子どものうそに気づいたとき、パパやママはどうしていますか?「それ、うそじゃない?」「どうしてうそを言うの!」と思ったり叱ったりしますよね。
親が悲しい気持ちになったり、ドキッとしたりするうそを子どもが言ってきたのなら、そう思うのは当然のことでしょう。
ですが、子どもはなぜうそをつくのでしょう。
子どもには「2つのうそ」があるのをご存知でしょうか。
それぞれのうそについて、そのうそに対するパパやママの関わりや声かけについて、元保育士の炭本まみが解説します。
うそをつくという意識はだいたい3歳頃からはじまると言われています。 しかし、小さな子どもは、まだ現実と空想の世界を区別するのがむずかしいときがあります。例えば、願望をそのまま言ってしまうことってありますよね。
お友だちや園の先生、パパやママに、このような「願望」や「空想」と現実を混同した「うそ」を子どもが話してきたときは、どのように対応したら良いのでしょうか。
「どうしてそんなうそを言うの?」「え?違うでしょう」と言いたくなりますね。
けれどまずは、「そっかぁ。●●ちゃんは遊園地へ行きたいんだね。いつか行けたらいいね」「お引越ししてみたかったんだね」と、子どもの思いや願望を受け止め、問題視しないようにしましょう。
子どもの心に寄り添い、子どもが何を求めているのかを知るチャンスととらえ、会話をしていくと子どもの気持ちが見えてくるはずです。
2つめのうそは、成長が進み自分を守るための「うそ」です。叱られないように事実ではないことを大人に話したり、本当は友だちに意地悪をされているのにも関らず大人に言い出せずに、「今日は●●ちゃんと遊んだの、楽しかった!」と話すこともあるでしょう。
また、「●●さんに会ったらお母さんのこと話していたよ」など、なんでもないようなことを事実であったかのように話し、「人の気を引くためのうそ」をつくこともあります。
だからといってそれを「うそ」だと大人が気づいたときに、頭ごなしに叱ったり、「なぜうそを言ったの?」と責めてしまってはいけません。
こどもがなぜ「うそ」を言ったのか、なぜ事実ではないことを事実のようにした作り話をするのか、その原因を考えてみる必要があるのです。
子どもが「うそ」をつく背景にはどんな気持ちが隠れているのでしょうか。
ママやパパ、周囲の大人や園の先生方に、頭ごなしに強く叱られる、失敗の理由を聞いてもらえない、なかなか褒めてもらえない・認めてもらえないのにもっと頑張るように鼓舞されることが多い…そのような関わりが日常的にあると、自分を守るすべとして子どもが「うそ」をつくことがあります。
また、ママやパパが子どもの前で日常的にケンカをしたり、うそをついていたりしていることでも子どもの「うそ」につながることもあるでしょう。
さらには、夫婦ともに仕事が忙しく時間に追い立てられるような日常をすごしている、子どもへの声かけやゆったりとした関りが少ないなど、子どもに向き合う時間が持てていない場合も気を引きたいがために「うそ」をつくことがあります。
もしも子どもの「うそ」が日常的になっている場合は、保護者や周囲の大人はその子との関わり方を見直さなければなりません。
わが子は最近「うそ」が多いな…どうしたらいいのかな?と、この記事が目に留まったママ・パパなら大丈夫。今からでも遅くありません。忙しい中でも子どもとゆっくり今日一日のことを話したり、子どもと親だけの時間(絵本を読む、一緒にゲームをするでもOK)を作ってみましょう。
短時間でも大丈夫。子どもの気になる姿は、周囲の大人の関わり方や心の持ちようが変われば、すぐに変化していくものです。
わが子の「うそ」はときに、悲しい気持ちになりますよね。この子にうそをつかせるものは、なんなのだろう?そう考えること、関わりを見直すことで、うそをきっかけに子どもとの信頼関係も固く結ばれていくでしょう。
そうすることでうそは減っていき、気づけばうそをつかない子どもになっていくはずです。
炭本まみ
保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。