して子どもに対して愛着を抱くようになったり、慣れてくると「かわいいね!」「〇〇ちゃん大好きだよ。」など、少しずつ言葉にして子どもに伝えてくれるように変わっていくでしょう。

子ども・パパの両者に対して、ママが間に入りお互いの気持ちを橋渡ししてあげることが「ママがいい!」が早く落ち着く方法でもあります。

NGな声掛け例

「泣いてもいいからやってよ。こっちは大変なんだから」
「もっと遊んであげてよ」
「なんでできないの?」
「やっぱりママじゃなくちゃだめなんだね、ほんとパパはダメだね」
などという言葉や態度はしてはいけません。このようなママの言葉や態度は、この先の子育てに関しても協力を得られず、子どもやママからもパパの心が離れてしまい、家庭も不安定になります。

また、子どもにパパの悪口を言って聞かせることもいけません。子ども・ママの両方から良い感情を抱かれないパパは、家庭の居心地が良くなく、もちろん子どもを心からかわいがったり育児や家事を自分のすべきこととして捉えなくなってしまうものなのです。

ママは大変ですが、ステキな家族関係を作るために、少しずつポジティブな言葉を添えてあげましょうね。

【パパ編】「ママがいい!」への向き合い方・対処法

パパは子どもがかわいくて抱っこをしたり一緒にあそんだりすることをはじめ、お風呂やおむつ替え、食事のお世話や着替えなど、お世話することがたくさんあるでしょう。

ですが、そのたびに泣かれたり「ママがいい!」という子どもの姿を見ると寂しくなったり、育児はママに任せた方がいいのでは?という気持ちになりますね。

けれど、ママとパパの子どもなのですから子どもだってパパのことが大好きで、パパにもたくさん甘えたいのです。
子どもはパパが嫌いなのではなく、ママと一心同体なだけなので、どうか勘違いしないでくださいね。

ママと同じくらい子どもに信頼され大好きな存在になるには、どうしたら良いのでしょうか。

子どもとって、無防備になるおむつ替えや着替えなどは、信頼している人やお世話に慣れている人にしてほしいことで、実はバトンタッチのハードルが高いお世話です。

初めは、お散歩や、抱っこなど、楽しい遊びで関わることから始めてみましょう。
家の中であれば、少し離れた場所から名前を呼んで「いないいないばぁ」を繰り返して笑わせてあげたり、膝にのせてテレビを見るだけでも良いのです。

そこにパパの存在があって、パパの匂いがして声がする、楽しいことをしてくれる、こういったことを日常の中で繰り返していくことで、

パパはやさしい
パパの抱っこはがっちりしていて安心する
パパとあそぶと楽しい
パパが好き
パパがいい
パパと遊びたい
と、徐々に子どものパパに対する気持ちが変わってきます。

ママがいいならママにしてもらえばいいよと、思うのは当然のこと。
でもパパからも少しずつ距離を保ちながら子どもに関わりを持とうとしなければ、今後子どもとの関わり方がわからなくなったり、子どもに愛情を持てなくなったり、子育ては面倒なこと、ママに全て任せきりになってしまいますね。

そうなると、ママもパパに信頼を寄せられなくなり、そういった気持ちはママから子どもへ伝わってしまいます。幸せな家庭を築くためには、ママ・パパ双方の理解と協力、言葉が必要なのです。

***

「ママがいい!」という時期は、ママもパパも大変でお互いに違った辛さや大変さを抱きます。

パパは「ママがいい!」のは当然のことととらえながらも、少しずつ子どもを扱うコツをママに聞いたり実践してみてください。きっとママも子どもも喜び、パパにさらなる信頼を寄せることでしょう。

パパが子育てが楽しいと思えるまで、お互いに思いやる気持ちを忘れず過ごしていきましょう。

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執筆者

炭本まみ

保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。

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