主人公は、45歳の主婦さとみだ。10年間、義両親の介護に尽くしてきた。
その葬式の日、夫の守は親戚の前で平然と嘘をついていた。
「いや本当に大変だった、介護辛かったわ。嫁のさとみは全然手伝ってくれねえし、俺一人で頑張ったんだ」
親戚「そうなのね、お疲れ様、守くん」
介護を全て私に丸投げしていたくせに…。
優しい義両親のことが気がかりで離婚できずにいたけれど、もう我慢する必要はない。
後日、私の母が倒れたと聞き、病院へ駆けつけた。
すると、そこへ守も勝手についてきて、とんでもないことを言い放った。
「大変だな、介護生活が終わったらまた介護生活とか。
ま、俺には関係ないけどな。愛人と結婚するから離婚で。親の介護頑張れ」
ニヤニヤ笑いながらそう告げる守。しかし、私は少しも動じなかった。
「あ、そうよね。あなたには私よりずっと大切な人がいるんだものね。私は大人しく身を引くわ。どうぞお幸せに」
「はあ? 何言ってんだよ。まさかお前、知ってたのか?」
「知ってるって、どれのこと? あなたが若い愛人を作ってること? それとも愛人にお金を貢ぎすぎて貯金が尽きてきてること?」
私が冷静に事実を告げると、守は顔を歪めた。
「くそ! 全部知ってたからって勝ったつもりかよ! お前はこれから俺に捨てられるんだ!」
「まさか私があなたと離婚したくないとでも?
こっちはとっくに、あなたと離婚する前提で浮気の証拠をしっかり集めてあるのよ。
むしろ、そっちから堂々と宣言してくれて助かったわ。これで慰謝料を請求するのが楽になるもの」
「慰謝料!? 冗談だろ! 俺が愛人を作ったのはお前が俺を構わないからだろ!」
「今まであなたと離婚しなかったのは、義両親のことが気がかりだったからよ。
その恩返しのために介護をしてただけで、あなたの負担を減らすためじゃないの」
そう言い放つと、夫は悔しそうに病室を出て行った。
彼が1週間後に迎える破滅を、私は静かに心待ちにしていた。
1週間後、守は愛人のエミを連れて自宅にいた。
「あいつが余裕の顔だったのは予想外だったけど、結果的に思い通りになってよかったよな」
「本当にね! 自分から出て行ってくれるなんてラッキー!」
二人が盛り上がっていると、玄関のチャイムが鳴った。そこにいたのは、不動産屋と内見の客だった。
「はいはい今開けるって…誰だよお前ら!」
「不動産屋です。こちらの物件の内見に伺いました」
「はあ!? 内見!? 何かの間違いだろ!」
「どういうことと言われましても、こちらの家を所有している奥様との売却の契約は済んでおりますので。入居者が決まったらすぐに立ち退くという話ですが」
「売却!? 立ち退き!? どういうことよ!」
愛人のエミが叫ぶ。守が慌てて説明した。
「俺が両親の介護を全部さとみにやらせてたからって、両親が家の権利をさとみに相続させてて…」
「はあ!? 聞いてないわよ! このままじゃ私たち住む家もなくなるじゃない!」
その時、内見客が声を上げた。
「決めました! この家を買います! すっごく気に入りました!」
不動産屋は守たちに向き直った。
「それではお二人は速やかに出ていってください。この家はもう、あなた方のものではありませんので」
家を追い出された守とエミは、親戚のみち子の家に駆け込んだ。
「みちこさん、助けてください! 嫁のさとみがとんでもないことを!」
「あいつ、俺の両親を騙して家の所有権を手に入れたんです! 一緒にあいつと戦ってください!」
二人の必死の訴えに、みちこさんは静かに告げた。
「残念だけど、あなたたちに協力するわけにはいかないわ。ご両親から何度も相談を受けていたのよ。
『息子が介護に全く協力せず、嫁のさとみさんが可哀想だ』って」
「うそ…それは…」
しどろもどろになる守を庇おうと、エミが割って入る。
「本当はご両親の介護をやりたかったのに、さとみさんに妨害されて…!」
すると、みちこさんはエミに向かって言った。
「ところであなたはどなた? …実は、そちらのエミさんが他の男性とホテルから出てくるのを見たのだけど。
もしあなたたちが愛人なら、さとみさんを裏切った上に、その浮気相手に二股をかけられていたことになるけど…」
「はあ!? 他の男とホテル!? どういうことだよエミ!」
「ち、違う! そうじゃなくて!」
「この詐欺師! 俺を騙すつもりだったんだな!」
追い詰められたエミは、ついに逆ギレを始めた。
「うるさい! そうよ、あんたなんてただの金づるよ!
嫁に遺産を相続されてるなんて、騙されたのはこっちの方よ!」
その醜い言い争いを見て、隠れていた私は姿を現した。
「ちょっとカマをかけてもらったら、こんなに簡単に本性を出すとはね」
「さとみ! どうしてあんたがここに!」
「あなたたちが親戚を巻き込むのは目に見えてたから。あらかじめ事情を説明して回っていたのよ」
そう、みちこさんの話は、二人の本性を暴くための芝居だったのだ。
味方が誰もいないと知った二人は、今度は私を脅し始めた。
「あんたのせいで俺たちの人生はめちゃくちゃよ! 実家に押しかけて迷惑かけ続けてやる!」
「そうだぞ! お前の大事な両親、突然失踪することになるかもな!
要介護状態なんだろ? どこかに連れて行って置き去りにされたりしてな!」
開き直って脅迫を続ける二人に、私は静かに告げた。
「なるほど。つまり、あなたたちは私と私の家族に危害を加える形で復讐する、と。
…よく分かりました。じゃあ警察の皆さん、後はよろしくお願いします」
私が合図すると、隠れていた警察官たちが一斉に姿を現した。
「け、警察がなんでここに!?」
「あなたたちが卑怯な手段に出てくるのは目に見えてたから。念のため、警察の方にも来てもらっていたのよ」
その後、守とエミは私を脅した罪で逮捕された。
さらに、義両親の遺言書には「息子には一円も渡さず、介護してくれたさとみさんとその両親のために遺産を使ってほしい」と、はっきり書かれていたことも明らかになった。
相続の書類を全て私に丸投げしていた守は、その事実を知る由もなかったのだ。
裁判で罪をなすりつけあう二人には、重い判決が下されるだろう。
一方、私は実の両親と新居での生活を始めていた。
「さとみ、色々してくれるのは嬉しいけど、無理はしていないか?」
「大丈夫だよ。義両親の遺産で経済的に余裕もあるし、負担だった夫もいなくなって、自分の時間をちゃんと大切にできてるから」
義両親が残してくれた優しさと遺産。それを使って、今度は私が自分の両親の介護をする。
ようやく手に入れた穏やかな日々なのであった。
出典:嫁子のスカッと漫画
イラスト:嫁子のスカッと漫画
※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。 ※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。 ※この物語はフィクションです。
(おやこのへや編集部)
おやこのへや編集部
心も体も大きく成長する幼児期から小学生の子どもたち。一人ひとりの個性が出てきて、子育てに悩むことも多いこの時期を、おやこで楽しく過ごせるよう、ヒントになる情報を発信していきます。
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