特に一人っ子の親は、自分の子どもを見ていて「まわりの子より人とコミュニケーションをとるのが苦手かも」「きょうだいがいる子とはやっぱりちがう」などと感じると「うちの子は一人っ子だからかも…」と考えてしまいがちです。
もちろん、ちがいや不安な気持ちに理由を求めてしまうのはわかります。
ですが、それを「一人っ子だから」と決めつけるのは私はオススメしません。
子どもの苦手やちょっとした失敗を「一人っ子だから」と環境のせいにしてしまうと、子ども自身も「ぼくは一人っ子だから〇〇が苦手なんだ」と思い込んでしまいます。
そして、自分の可能性は一人っ子という環境によって決まっている、制限されていると感じてしまうかもしれません。
たとえ今コミュニケーションが苦手でも、これからの経験や学習で上手になる可能性はありますよね。どんな部分もその子の個性と考えて、子どものこれからの可能性に目を向けてほしいと思います。
きょうだいがいなくて一番気になるのがコミュニケーションの機会ではないでしょうか
確かに、一人っ子だからといってずっと親とだけ過ごしていては、コミュニケーションの練習は不足してしまうこともあります。子どもの脳は複雑性のある環境で強く育つことがわかっていますから、親に限らずさまざまな人と関われる環境をなるべく作ってあげることが大事です。
たとえば幼稚園や保育園は集団生活のなかでコミュニケーションの練習ができるうってつけの場ですし、ほかにも公園や児童館に連れて行ったり、ママ友と家族同士で遊んだりしてもいいですね。
コミュニケーションの相手がきょうだいでなくとも、コミュニケーションの機会さえ作ってあげられればいいんです。
環境が整っていれば子どもはその子のペースでコミュニケーションの経験を積んでいくことができますよ。
ただ、なかには気質的に友達の輪に入っていけない子もいます。そんな子に「せっかくコミュニケーションの場に連れてきたのに」と輪に入ることを強要する必要はありません。
子どもが一人で遊んでいたり遊んでいる友達を観察していたりしていても、その姿を肯定して見守ってあげましょう。
そうすると子どもは安心して、いつかその子のタイミングで友達の輪に入れるときがきます。
もう一つ、人がコミュニケーションが得意になっていくには家庭で否定されずに話を聞いてもらえた経験が大事だといわれています。
家庭ではぜひ、子どものおかしな発言や的外れな意見も否定せずに聞いてあげることを意識してみてください。
やっぱり一人っ子はマイペースになるのでしょうか
マイペースな子になる理由は一人っ子だからではありません。
一人っ子でもきょうだいがいても気質的にマイペースな子はたくさんいます。
心配される親御さんが多いですが、じつは自分のリズムがあって周りに流されないマイペースはむしろ長所です。
「一人っ子だからマイペースになっているのでは?」「マイペースにならないように気をつけなくちゃ」と考えるのはやめて、子ども自身のペースを大切に見守ってあげてください。
■TERUさん本人が解説!0~12歳 一人っ子を育てる10の心構え『ひとりっ子だから。ということは全く気にしなくてOK!』
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あなたは一人っ子というとどんな子をイメージしますか?
「一人っ子だから〇〇」といったイメージはほとんど思い込みなのかもしれません。
きょうだいの有無や育児環境にとらわれずに、その子自身と向き合っていくことが大切です。
家庭教育アドバイザー TERU
幼児教育の講師。 1000人以上の子どもたちと関わってきた経験をもとに、0~12歳の保護者向けに知育、育脳、子どもとの接し方など家庭教育情報を発信している。登録者8万人超のYouTubeでは"子どもを成長させる"実践的な子育て動画を配信中。
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ライター 西方 香澄
徳島で生まれ育ち、大学進学を機に神戸へ。養護教諭・児童発達支援など教育に従事したのち独学でライティングをはじめる。夫・1歳になった娘とクリエイティブな毎日をつくるため、現在デザインも勉強中。
きょうだいの有無で育ち方にちがいがあるのではと考えてしまうことがあります