子どもに“ごめんなさい”を無理に言わせなくていい理由

子どもに“ごめんなさい”を無理に言わせなくていい理由
子どもの行動が目にあまり、親として「謝りなさい」と言いたくなる場面は珍しくないでしょう。 でも、子どもにとって“ごめんなさい”は、簡単に口にできる言葉ではありません。 もちろん悪いことをしたら謝るのは大事ですが、同じくらい大切なのは、言葉の前にある“心の育ち”なのです。
目次

子どもに“ごめんなさい”を言わせるのはなぜ?

子ども同士のトラブルで手が出てしまったときや、おもちゃの取り合いになったとき「ちゃんとごめんなさいしようね」と促す場面はよくありますよね。

その背景には「謝ることで反省を促したい」「相手の気持ちを考えられる子に育ってほしい」という願いがあると思います。 社会の中で生きていくうえで、謝罪の言葉は人間関係を築く大切なスキルのひとつです。

けれども、子どもが気持ちの整理もできていないまま「ごめんなさい」と無理に言わされると、その言葉はただの“空の音”になってしまうことがあります。

ときには、自分の気持ちを押し殺して形だけの謝罪を繰り返すことで、「どうせ謝らないといけないから…」と感情にフタをしてしまう子もいます。

子どもは“なぜ謝るのか”が分からない

大人から見ると「悪いことをしたのだから謝るのが当然」と感じる場面でも、子どもにとっては「なぜ自分が謝るのか」がよく分かっていないことが多くあります。

例えば、相手が泣いてしまったことに対して「自分は悪くない」と感じている場合、謝るように促されても納得がいきません。 反対に、自分の行動で誰かが傷ついたことに気づいたときには、たとえ言葉が出なくてもそっと近づいて様子を見たり、優しくタッチしたり、子どもなりの“ごめんね”を表現していることもあるのです。

謝る行為は、単に言葉を口にするだけではありません。 子どもなりのペースで「あのとき〇〇しちゃって、相手はこう思ったのかも」と気づき、心が動くことで、初めて本当の意味での謝罪につながります。

形よりも“気づき”を大切にしたい理由

大人が「ごめんなさいしなさい」と繰り返すと、子どもは「大人が満足するために謝ればいい」と学習してしまうことがあります。 これは一見するとスムーズなように見えて、じつは対人関係の土台をゆがめる原因にもなります。

本当の意味で「相手の気持ちを考えられる子」に育てるためには「相手がどう感じたか」「自分の行動にどんな影響があったか」に気づく力を育てることが必要です。

そのためには、大人が一方的に「ごめんなさい」と言わせるのではなく「どうしたかったの?」「相手はどんな気持ちだったかな?」と、子ども自身が内面を見つめられるような声かけが大切です。

そして、ときには沈黙も見守ってみましょう。 子どもがじっとしていたり、下を向いたりしているときは、気持ちの整理をしている最中かもしれません。

その時間こそが、心が育っている“最中”なのです。

謝らない子どもをどう受け止めるか

「何度言っても謝らない」と不安になることもありますよね。 けれど、子どもがすぐに謝れないのは、決して“反省していない”からではありません。

ときには、悔しかったり恥ずかしかったりして、謝る余裕がないこともあります。 あるいは、言葉で謝る方法をまだ知らないだけかもしれません。

そんなときは「今はまだ言えないんだね」「少し落ち着いてからお話ししようか」と、気持ちを認める言葉をかけてあげてください。 そうすることで、子どもは「謝らなきゃダメな自分」ではなく「わかってもらえた自分」として受け止められ、少しずつ心を開いていけるのです。

子どもが“本当のごめんなさい”を言える日を信じて

大人が焦らず待ち、子どもの気持ちに寄り添うことで、子どもは自分なりに“ごめんなさい”を見つけていきます。 それは言葉ではなく、行動かもしれません。

たとえば、おもちゃを返す、絵本を差し出す、にっこり微笑む…。 それも立派な“謝る”という表現です。

言葉としての「ごめんなさい」が自然に出るのは、子どもが自分の気持ちを理解し、相手の気持ちも想像できるようになったときです。 それまでのプロセスを、親や大人が信じて見守っていくことが、子どもにとって最も安心できる土台になります。

まとめ

「ごめんなさい」は大切な言葉ですが、それを“言わせる”ことが目的になってしまうと、子どもにとっては苦しい経験になります。 大切なのは、言葉の奥にある“気づき”や“心の動き”を育てること。

焦らず、子どもが自分のペースで気づき、心から謝れるようになるプロセスをそっと見守っていきましょう。

ライター / 監修:でん吉(保育士)

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執筆者

保育士 でん吉

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