3人育児に奮闘中のママライター、タキザワです!
子どもと日々向き合う中で、一日に何回も出てしまう「〇〇しなさい!」という言葉。「子どもにちゃんとしてもらわなきゃ」という思いから出る言葉なのですが、言っていて気が重くなることもしばしば…。「できれば言いたくない。でも言わないと子どもは動いてくれないし仕方ない」と思っていました。
そんな考えを覆したのがこちらの本『しなさいと言わない子育て』(ボーク重子著・サンマーク出版刊)です。
表紙を開くと目に飛び込む「『しなさい』は、子どもから『奪う』育児です」という衝撃的な文章。著者・ボーク重子さんの優しく的確な言葉とわかりやすい漫画で、最後までぐいぐい読めてしまいました!
子育ての根底にあるのは、ママやパパの「子どもにいつも幸せでいてほしい」という思い。その思いがゆえに、子どもが将来困らないようにと、先回りしたり、やりすぎたり…ということってありますよね。
しかし、親はいつかいなくなるもの。子どものことを思うのであれば、子どもには自分のことは自分でやらせるべき。今話題の子どもが自分で自分を幸せにする力「非認知能力」を伸ばす必要があるとボーク重子さんもこの本で言っています。
ライフコーチとして活躍するボーク重子さんが「非認知能力育児」に出あったのは、娘が生まれてすぐのことだそう。遠いアメリカで、外国人の夫とともに始まった試行錯誤の子育て。「自己肯定感が低く、自分に自信が持てない自分のようにはなってほしくない!」という思いから、ボークさんは当時欧米で話題になりつつあった非認知能力育児を始めました。
そうして育てられたボークさんの長女は、18歳のときに日本人で初めて「全米最優秀女子高生」という大学奨学金のコンクールで優勝し、日米のメディアの注目を集めました。この奨学金のコンクールは娘さん自身が見つけて応募、自分で準備して優勝を勝ち取ったというのですから驚きです!
そんなすばらしい子どもを育てた「非認知能力育児」とは一体どんなものなのでしょうか?
「非認知能力」とは数値化も可視化もできない力—自己肯定感、自信、自制心、主体性、やり抜く力、社会性などの総称。社会で生きていくために必ず必要になるであろうこれらの力ですが、日常のちょっとしたしかけによって育むことができるんだそう。
子どもの非認知能力を育てるカギ、それは「声かけ」だとボークさんは言います。「『しなさい』と言っちゃいけないのであれば、ほかになんて言えばいいの?」と悩むママ・パパもいますよね。そんなとき意識すべきなのは、「子どもの話を否定しないこと」なんです。
先日、子どもの話を聞くことの難しさと重大さを実感した出来事がありました。
幼稚園で、先生から夏休みについての話を聞いたという年長の長男。迎えに行くと、「もうすぐ夏休みでしょ?」と聞いてきました。夏休み中も預かり保育に申し込んでいたので、「〇〇くん(息子)は幼稚園があるよ」と話を最後まで聞かずにそう答えてしまった筆者。すると息子は「なんでみんなは夏休みなのに、僕にはないの!?」と怒り出してしまいました。
慌てて「〇〇くんにも夏休み、ちゃんとあるよ」「夏休みだけど、幼稚園に行く日があるんだよ」と伝えるのですが、癇癪を起こしてしまった息子の耳にはなかなか届かず…。息子の話を最初から否定し、最後まで聞かなかったことを反省しました。
じつは「否定」は子どもの心理的安全性を損ない、自己肯定感を下げてしまう危険な行為。もし内容が明らかに間違っていた場合は、否定や同意をせずに「なるほど、そう思うんだね」など一旦肯定してから、「どうしてそう思うの?」「詳しく教えて」と質問し、子どもが考えながら、自分の気持ちを説明できるように促すのです。筆者はまず「そうだね。もうすぐ夏休みだね」と肯定した上で、息子の話を先まで聞かなきゃいけなかったんですね。
加えて、子どもの話を聞くときは、感情を抑えて最後まで聞くことも大切です。これってじつは結構難しいこと。子どもの話を聞いているつもりで、途中でつい「え?△△じゃない?」「ママは△△だと思うな」など口を挟んでしまったことはありませんか?
ボークさん曰く、話す割合としては「子ども8:大人2」が理想だそう。しかも大人の2割は相づち程度にして、とにかく子どもに話をさせることが重要なんだとか。
この後、筆者は息子を抱きしめて落ち着かせてから、まず息子の話を最後まで聞かなかったことを謝りました。それから「〇〇くんにも夏休みはちゃんとあるよ。夏休みにやりたいことがあるの?」と話を促すと、息子は「幼稚園にも行きたいけど、夏休みなんだから休みたいし、おうちでいろんなことをしたい」とのこと。
仕事もあるし、もう保育を申し込んでしまったし…などいろいろな思いが頭をよぎったのですが、それは一旦心に留めて、「じゃあその日の朝に、幼稚園に行くか行かないか決めようか?」と提案しました。
この「△△しようか?」「ママは△△がいいと思うんだけど、どう思う?」という提案こそが、「しなさい」に代わる言葉!親が子どもに一方的に命令するのではなく、子どもと一緒に決めることで子どものやる気、自己肯定感の発達につながるのだそう。
ちなみに筆者の提案を快諾してくれた長男は、預かり保育が予想以上に楽しかったらしく、「ママ!僕、毎日幼稚園に行く!」と朝の準備を自分でしてくれるようになりました!
「社会に出ても恥ずかしくない人間になってほしい」「自分はできなかったから、子どもにはできるようになってもらいたい」など、子どもにはつい期待や願望を込めてしまうもの。
その結果、厳しくしつけをしたり、習い事をたくさんさせたり…という話も聞きます。しかしボークさん曰く、子どもにとって本当に必要な「しつけ」はたったの2点。
「子どもの命と健康が損なわれそうなとき」
「社会のルールに背きそうなとき」
これら以外は見逃してOKだというのです。「しつけ」ではなく、子どもと一緒に家族のルールを決めることで、子どもが自分を律する力を身につけることができるのだそう!
「ファミリールール」の作り方のほか、「ちょっと待って」の伝え方、叱るときの原則、親子の感情コントロール力の身につけ方など、子どもの非認知能力を伸ばし、ママ・パパを楽にする子育てのヒントが満載の本書。加えて著者ボークさんの愛情あふれる励ましのメッセージが、「明日も楽しく頑張ろう!」と思わせてくれます。
筆者は読み終わったあと「もっと子どもと深く関わりたい」と思いました。自分がどんな子育てをしたいのか、ちょっとわからなくなってしまったママ・パパにおすすめの1冊です。
『しなさいと言わない子育て』
著者:ボーク重子
発行:サンマーク出版
定価:単行本(ソフトカバー)1,540円(税込)/Kindle版(電子書籍)1,386円(税込)
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【わたし的評価】
満足度 ★★★★★
実践度 ★★★★☆
読みやすさ ★★★★★
わかりやすさ★★★★☆
ライター タキザワミユキ
何にでも興味津々なやんちゃな3兄妹を育てるママライター。留学・語学学校での勤務経験を活かし、さまざまなテーマで執筆しています。子供たちの笑顔が毎日の癒し!子供の成長はあっという間だなと実感する日々です。
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