ゲームは親自身も子どものころから親しんできた世代であったり、専用のゲーム機を購入しなくても、スマートフォンやタブレットで手軽に始められることから、幼児のころからぐっと身近な存在になりました。 また、与えていなくても友だちに影響されてハマってしまうなどの心配もありますよね。
幼児期からのゲームの付き合い方について、家庭教育アドバイザーのTERUさんに教えてもらいました。
スマホやタブレットのアプリゲーム・携帯ゲーム・テレビゲームなど、ゲームができるツールやその内容も多様化しています。 基本の考え方は「悩んでいる親多数!『もっと見たい』にうんざり…ハマりすぎ要注意!な子どもと動画の危うい関係」の記事で紹介したYouTubeとの付き合い方と同じで、どんな目的で使うのかを意識し、中毒にならないように管理することが大切です。
自分で操作する能動性があり思考力が養えるのではないかと考える人もいるかもしれませんが、思考力はゲーム以外でも十分養うことができます。
娯楽ゲームで得られる思考力や手先の操作能力よりも、中毒になってしまう危険性のほうが高く、先に挙げた目的にも当てはまらないためやはりおすすめしません。
子どもの成長にとって大切な時期をゲームに費やしてしまう、そして親はゲームを制限することややめさせることに時間を費やしてしまうことにもなりかねません。
もし与えるのであれば、据え置きのテレビゲームのような持ち歩けないゲームを選び、遊ぶ時間などのルールを決めて家族全員でルールを守るようにしましょう。
スタディサプリのような学ぶことを目的に作られたゲームやアプリについては、学びの効率やモチベーションを上げるための工夫がされていて質が高いため、年長くらいから使用してもいいでしょう。 ただしそれまでの乳幼児期は、できるだけ自然や身の回りのものを使って五感を刺激する遊びをさせることが前提です。
また、子どもの脳の成長にとって目がたくさん動くことは重要です。
スマホのような小さな画面は目線があまり動かず、長時間目が釘付けになってしまうのでよくありません。見るときは、タブレットを活用するなどしてできるだけ大きな画面で行うようにしましょう。
また、中毒になってほしくないものに子どもが触れないように、学びの目的でしか使えないツールを用意することも重要です。
市販の学習専用のタブレットを使ったり、子ども専用のiPadを用意したりするとよいでしょう。そして、目や体の害にならないように、適度な休憩時間を確保し、外遊びもしっかり行うように親はサポートしてください。
学習とは違い、脳トレのような脳を育てることを目的とした育脳系のゲームやアプリについても、専用のツールを用いて、時間や環境を制限できれば使っても問題ありません。
ただし、その効果には疑問があります。脳の成長には五感、特に触覚が非常に重要です。スマホやタブレットのような電子機器の無機質な触感では、脳に与える刺激もさほどないのではないかと考えられます。アプリやゲームに頼りすぎず、実際にパズルやブロックを使った遊びをするなどして、自然な育脳ができるのがよりよいですね。
いっぽう、自由に外出するのが難しい現在の社会状況において、運動を目的とした体を動かす系のゲームは活用してもいいでしょう。その際は、「運動のため」の目的に合う運動量が期待できる内容のものを選びましょう。
そして、ほかのゲームと同じく時間管理をし、使用するゲーム以外の娯楽ゲームを使えない環境にして与えるようにしましょう。このような管理ができるのであれば、年長と言わずもっと早くから使ってもいいですね。
せっかくルールを決めたのに、止めるはずの時間になっても「もう少し…」と粘り続けたり、「今日だけ特別…」とねだってきたり…ルールをきちんと守ることはなかなか難しく、親子のバトルが勃発してしまうこともありますよね。
ルールをしっかり守れるよう、この5つのコツを参考に親子で取り組んでみてください。
「1日〇分」など、時間は子どもと一緒に決め、子どもに主体性と責任感を持たせましょう。
子どもは決められた時間しかできないルールなのに、親はいつまでもやっている…そんなことは、子どもはとても納得できません。まずは親が見本を示しましょう。
毎回終わったら箱にしまってすぐ出せないところに片付けるなど、「取り出す・しまう」に手間がかかるしくみを作ることが大切です。ふだんから目につく場所に置いていたり、すぐ取り出せる場所にあると、せっかく子どもがルールを守ろうとしても、その気持ちを邪魔してしまいます。
「●●したらゲームをやってもいいよ」など、ゲームをご褒美として使ってもよいですが、その場合は、ちゃんとした成果に対して使うことが大切です。「今日宿題やったらゲームね」など、子どもにとってハードルの低いことへのご褒美を使うと、どんどんご褒美としてのゲームを要求してきて収拾がつかなくなってしまうことも。
ルールとして決めた以上は例外はなし。たとえ子どもが泣き叫んだとしても気にせず、親は毅然とした態度で守らせましょう。そうでないと、子どもは駄々をこねれば許してもらえると、ルールを守らないことが常態化してしまいます。
動画もゲームも手軽に楽しめ、楽しいコンテンツがたくさん詰まった魅力的なものですが、動画・ゲーム以外にも興味を向け、中毒にならないように適度な付き合い方ができるようにしていきましょう。
また、スマホやタブレットを情報検索のツールとして使うことはおすすめしています。子どもが疑問に思ったこと、知りたいことがあれば、親子で一緒に検索していろいろな情報を見るなど、興味や関心を膨らませるツールとして可能性は無限に広がります。
幼少期から情報の見極め方や正しい使い方を教えることで、ネットリテラシーを養うことができます。間違った使い方ができない環境を作る配慮をしつつ、積極的に活用していきましょう。
***
正しく電子機器を扱えるようになれば、これからの子どもの将来、きっと役立つ力になるはず。 あくまでもいろいろな遊びの中のひとつとして、子どもにとっても家族にとっても心地よい付き合い方ができるよう意識したいですね。
家庭教育アドバイザー TERU
幼児教育の講師。 1000人以上の子どもたちと関わってきた経験をもとに、0~12歳の保護者向けに知育、育脳、子どもとの接し方など家庭教育情報を発信している。登録者8万人超のYouTubeでは"子どもを成長させる"実践的な子育て動画を配信中。
YouTube:子育て勉強会 TERU channel
Twitter:@TERUkyoiku
Instagram:teru_kyoiku
ライター 西方 香澄
徳島で生まれ育ち、大学進学を機に神戸へ。養護教諭・児童発達支援など教育に従事したのち独学でライティングをはじめる。夫・1歳になった娘とクリエイティブな毎日をつくるため、現在デザインも勉強中。
ゲームも小さなころから身近な存在になっていますよね