言葉の発達が目覚ましい幼児期。3歳ごろになると、3語文以上の会話もできる子が増えてきます。子育てがぐっと楽しくなったというママ・パパもいるのではないでしょうか?
でもお話上手は良いのだけど、いつも誰かに聞いてもらいたい!話したい!という気持ちが強くて、周囲の人の話に集中しない、人の話の途中で自分の話をし始めてしまう子も…。
会話はキャッチボール。コミュニケーションが上達する会話上達術を、保育士ライターの炭本まみがご紹介します。
園の送迎や帰宅後の食事の支度、お風呂に洗濯物畳みと、お仕事をしながらの子育ては嵐のような毎日です。
ついつい、「早くごはん食べて」「早く着替えて」「歯磨きしたの?」と、生活を追い立てるような声がけが中心になってしまいますね。
そんな生活の中では、子どものちょっとしたつぶやき、何か言いたげな表情、「ママ、あのね」と語り掛けてくる声にかまってあげることができず、つい「忙しいから、あとでね」と言ってしまいがちです。
少し時間があっても、子ども自身が話し続けたり、親が聞きたいことや話しておきたいことを会話しようとしても、子どもは話を聞いていなかったり、話をそらしたり、自分の話題へすり替えることもあるでしょう。
保護者が忙しく疲れている毎日の中で、どんな時にどのような話し方をしたら、「話を聞ける子ども」に育っていくのでしょうか。
それでは、子どもが話を聞くようになるには、どのような接し方・会話の仕方をしたら良いのでしょうか。
一番大切なことは、「子どもの話をしっかり聞く」「目を見て話を聞く」「手を止めて話を聞く」ことで、子どもが「自分の話を聞いてくれた」と心が満たされることです。
親がスマホから視線を外さずに頷いているだけでは、子どもの心はあまり満たされません。また、ちょっとした話であれば「お料理を作る手を止めて」「洗濯物を畳む手を止めて」子どもの話を聞くだけの時間を割いてあげることです。
これを繰り返していくことで、子どもは心が満たされ、少しずつこちらの話も聞いてくれるようになったり、楽しい会話のキャッチボールができるようになります。
注意したいことは、「子どもの話に興味を持つこと」「その話題にあった相槌を打ち、言葉を繰り返してあげたり聞いた感想を伝えること」です。
話を聞くのではなく、子どもの話を受け止めて興味を持ちながら聞いてあげることに注力してほしいと思います。
子どもは、ママやパパが話を心から自分の話を聞いてくれているのか、すぐにわかるものですよ。
話を聞ける子どもは、さまざまな知的・社会的な能力が高く成長していきます。また、今後の学校生活や社会に出てからも人とのコミュニケーションがうまくできることから、さまざまな学力・知的能力に繋がることになるでしょう。
子どもの「話を聞く力」を育てることで期待できることの例として、あげてみましょう。
少しずつこちらの話も聞き、自分の話もする「会話のキャッチボール」ができるようになってきても、「子どものしていることを言葉にすること」を続けましょう。
「こぼれたから拭いたんだね」「ゲーム楽しそうだね」「塗り絵してるんだね」など、褒める必要はありません。
これは「見ているよ」「できているね」という保護者から子どもへのメッセージになり、子どもはとても安心し喜びます。
また、そのような声かけは子どもの自信にもつながります。
「私はこうしていて、良いんだ」「この家に生まれてよかったな」「生きているといいことがあるな」と、子ども自身が思えるようになることで、周囲に対しても思いやりの気持ちを持てる心の余裕も育つことでしょう。
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子どもの話しかけや話したい気持ちをついついないがしろにしてしまう毎日の忙しさ。それはあなただけではありません。どの家庭でもあることなのです。
子どもに感じている悩みや困りごとは、周囲の大人の視点や関わりを変えることで変わっていくものです。
忙しければ、眠る前に15分だけ話す時間を作るなど、タスクにしても良いでしょう。 日々の積み重ねで、「話を聞ける子」「会話のキャッチボールを楽しめる子」を育みたいですね。
炭本まみ
保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。