世の中の流れもあいまって、性差を気にせず子育てしたいという意見も多い一方で、明らかに男の子とは違う言動の女の子に対して、どのように育てていけばいいのか悩むママ・パパも多いのではないでしょうか。
言葉の発達が早く、大人さながらに意見を言ったり、相手の顔色を伺いその場の空気を察することが上手な女の子。
「あまり手がかからなくて育てやすい」と言われることも多いのですが、コミュニケーション能力が高いからこそ一筋縄ではいかない部分もあり、どう接したらいいのか、迷うことも。
そんなとくに6歳までの女の子を育てるときのコツを、家庭教育アドバイザーのTERUさんに教えてもらいました。
すべての女の子に当てはまるわけではありませんが、傾向として知っておくことで、より子育てがスムーズに、女の子を伸ばす育て方のヒントが見えてくるはず!
女の子は男の子に比べて、幼児期の早いうちから言葉の理解をはじめとしたコミュニケーション能力や理解力が育っていきます。そして、周りの大人の顔色を伺うのはもちろん、自分の意見や気持ちもはっきりとしてきます。
そんな幼児期にたくさんの力を身につけ成長する女の子だからこそ、とくに親子の会話の中で気をつけたい5つのポイントを紹介します。
女の子は非常に鋭い感性を持っています。その鋭さは、"親の気持ちや感情を見透かしている"という鋭さです。
たとえば「ほめる」行為において、親が「子どものモチベーションをあげるためにたくさんほめよう」と考えて、なんでもかんでもほめようとすると、女の子はその薄っぺらさを見抜いて「本心からほめていないな」とわかってしまうことが多いです。それではモチベーションが上がるどころか、信頼関係を失いかねません。
そんな鋭い感性を持つ女の子だからこそ、安易にほめるのではなく、「心の底から思ったことを伝える」という意識が親側にもとても大切になってきます。
女の子は感じる力、すなわち人に共感する力が高く、コミュニケーション能力や理解力も幼児期から比較的早く育っていきます。
そのため、女の子と話すときには「まだ子どもだから」と接するのではなく、きちんと理由や物事について説明をし、大人と同じレベルで情報を伝えてあげることが大切です。
それをきちんと理解し、納得して対応していく力が女の子にはあるといえるでしょう。
ただし、このとき注意したいのが、女の子の脳は理論で解決することをあまり好まないということです。論理的には筋が通っていて納得できそうな説明を受けても、本人の気持ちが納得していないと腑に落ちず、行動に移れないことがあります。
さらに年齢が上がると、周りに気を遣って納得していないのに納得したフリをすることも出てきます。こうした状況を作らないためには、"論理的な理由"と"親の想い"をセットにして言葉で伝えることが大切です。
たとえば「道路で走ってはいけない」と伝えたいときは…
「車が通る道では走ってはいけないよ、車とぶつかって怪我をしてしまうからね」
これが"論理的な理由"です。
そして、これに加えて「もし〇〇ちゃんが怪我をしたら、お母さん悲しくて泣いちゃう」と、"親の想い"を伝えます。
こうすることで、論理的にも気持ち的にも親の言うことに納得し、言葉を受け入れることができるのです。
女の子には、口ぐせのように「どうしよう、どうしよう」と言いがちな時期があります。
じつはこれ、男の子にはあまり見られない特徴です。
女の子が「どうしよう」と口にするのは「安心がほしい」という理由であることが多く、必ずしも解決策やアドバイスを求めているわけではありません。
そのため、「どうしよう」と口にしたときに、親が「どうしたの!?」「なにがあったの!?」と同じようにオロオロしてしまうと、女の子は余計に不安が大きくなってしまいます。
子どもが「どうしよう」と言ってきたときには、落ち着いて笑顔で目を見て「どうしたの?」と落ち着いて言ってあげることが大切です。
親に落ち着いて受け止めてもらえると、女の子は安心することができます。そして安心感を得たら、自分で物事を解決したり、どうすればいいかを考えるという次の行動に進むことができるのです。
女の子は2歳くらいから、とにかくよく話すようになっていくことが多いです。男の子が身体を動かすことで自分を表現するのに対して、女の子は話すことで自分を表現することが得意。そのため、女の子のおしゃべりは、男の子よりさらに重要なコミュニケーションツールだと言うことができます。
女の子がたくさんおしゃべりをする理由は、大きく分けて2つあります。
1つは「認めてほしい」ということ。
おしゃべりという行為を通して、相手が「自分のことを大切に思ってくれているかな?」と確認をしているのです。
もう1つの理由は「自分の頭の中の整理」です。
自分が何を思っているのか、自分がどんな行動をしたのか、そして自分が何をしたいのか、そういったことを言葉にして確認しているのです。
この女の子のおしゃべり期に大切にしたいことが2つあります。
1つは、最後まで口を挟まずに話を聞いてあげることです。
どんどん言葉があふれてくるとはいえ、まだまだ上手に話すことができないのが2~3歳です。子どもは「話したい!」という気持ちだけで話し始めていることも多く、言いたいこともバラバラであることが多いです。
ですが、そんな姿を見て途中で口を挟むのではなく、「話したい」気持ちを満たしてあげるつもりで、なるべく最後まで話を聞いてあげてください。
「話を聞いてくれた」という経験は親子の信頼関係につながり、子どもの将来の自己肯定感を育むことにもつながります。
2つめは、子どもの感情を表す言葉をミラーリングしてあげること。
ミラーリングとは同調すること。子どもの気持ちをくみ取って言葉にして繰り返し、そうだねと寄り添ってあげるのです。
最後まで話を聞くのが大切だと言いましたが、ずっと黙って聞くのではなく、子どもの言葉を繰り返して「ちゃんと聞いているよ」と親の気持ちを伝えながら聞くことがポイントです。
たとえば、子どもが「〇〇ちゃんおもちゃとった!」「〇〇くんたたいた!」などと拙(つたな)い言葉で自分の想いを伝えてきたとしましょう。そんなときには、「おもちゃを取られて悲しかったんだね」「叩かれて嫌だったんだね」と、言葉からくみ取れる子どもの感情を、言葉にして付け加えてミラーリングをしてあげてください。
これは、プラスな感情でも同様です。
むしろ「うれしかったんだね」「楽しかったんだね」「ワクワクしたね」などプラスな感情をたくさんミラーリングしてあげたいもの。そうすることで、子どもは”今自分が抱いている感情がどのような言葉で表現されるのか”を学ぶことができます。
とくに2歳から3歳くらいの女の子の話を聞く際には、このミラーリングを意識して行いましょう。
女の子は、言葉がどんどん出てくるにつれて、親から見て原因がわからない癇癪を起こすことがあります。その理由はさまざまですが、理由の1つに「自分の気持ちをうまく伝えられないジレンマ」があると言われています。
子どもと話すときに親が意識して子どもの気持ちを代弁して、感情を語彙化していくと、子どもは人に自分の気持ちを伝えるのが上手になり、心も安定した状態になっていきます。
そして、心が安定していると、いろんなことに臆することなくチャレンジできたり、人と落ち着いてコミュニケーションが取れたりと、成長の機会を多くつかめるようになっていくのです。
***
場の空気を読んだり、大人の本心を見極めることが得意な女の子。
幼児だからといって子ども扱いせず、一人の人間として、対等に向き合ってコミュニケーションをとることで、さらに成長させることができるとわかりました。
ご紹介したポイントをおさえて、娘とのおしゃべりをたくさん楽しみたいですね。
次回は女の子のやる気の芽を育てるために親ができることを紹介します。
家庭教育アドバイザー TERU
幼児教育の講師。 1000人以上の子どもたちと関わってきた経験をもとに、0~12歳の保護者向けに知育、育脳、子どもとの接し方など家庭教育情報を発信している。登録者8万人超のYouTubeでは"子どもを成長させる"実践的な子育て動画を配信中。
YouTube:子育て勉強会 TERU channel
Twitter:@TERUkyoiku
Instagram:teru_kyoiku
ライター 西方 香澄
徳島で生まれ育ち、大学進学を機に神戸へ。養護教諭・児童発達支援など教育に従事したのち独学でライティングをはじめる。夫・1歳になった娘とクリエイティブな毎日をつくるため、現在デザインも勉強中。
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