【国民生活センターからの注意勧告】大人気の「水でふくらむボール」は事故報告アリ!重大事故を未然に防ぐためのポイントとは

【国民生活センターからの注意勧告】大人気の「水でふくらむボール」は事故報告アリ!重大事故を未然に防ぐためのポイントとは
お風呂やプールで遊べる、水で膨らむボールでの事故が相次いでいます。 お正月の帰省や室内遊びのシーンで普段遊ばないおもちゃを出して事故につながることも…。実際に起きた事例をご紹介します。
目次

100均などで多く販売されている水で膨らむボールをご存じでしょうか?
「ぷるぷるボール」や「ぷよまるボール」などの商品名がついており、水を含ませるだけで小さかったボールが一気に数倍の大きさに膨らみ、ぷよぷよとしたタピオカのようになるおもちゃです。

実はこのおもちゃによる事故が今年だけで既に3件報告されています。
事故の多くは子どもが小さい状態のボールを飲み込んでしまい、それが体内で膨張し、腸閉塞などの症状を引き起こしたというものでした。

事故実例

国民生活センターの「医師からの事故情報受付窓口」(通称・ドクターメール箱)宛に、今年に入って報告された実例を3つご紹介します。

事例1.生後11ヶ月 男児

生後11カ月の男児が自宅の庭で上の子と遊んでいたとき、水で膨らむボール状の樹脂製玩具 を食べていた可能性があった。
その夜から嘔吐があり、嘔吐物の中に当該品の一部がみつかりすぐに病院を受診。腹部CT検査を受けたところ腸閉塞が認められたため、当該品による腸閉塞を疑い、開腹での手術を行った。
小腸内に当該品が直径30mm大に拡張し、通過障害を起こしていた。

当該品は腸の外から押すと腸管内を移動したため、下行結腸まで押し込んだところ、手術後に便とともに排出された。
(事故発生年月:2021年6月、11カ月・男児)

出典:国民生活保護センター

排出されたボールがこちら。小さかったボールは直径3cm大にまで膨張しています。

事例2.生後9ヶ月 男児

生後9カ月の男児に発熱や咳が繰り返し出る症状が現れ、翌日から嘔吐症状と食欲低下があ り、翌々日、咳が治らず、入院した。
その翌日、腹部レントゲンで腸管が広がっている様子がみられたこと、腹部のCT検査やMRIで小腸先端に異常がみられたこと、また、同部位での閉塞が疑われたことから、同日、転院搬送され、緊急手術を行い小腸内の異物を摘出した。
摘出された異物は4cm×2.5cm大の鶏卵型の樹脂製の物質であった(写真2参照)。
(事故発生年月:2021年9月、9カ月・男児)

出典:国民生活保護センター

小腸から摘出されたのがこちら。長い方は4cmほどもあり、かなり大きめ。1歳にも満たない子どもの体内にこれが入っていると考えるだけでもゾッとしますね…。

事例3.1歳 男児

1歳の男児が自宅で上の子と水で膨らむボール状の樹脂製玩具で一緒に遊んだ1~2時間後か ら嘔吐があり、救急外来を受診したが、誤飲は判明しなかった。
その後、近くの医療機関に通院していたが、症状発生から4日経過しても嘔吐症状が続いていた。新たに腹部の膨満が生じたことから、再度救急外来を受診したところ、腸閉塞の診断を受けて入院した。
超音波検査により複数の膨張したボールが腸管内に確認され、誤飲から5日後に転院搬送され、同日、開腹手術を行い、腸管内の異物を摘出した。
(事故発生年月:2021年12月、1歳・男児)

対象年齢を守る、保護者が常にそばにいること!

国民生活センターからは、これらの事故を防ぐための3つのアドバイスがでています。

1.保護者監督下で遊び、簡単に持ち出せない場所に保管する

今回の事例ではパパがトイレに行っていた隙に飲み込んでしまったなど、わずかな隙に起きた事故もあります。
ほんの少しだけでも子どもを離れる場合は別の保護者に見てもらうなど徹底するようにしましょう。

また、手の届く高さに保管しておくと、いつの間にかとりだして飲み込んでしまうことも。
カラフルで丸いボールは子どもにとっても興味津々。大人でないと手が届かないところに保管しましょう。

2.速やかに医療機関を受診する

誤飲に気づいた場合や、その可能性が少しでもあると思ったら速やかに医療機関を受診しましょう。
そのとき、飲み込んだと思われる時間や商品のパッケージなどを伝えておくとその後の対策がとりやすくなります。

「咳が続いている」「嘔吐をする」といった症状だけを伝えてしまっては「まさか水で膨らむボールを飲んだ」と誰も思わず適切な対処ができなくなってしまうので要注意です。

3.対象年齢以下の子どもがいる家庭では使用を控える

きょうだいがいる家庭では、上の子に買い与えたつもりが、親の目が届かないところで下の子が遊んでいるということも十分に考えられます。
そもそもこういった事故が続いていることもあり、購入を控えるということも検討してみましょう。

***

今回紹介した事故はいずれも手術を必要とする物にまで発展しています。場合によっては死亡事故にもつながってしまうため、小さな子どもがいる家庭では特に注意するようにしましょう。

さらに年末年始の冬休みは何かと新しいおもちゃで遊んだりする機会も多いはず。 前例があることを知って上で、事故を未然に防げるよう親としてもきちんと子どもをみておくことが重要になりそうですね。

参考資料:乳幼児による水で膨らむボール状の樹脂製玩具の誤飲にご注意!(国民生活保護センター)

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