小学校へ入学し、少しずつ学校生活に慣れてくるころ、少しずつ友だちとのかかわりもスタートします。同じ幼稚園や保育園出身や顔見知りの友だちと同じクラスになって、仲良くできるといいのですが、そうもいかないことがあるでしょう。
小学生になると、なんとなくこれまでのように先生に気軽に聞いてもよいものか、悩んでしまいますね。
けれど、小学校生活の様子はわかりにくいもの。子どもの話だけでは、対処方法も決めかねてしまいます。
子どもの友だち関係は小学校生活には欠かせないものであり、楽しく過ごしてほしいですよね。
保護者が子どもにどのような声をかけてあげるといいのか、友だちができる方法とは?そして、学校との関わりについて、2人の子の小学校生活を経験した保育士ライターの炭本まみが解決のヒントを伝えます。
幼稚園や保育園生活では、個人のお便り帳やクラスだよりのほか、毎日の送迎で気軽に先生に子どもの様子を聞いたり教えてもらったりしてきたことでしょう。
小学校は自分で登下校するので、学校へ出向いたり担任の先生に会ったりするのは、参観日や懇談、行事くらいしかありません。
近年は、時短やコロナ禍を理由に家庭訪問をしない学校も増えてきました。
学校生活をどのように過ごしているのか、初めて小学生を持つ保護者になったとき、子どもの様子がよくわからないことにきっと驚くことでしょう。
学校生活がなかなか見えにくい中、子どもが「誰とも遊べないの」「休み時間はいつも一人なんだ」と、さびしそうに話してきたらとても心配になりますね。
そんなとき、保護者はどう対応したらよいのでしょうか。
まずは子どもの話をゆっくりと聞きましょう。もしかしたら友だち関係の不安のほかに、悩みの原因があるのかもしれません。
色々な学校の話をしながら、悩んでいることや不安に思っていることがほかにもないか聞くことで、実は学校生活の流れに付いていけていなかった、ぼんやりしていて先生の話を聞き逃していた、わからないことを質問できずにいた…など、新たな子どもの悩みが見えてくることがあります。
また、同時に子どもの様子を学校にも聞いてみましょう。うまく話をすすめるコツは具体的にわが子がどのようなことに不安を抱いているのかを先にお話しすることです。
「学校で子どもはどのような様子でしょうか」と抽象的な聞き方をすると、「元気にしていますよ」という答えがほとんど。
子どもがどんなことに不安や悩みを抱えているのか話すことで、担任の先生も見えていなかったその子どもの姿を意識するようになったり、声かけや促しを多めにしてくれたり、サポートに入っている先生が関わりを多くしてくれるようになります。
どんなベテランの先生であっても新入生を大勢抱え、クラスの運営や日々の新たなスケジュールに精一杯です。
すぐに対応の変化を求めるのはむずかしいかもしれませんが、担任にわが子をちょっと意識してもらうために、おやこで不安や悩みがあるときはこまめに連絡をするのが良いでしょう。
子どもから友だち関係の不安を打ち明けられたら、保護者は子どもに対してどんな関わりをすると良いのでしょう。新しい環境についていこうと子どもは精一杯学校で頑張っている、ということを忘れずに話を聞いてあげたいですね。
「そうだったんだね。寂しい思いしていたんだ」「話してくれてママ(パパ)うれしいな。ありがとう」と、まずは不安に寄り添ったり話してくれてよかったということを伝えましょう。
新しい環境に慣れようと精一杯に頑張っている子ども。悩みや不安なことを話すことさえ忘れ、頑張ってしまう子どももいます。
話してくれなくても、保護者から学校のことを話すきっかけや時間を作ってあげましょう。
小学校の生活に圧倒されてしまい、子どもによっては、小学校生活についていくのが精一杯で、顔見知りや園の友だちがいることを忘れている場合があります。
クラスのメンバー表を一緒に見て、名前と顔が一致する友だちや、隣の席の友だちの名前を子どもに教えてもらうなど、友だちについて色々話してみましょう。
本来積極的で元気な子どもなのに、知らない友だちがいっぱいでどうしてよいかわからなくなっていることも考えられます。
はじめて隣どうしになった席の友だちや、前後の席の友だちは、意外とその後何年も仲の良さが続くことがあります。
どうしてよいかわからない、関わる友だちがいなくて居心地がよくないなど、そんな時は担任に話しかけてみるという方法もあります。
新一年生の担任は、しばらくの期間は休み時間でも教室に残って様子を見ながら次の授業の準備をしていることが多いでしょう。
そばによくくる子どもだと、先生も意識してくれるようになるものです。子どもにも先生のところへ行って話してみてごらんと伝えてみましょう。
わが子に友だちができないと、保護者は心配になりますが、はじめは誰しも知らない子ども同士で仲良くするのはむずかしいもの。学校生活が進むにつれて、クラスみんなで鬼ごっこやドッジボールなどをして遊ぶ日があったり、運動会や遠足など様々な行事もスタートします。
行事で今まで関わりのなかった友だちと話したり過ごしたりするうちに、自然と気の合う友だちができてくるもの。私たち保護者も経験してきたことを子どもに話してあげることで、今は寂しくても大丈夫!と自信をもたせることができるのではないでしょうか。
あまり心配しすぎることなく、ゆったりと構えていましょう。
それでもやっぱり心配はつきもの。新しい生活や学習、友だちとの関わりに対して不安や悩みがある場合は、先生に遠慮なく聞くことをおすすめします。
先生も実は子どもの深い心の中はわからないものです。保護者と話して初めて知り、関わり方を考えることも多くあります。
保護者が先生と話すことで、意識をわが子に向けてもらうことができ、学校では楽しく過ごしている、本が好きで友だちと図書館によく行っているなど、子どもからは知りえなかった情報を教えてもらうこともあります。
また先ほども触れたように、実は忘れ物が多いため授業に遅れを取っているなど悩みの原因が違うところにあることがわかったり、朝は眠そうで元気がなさそうだ、給食を食べるのが遅いなど、さまざまなことを保護者が知るきっかけにもなります。
こんなちょっとしたこと、些細なことでも、忙しい先生に迷惑では?などと思わず、遠慮なく聞くようにしましょう。文句や苦情をいうわけではなく、わが子の心配のための連絡です。先生も新一年生の保護者について、承知のことでしょう。
保護者の不安は子どもにも伝わるもの。どうか迷うことなく先生に相談してみてください。
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新しい環境に慣れるまでは、長い子どもだと半年から1年はかかります。学校で頑張っている子どもを、家庭ではしっかりと受け止め、安心しリラックスできる場所にしてあげたいですね。
炭本まみ
保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。