集団遊びが苦手な子への支援｜保育士が実践する、社会性を育むアプローチ

集団遊びが苦手なわが子の姿に不安を感じているママやパパも多いのではないでしょうか。

でも、大丈夫です。一人ひとりのペースで、少しずつ集団に馴染んでいけば良いのです。 大切なのは、子どもの特性を理解し、適切に支援すること。

保育現場で培ってきた経験をもとに、集団遊びが苦手な子どもへの向き合い方をお伝えします。社会性を育むアプローチの一助となれば幸いです。

1. 子どもの特性を理解する

まずは、集団遊びが苦手な子どもの特性を理解しましょう。 人見知りが強い、感覚過敏である、言葉の発達に個人差があるなど、その理由は子どもによって様々です。

園では、子ども一人ひとりの発達の特徴を把握し、その子なりのペースを尊重するようにしています。保護者の方も、我が子の個性を受け止め、長い目で成長を見守ることが何より重要。集団遊びはゴールではなく、社会性を育むプロセスだと捉えることが肝心です。

2. 小さな成功体験を積み重ねる

集団遊びが苦手な子どもには、小さな成功体験を積み重ねることが大切です。

園では、少人数のグループ遊びから始め、徐々に人数を増やしていくようにしています。 例えば、まずは仲の良い友だちと一緒に積み木を組み立て、次第に輪に入れるよう促すのです。ちょっとしたルールのある遊びに誘ってみるのもおすすめ。 子ども自身が「できた！」と感じられる経験が、集団への一歩を後押ししてくれるはず。小さな達成感を大切に育んでいきたいですね。

3. 周りの子どもたちの理解を促す

集団遊びが苦手な子どもを支援する上で、周りの子どもたちの理解を促すことも欠かせません。

園では「みんな違って、みんないい」という多様性を尊重する心を育むよう心がけています。 例えば、絵本や紙芝居を通して、一人ひとりの良さに気づくきっかけを作ったり、協力して課題を解決する楽しさを体験できる遊びを取り入れたり。周りの子どもたちが、その子なりの個性を認められる雰囲気づくりが何より大切。あたたかな友だちの存在が、集団遊びへの一歩を後押ししてくれるはずです。

4. 家庭での遊びにも活かす

集団遊びが苦手な子どもへのアプローチは、家庭での遊びにも活かせるもの。

公園に出かけた際は、子どもの様子を見ながら、他の子どもたちとの関わりを促してみましょう。例えば「一緒にブランコ乗ろうか」と声をかけたり「砂山を作るの手伝ってあげようか」と橋渡しをしたり。ほんの少しの関わりでも、子どもなりの成長のきっかけになるはず。ご家庭でも、きょうだいや近所の子どもたちと一緒に遊ぶ機会を作ってあげると良いですね。

5. 専門家と連携する

集団遊びへの苦手意識が強く、園生活への適応に難しさを感じる場合は、専門家との連携も視野に入れましょう。

園では、気になる子どもの様子を細やかに記録し、保護者の方々と情報を共有するようにしています。必要に応じて、児童心理の専門家や発達支援の専門機関につなぐこともあります。 「うちの子は大丈夫かな」と不安を感じたら、一人で抱え込まずに、園の先生方に相談してみてくださいね。連携しながら、子どもの成長を後押ししていける体制を整えましょう。

まとめ

集団遊びが苦手な子どもへの支援は、一人ひとりの特性を理解し、小さな成功体験を積み重ねることが基本です。周りの子どもたちの理解を促しながら、家庭での遊びにもアプローチを広げていく。そして、必要に応じて専門家とも連携しながら、社会性を育む土台を作っていく。そうした関わりの積み重ねが、子どもなりのペースで集団に馴染んでいくための力になるのです。

保育士として、集団遊びが苦手な子どもたちの小さな成長を間近で見守ってきました。友だちと目を合わせられるようになった日、みんなの輪に入れるようになった日。一人ひとりの「できた！」の瞬間が、何よりの宝物。ご家庭でも、どうか焦らずに、子どもの可能性を信じて見守ってあげてください。ゆっくりでも着実に、子どもは集団の中で成長していけるはずです。

ライター/監修：でん吉（保育士資格）