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のんたん先生教えて!子育ての気になる…どうすべき?

園生活ではどうしてる?「今やりたい!」「帰りたくない!」子どもの抑えられない欲求に困り果てた時の対処法

園生活ではどうしてる?「今やりたい!」「帰りたくない!」子どもの抑えられない欲求に困り果てた時の対処法
兵庫県西宮市の「森のようちえん さんぽみち」の園長・野澤俊索さんに、幼児期の子育てで気になるあれこれを綴っていただく連載。今回は子どもの欲求への対処法がテーマです。
目次

子どもの気持ちをできるだけ叶えてやりたいのが親心ではありますが、子育ての場面では「それは今はちょっと難しい…」という、物理的に叶えることが難しいものが多々あります。

そんなとき、自分の思いを通そうと泣いたり怒ったりするわが子の様子を見ると、親として「何でも思い通りになるわけではない」ことをしっかり教えなければ…と思ったりもしますよね。つい「ダメ!わがまま言わないの!」などと強く言ってしまい収集がつかなくなることも…。

子どもが自分の思いを通そうとしてくるとき、大人はどう伝えればよいのでしょうか。
「森のようちえん さんぽみち」の園長"のんたん"こと野澤俊索さんに、園での集団行動の中のケースを挙げながら教えていただきました。

子どもの"抑えられない欲求"は良いこと

私の園の朝の会でのこと。さあ今からみんなでお話を聞くよ、というときに、なかなか遊びを切り上げられない3歳の男の子がいました。

声をかけてしばらく待っても来ないので、子どもたちはみんなしびれを切らして口々に「いまはみんなのじかんだよ!」と言ったりしました。しかしその子も、これがしたい!と怒り始めるので、「じゃあ、朝の会が終わったら、続きをしようね」と先生がお話をして、その子もようやくみんなの輪に入ることができました。

また、おさんぽのときには、道ばたに何かを見つけてじっと動かなくなってしまった4歳の女の子も。

他のみんなはてくてく歩いてどんどん先に進んでいきます。座り込んだその子の見ている先には、小さなトカゲの赤ちゃんがいました。そのときは先生も一緒に、じっとそのトカゲを見ていました。

すると、そのうち先に行ったみんなが戻ってきて、「なになに?みせて!みえない!」と場所をあらそうようにのぞき込みはじめました。今度はその子の見ていたトカゲの赤ちゃんをみんなで一緒に見ることになりました。

子どもたちが好奇心や遊びたい欲求を抑えられないほど強く持つことは、とても良いことだと思います。でも、それが「今はできない」のだということは、日常生活の中でもたくさんあるのではないでしょうか。

子どもの気持ちを少しだけ叶える手も

大人が「今はできない」と言うときには、それ相応の理由があります。
朝で出かけるから忙しい、食事や寝る時間などの時間の都合や、部屋の中や人ごみなど場所が適さないこともありますね。

そんなときは、子どもには「ダメ」という言葉だけではなく、どうしてできないのかをしっかり説明するといいと思います。

そのときに大切なのは、子どものやりたい気持ちがダメなのではないということ。「今、これをしたいのね」とやりたい気持ちをまず受け止めてあげることで、次の話を聞きやすくなったりします。気持ちは受け止めつつも、色んな理由で行動そのものはいま認められないということを伝えてあげましょう。

子どもの気持ちを少しだけ叶えることで納得することもあります。どうしても抱っこしてほしい、というときには「10数える間だけ」抱っこすることで満足することがあります。

また、自分で決めることで納得することもあります。何らかの理由で抱っこはできないけど「手をつなぐか、お隣を歩くかどっちにする?」という選択を子どもに委ねることで、自分で決めたことに納得ができたりします。

大人と同じように、子どもたちが「今やりたいこと」にもそれぞれ理由があります。その理由を聞いてみると、お互い納得できるよい解決策が見つかるかもしれません。

子どもをコントロールしようとすると苦しくなる

あるとき、4歳の男の子がどうしても行きたい広場があると言って動かなくなりました。

みんなが行こうとした場所とは離れているので、ほとほと困り果てて、どうしてそこがいいのかをじっくり聞きました。なかなかうまく言葉にできなかったけど、時間をかけて聞いてみました。すると、その子は「笹舟を作りたくて、以前大きな笹が生えていたことを思い出したから、そこに行きたい」ということがわかりました。

その理由を聞いたら、子どもたちはみんな納得して、じゃあその広場に行こうということになりました。そして午後いっぱい、みんなで笹舟を作って遊んだのです。それは、みんなとても満たされた時間でした。

子どもは自然そのものです。自分の力でどんどん成長して変わっていきます。また、自然というのは人の思い通りにはいかないものです。だから「子どもをコントロールしよう」とすると、とても苦しくなります。それは本来コントロールなどできないものだからです。

子どもたちをひとりの人間として尊重し、子どもの気持ちに心の目線をあわせて、子どものリズムで時間をいっしょに過ごしてみましょう。子どももきっとうれしくなって、ときには大人の"わがまま"も聞いてくれるようになるのではないでしょうか。

※写真はイメージです

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執筆者

森のようちえんさんぽみち園長 野澤 俊索

NPO法人ネイチャーマジック理事長、兵庫県自然保育連盟 理事長、森のようちえん全国ネットワーク連盟 理事
神戸大学理学部地球惑星科学科 卒業。
兵庫県西宮市甲山にて、建物を持たず森を園舎とする日常通園型の自然保育「森のようちえんさんぽみち」を運営して10年。今では2歳から6歳までの園児25名と一緒に、雨の日も風の日も毎日森へ出かけていく日々。愛称は"のんたん"。森のようちえん全国連盟では指導者の育成を担当している。
プライベートでは2歳の娘の子育ても楽しみにしている。

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第2・4木曜日 更新

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