3人の子どもを子育て中の現役ママFP・北村由紀です。
小学校に入学すると、それまで親の目の届く範囲で生活していた子どもの行動範囲が広がり、新しい世界に親子でドキドキしますよね。
「登下校時や習い事への道で、お金が落ちていたらどうする?」
「お友だちがおごってくれると言ったらどうする?」
社会への第一歩を自分の足で踏み出す子どもに、親として何を教えておくべきか悩ましいところです。
前回はお金の大切さを伝えるために、遊びや一緒にお買い物に行く中で取り組めることをご紹介しました。
「お金とは何か」を入学前の子どもに伝える方法としておすすめの、“おこづかい”について今回はご紹介したいと思います。
実際のお金を扱う"おこづかい"は、キャッシュレス化で現金を見る機会が少なくなってきた昨今、お金と物を交換するという基本的な仕組みからお金の管理までを子どもが理解するために最適な方法だと私は考えています。
みなさんは、小学校入学前のお子さんに「お金って何?」と聞かれたら何と答えるでしょうか。改めて聞かれると考えてしまうものですが、昨今の現金離れしている状況ではなおさら説明は難しいかもしれません。
大人がキャッシュレスで支払う姿を見ている子どもは、ジュースなどが欲しいとき「カードちょうだい」と、ICカードを要求してきますよね。
ICカードやクレジットカードを何でも買える魔法のカードだと誤解してしまう前に、しっかりと現金を使うことを覚えてもらい、それから「クレジットカードは後からお金を払うだけで、同じお金だよ」と順番を追って伝えることが肝心です。
お金とは…
このことを子ども目線でわかりやすく楽しく伝えるには、生活の中で"本物の体験"を親と一緒にすることが一番。特に自分のお金となると、真剣さが増すこと間違いなしです!
そこで最適なのが"おこづかい"なのです。
「小学校入学前に自分のお金を持たせるのは早すぎるのでは?」私もそう思っていましたが、わが子が4歳で始めてみると、全くそんなことはありませんでした。
「いつから始めたらいい?」という声もよくお聞きします。
お金に興味をもったら、年齢や理解度に合わせたおこづかいを始め、段階を踏んでステップアップしていけばいいのです。
自分がもらうまでは兄姉のおこづかいをうらやましそうに見ていたわが家の末娘。おこづかいをもらい始めた今では、自分なりにやりくりしながら、欲しいものを我慢しなければならないときは「もらってなかったときの方がよかったかも~」とつぶやく微笑ましい姿も。「大人への準備だ!頑張れ!」と心の中で応援しています。
おこづかいは親から渡されるものですが、すべて受動的にせず、"おこづかいをいつ、いくら、何に使うか"など、どんなルールでするかを話し合って決めるようにします。「一緒に決めたルールだからきちんと守ろうね」と、入学前には徹底しておきたい"約束を守る"ことを身に付けることができます。
わが家では、毎日の玄関の靴並べを「家族の一員として決めたあなたのお仕事だよ」と、おこづかいをもらうためのルールの1つにしました。
いくら自分のお金だからといっても"思いたったら何でも買う"としてしまっては、適正な金銭感覚は身に付きません。大事なことは、おこづかいで"何を買うか"を決めることです。その内容によっておこづかいの額もおおよそ決まり、この金額を決まった期間でやりくりする"予算"という概念を身に付けることができます。
わが家の場合は、下記のように目的別に3つに分けて考え、毎週日曜日に渡すと決めています。
一緒に買い物に行ったときに自分で自由に使っています。持っているお金の中でしか買えないと分かっているので、それまでのようにお菓子をねだってグズることもなくなり、買い物中はとても助かります。
また、予算内で、大物を1点買いするか、小さいものを何個か合わせて買うか、どう買うと一番満足できるか考えて、工夫する姿も見えます。お菓子の中でも値段を比較して、「なんでこれは高いの?」と以前にも増して、"値段=価値"の違いに興味津々になりました。"自分のお金を使う"という効果は高いですね。
幼稚園で毎月ユニセフの寄付が募られるのですが、娘は自らおこづかいを使って寄付するようになり、より気持ちのこもったものになっていると感じています。
目標のものを買うには貯金をし、予測できない何かのために準備が必要ということを覚えます。
わが家では、姉が学校で使っていて憧れている、両側が開く筆箱を目標にしました。入学前に親が買いそろえるものの中で、自分で買ったというものがあったら、その達成感とうれしさで、特に思い入れ深く大切に使ってくれるでしょう。
合計で毎週200円です。未就学児には多い金額では?と思われるかもしれませんが、②③は自由に使えるお金ではなく、相談のうえ、必要なときに使うもの。
そして、自分のお金でも全部好きなようには使わず、最初から必要な②や③を分けておくという習慣が身に付きます。
以上の3つに分けて管理し、"お金は使うことで幸せになる" "人のためにも自分の未来のためにも貯金は大事"ということを学んでいます。
また、おこづかいを通して、
ということを、身をもって知るきっかけになりますね。
たかがおこづかい、されどおこづかいです。
筆者は第一子のおこづかいを始めた頃、おこづかいの考え方は家計管理につながることばかりだったので、改めて自らの管理を見直すきっかけになりました。また、子どもは親と一緒に取り組むことがうれしいので、いつもお金の使い方について前のめりに話してくれ、とても相乗効果の高い親子コミュニケーションだと感じています。
幼稚園児の娘には、まだおこづかい帳は取り入れていませんが、毎週のおこづかい日に、前の週に娘が購入した時のレシートを一緒に確認して、良い買い物をしたかムダ遣いだったか一緒に振り返るようにし、おこづかいを渡したままにしないことを心がけています。
ただし、おこづかいを使う時は口出しせず見守っています。大人になってからのお金のトラブルは大ごとですが、子どもサイズのおこづかいでの失敗は、成長するための材料です。温かい目で見守りながら、親子でのお金の学びをぜひ楽しくスタートしてくださいね。
キッズ・マネー・ステーション
「見えないお金」が増えている現代社会の子どもたちに、物やお金の大切さを知り「自立する力」を持ってもらいたい、という想いで設立。 全国に約300名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行う。2020年までに1500件以上の講座実績を持つ。http://www.1kinsenkyouiku.com/
キッズ・マネー・ステーション認定講師/ファイナンシャルプランナー 北村 由紀
小5・小3・年中の現役ママFPとして和歌山市で親子の学びを応援する教室を開催。「家族の未来にワクワクを」をモットーに、ママ向け、親子向けに家庭で楽しく生きるチカラを育む方法をお伝えしている。他に、行政講座講師、小学生新聞・WEBコラム執筆で活動中。
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