どうして、ダダをこねるの?
どうして、泣くの?
子育ては思い通りにいかないことばかり。生まれてきたときからママやパパは「どうして?」のくり返し。 きっとこうに違いない、だんだんこういうことができるようになったんだなと、親ならではの観察力とカン、そしてあちこちから入ってくる情報で、なんとなく「ママ・パパ」としてアップデートしてきている…という感じ。 でも、もし子どもの言動に込められた「本当の気持ち」がわかったら?
単にダダをこねて親を困らせているように見えていたけれど、実は緊張をほぐそうとするための子どもならではの必死の抵抗だったら? そんな「子どもの本当の気持ち」を教えてくれるのが今回紹介する書籍、その名もズバリ『子どもの気持ちがわかる本 子どももママもハッピーになる子育て』(かんき出版)です。
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この書籍の特徴は、月齢・年齢に応じた「あるある」を、神経科学や実験心理学といった客観的な事実から子どもの言動を分析している点です。
子どもは脳がまだ発達中なので、大人と同じようには物事を見ていないし、理解もしていない――だから、大人の思い通りには言うことも聞かないし、できない。 そんな非常に大切なこと(なのに、今まよく知らずにいたこと!)を、かわいいイラスト付きでわかりやすく解説しています。
読めば今まで「カン」で対処していたことも「子どもにとってはこういうことだったのか!」と、ストンと腑に落ちますよ。
たとえば1歳から1歳半の時期によくある「決まりを無視する、いけないと言っても聞かない」のは…
1.まだ概念化できない
→自分が今悪いことをしている、という理解ができていない。
2.覚えていられない
→まだ直前に起こったことしか覚えておらず、同時に2つ以上の情報や考えを記憶できない。
3.まだ自分の行動を抑制できない
→4歳未満の子どもの脳内では、衝動(行動する)の分野と抑制(行動を控える)の分野がまだうまく接続していない。
4.新しい能力を探るのが何よりも大事
→ダメと言われても同じ行動をくり返す(たとえば食事中にわざとスプーンを落とすなど)のは、脳が発達してきて命令できるようになったので子どもは単に試してみたいだけ、その抑制ができていないだけ。
5.子どもの脳は否定が苦手
→子どもはダメと言われても、ダメと言われたことを想像してやってみたくなる。たとえば、「あめを食べちゃダメ」と言われることは、子どもにとって「あめを食べなさい」と言われたように受け取り、言われた通りにする。
…これだけの理由があるわけなので、そりゃ親がどんなにダメと叫んでもいうことを聞くわけないんだな、と納得!! そしてこの「子どもの気持ち」がわかることで、今までのように一方的にガミガミ叱ったり、「どうしてわかってくれないんだ」とへこむことがグンと減りそう!と明るい気持ちに。
また、この本では子どもの気持ちを教えてくれるだけではなく、だからこそこんなときはこうコミュニケーションを、というアドバイスも書いてあるのが非常にありがたいです。 たとえば、
など。 この「子どもの気持ち」の理解と、「コミュニケーションの取り方」のアドバイスを、夫婦間で共有して同じ目線で子育てしていけば子育てが今までよりもラクになるはずですよ。
ところで、わが家の次女は現在2歳半。 イヤイヤ期になって久しいですが、まるでこちらの反応を楽しむかのごとく、毎日のようにいたずらをしでかしてきます。 保育園のお迎えでは毎度帰りの自転車に乗ってくれず、ぴゅーっとどこかに走っていくし、寒くても上着や靴をポイッと脱ぐし…機嫌が悪いと運転中の自転車から身を乗り出して大騒ぎ(危険!!)。正直、2歳上の長女のときよりパワフルで、こちらは心も身体もヘロヘロ…。
そんな筆者にとって興味津々だったのが第3章のイヤイヤ期(1歳半~2歳)。 本書によると「いたずらをする」理由も明確にあるのだそう。 この時期は運動協調性(手・足など別々に動く機能をまとめて1つにして動かす運動)を発揮したいだけなのだとか。
運動は子どもを夢中にし、まだ「やりたい」という衝動を自分一人では抑えることができない。全身全霊で「今こうしたいと思うこと」に生きている。そのうえ、まだ頭の中に確固としたイメージを持てないので、自分の行為の結果がどんなことになるのかをわかっていない…。
… 確かに!!と思う点だらけです。
そして、その都度言われなくても悪いことをしたと感じるようになるのは、4歳ぐらいからとのこと。
「あと2年先…」とクラッとなりましたが、理由がわかれば対処法もわかります。
どうせ言うことを聞かないのなら、危なくない程度にある程度好き勝手にさせて満足させたり、ほかの選択肢(「自転車に乗ったら、大好きなお店のところに行けるよ」など)を提案するなど色々と対処のやりようもありそうです。
実際に、「帰る時間になっても公園を離れようとしない」という場合も、子どもにとって「帰る」という言葉は何の意味もないと書いてありました。 その代わり、回数を数えるのは大好きなので「あと1回か2回、それともゼロ回がいい?」と聞いて子どもに答えさせ自分で数えさせるとびっくりするほどスムーズに事が進むとのこと。これはすぐ試さねば!!
本書の著者であるイザベル・フィリオザさんは心理療法士であり、2児の母。 自身の子育てにおいて、最高に幸せな時期もあれば大変苦しいこともあったと言います。 泣き叫んだりされると、もうどうしたらいいのかわからず、自信がなくなり自分のしていることが全部間違っているように思えたそう。
そんなとき、子どもにいったい何が起こっているのかを教えてくれて、親はどういう態度を取ればいいのか、ヒントをくれるような本があればいいのに…という思いから、この『子どもの気持ちがわかる本』を書いたとのこと。
そして、子どもの教育のために必要なことは、まず親の愛情。 そのためにも親であるわたしたちが「どうして?」と頭を抱えるストレスを少しでも減らしていかないと愛情のタンクは枯れてしまう。
100%の正解はなくても、手探りでしかなかった自分の子育てに少しでも納得感が持てれば、それだけでわたしたちはハッピーになれますよね! ぜひすべての親に読んでほしい一冊です。
『子どもの気持ちがわかる本 子どももママもハッピーになる子育て』
著者:イザベル・フィリオザ (著), アヌーク・デュボワ (イラスト), 土居 佳代子 (翻訳)
発行:かんき出版
定価:単行本1,540円(税込)/Kindle版(電子書籍)1,386円(税込)
【わたし的評価】
満足度 ★★★★★
実践度 ★★★☆☆
読みやすさ ★★★★☆
わかりやすさ★★★★★
ライター 河瀬 みこと
大学卒業後16年間、教育関連企業で編集・マーケティング業務を担当。第一子妊娠時に退職。その後保育士資格を取得。二児の姉妹を育てながら、編集・ライター業に邁進中。
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