私の名前はタカコ。
双子の赤ん坊を育てる、専業主婦だ。
大好きだった仕事を辞め、育児に専念する道を選んだが、夫のハジメの態度は、日に日にひどくなっていった。
「なんだよ、まだ飯できてないのか。専業主婦のくせに、一日何してたんだ」
「部屋も散らかってる。こんなのパパっとやればすぐに終わるだろ」
結婚当初は優しかったハジメ。
しかし、子供が生まれてからは、いつもこんな調子で不機嫌だった。
「うちは双子なんだぞ。金だって倍かかるんだ。お前も俺にばかり苦労させるんじゃなくて、ちょっとは働け」
「え…?」
「世の中には、仕事も子育ても両方やってる人なんて、山ほどいるんだぞ」
「私に働けって言うなら、あなたにも育児を手伝ってほしいの。じゃないと、とても両立なんて…」
「はあ!? よくそんな偉そうなことが言えるな! 俺に家のことをやってほしいなら、俺くらい稼いでから言え!」
私の訴えに、はじめは耳を貸そうともしない。そして、とんでもない言葉を突きつけてきた。
「いいか、今月中に仕事を見つけて働けよ。働かないなら、離婚するから」
「ちょ、ちょっと待って! そんなこと本気で言ってるの!?」
「もちろん。家のことしかやらないお荷物なんて、いらないからな」
私は、ハジメの言葉に追い詰められていった。
デザイナーとして働いていた経験を活かし、私は在宅ワークを始めた。
しかし、朝から晩まで家事と育児に追われ、わずかに確保した時間で仕事をこなす日々。
夜泣きで眠れない日が続き、私の神経はすり減っていった。
「家のことやってるだけで、何が限界なわけ? 甘ったれすぎるだろ」
そんなある日、私の様子を見かねた妹のマキコが、泣きそうな顔で言った。
「お姉ちゃん、このままじゃ倒れちゃうよ! こんなの子供たちのためにも良くないって! この家を出よう。私も協力するから」
マキコの言葉で、私はようやく正気に戻った。
そうだ、私、限界なんだ。もう、ハジメとは無理だ。
しばらくして気力を取り戻した私は、マキコの支えもあり、ある計画を実行することにした。
「働かないなら、マジで離婚だぞ」
「いいわよ」
「え…」
「はい、離婚届。それと、子供たちもよろしくね」
私はハジメに離婚届を突きつけ、双子を預けて家を出た。
育児なんて簡単だと言い張る彼に、一度、現実を思い知らせてやるために。
数時間後、私が家に帰ると、ハジメは完全に憔悴しきっていた。
「おいお前、どうするつもりだ! 抱っこしてもミルクあげても、全然泣き止まないんだよ!」
「知ってるわよ。全部、見てたから」
「はあ!?」
そう、私は子供たちが危険な目に遭わないよう、見守りカメラで家の中の様子を、ずっと確認していたのだ。
「散々尽くしてくれたお姉ちゃんに、感謝の一つもできないの!」
一緒に来ていたマキコがはじめを責めるが、彼はまだ反省しない。
「結局は、俺の稼ぎがないと生きていけないだろうが! 捨てられたくなきゃ、黙って俺の言うことを聞け!」
その言葉を聞いて、私は静かに告げた。
「残念ね。私、もうあなたの稼ぎがなくても生きていけるの」
「あ…?」
「デザインの仕事が少しずつ軌道に乗ってきてね。広告代理店で働くマキコからも、高単価の案件を流してもらえるようになったの。今は、安定した収入も確保できたわ」
「で、でも、子供には父親が必要だろ!」
「今までこの家で好き勝手してきたのは、あなたでしょ? 父親らしいことしたことが、一度でもあった?」
私の言葉に、ハジメは何も言い返せなかった。
「とにかく、あなたにはほとほと愛想が尽きたの。お望み通り、離婚しましょう」
「ま、待ってくれ! これからは俺も手伝うようにするから!」
「もう結構よ。あなたは今まで通り頑張って働いて、慰謝料と養育費を稼いでちょうだい」
「ふざけんな! 慰謝料も取るのかよ!」
「当たり前でしょ。今まで受けたモラハラの慰謝料と、子供たちが成人するまでの養育費、二人分。きっちり払ってもらうからね」
その後、私とハジメの離婚は成立。
ハジメは、モラハラが原因で離婚したことが会社でも噂になり、肩身の狭い思いをしているという。
家に帰っても誰もいない孤独な部屋で、慰謝料と養育費の支払いに追われる日々を送っているらしい。
私は今、家族に支えられ、家事や育児、そして仕事に邁進している。
子供たちの成長を見守ることが、私の生きがいだ。
これからは、周りの支えに感謝しながら、子供たちと楽しく生きていこうと思う。
イラスト:嫁子のスカッと漫画
※本文中の画像は投稿主様より掲載許諾をいただいています。 ※作者名含む記事内の情報は、記事作成時点でのものになります。 ※この物語はフィクションです。 (おやこのへや編集部)
おやこのへや編集部
心も体も大きく成長する幼児期から小学生の子どもたち。一人ひとりの個性が出てきて、子育てに悩むことも多いこの時期を、おやこで楽しく過ごせるよう、ヒントになる情報を発信していきます。
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