今年は新型コロナウイルスの流行で生活スタイルが一変し、たくさんの変化をもたらした一年となりました。おうちにいる時間が増えて、いっしょに絵本をたくさん楽しんだというおやこも多いのではないでしょうか。
ネット書店(本の通販ストア、電子書籍ストア)と、丸善、ジュンク堂書店、文教堂などのリアル書店を連携させた「読みたい本を、読みたい時に、読みたい形で」提供する総合書店サービス「honto」。そのhontoの2020年年間ランキング(集計期間:2020年1月1日~11月23日)から、この一年でもっとも売れた人気絵本10冊をご紹介します。
年間ランキング堂々の1位に輝いたのは、大人気絵本作家ヨシタケシンスケさんによる、こちらの絵本!
心の中にあるもう一つの世界、「もしもの世界」。大切な人や、選ばなかった過去が、「もしもの世界」に行ってしまって戻ってこなかったら……?突然、大事なものを失ったとき、思いがけない別れが訪れたとき。心にぽっかりと空いた穴は、どうやって埋めたらいいんだろう?その問いに読者の数だけ答えてくれる、温かくて優しい物語です。
『もしものせかい』
ヨシタケシンスケ(著)
赤ちゃんとママ社
990円(税込)
年末の話題作が2位にランクイン!
TV『中居正広のニュースな会』から生まれた、友だちの大切さを説く話題の絵本。タレント中居正広、ベストセラー作家でもある劇団ひとり、社会学者の古市憲寿という才能あふれる3人のクリエーターたちが、「30年後の子どもたちにも読んでもらえるような一冊を作りたい」という思いを胸に、ちいさなすれ違いから相手に腹を立てながらも、友達のありがたさを思い出していくやさしく愛おしい物語を紡ぎました。
『♪ピンポンパンポンプー』
中居正広(監修)、劇団ひとり(キャラクターデザイン)、古市憲寿(文)
マガジンハウス
1,650円(税込)
いつからかお互いに気に入り、カップルになった雄ペンギンのロイとシロは、ほかのカップルたちをまねて、卵の形をした石を拾ってきて交替で温め始めました。その様子を見ていた飼育員が本物の卵に入れ替え、子どものタンゴが生まれます。ニューヨークにあるセントラル・パーク動物園での実話をもとにした心温まる物語。アメリカでは同性愛を扱った初めての絵本として話題に。
『タンタンタンゴはパパふたり』
ジャスティン・リチャードソン(文)、ピーター・パーネル(文)、ヘンリー・コール(絵)、尾辻かな子(訳)、前田和男(訳)
ポット出版
1,650円(税込)
順番待ちの5分は長いけど、絶叫マシンの5分は一瞬。感じる時間の長さは、時計の時間と全然違う!共感できる具体例とユーモラスな絵で、立場や場面によってそれぞれ感じる時間が異なることに焦点を当てたユニークな絵本。
『ながーい5ふん みじかい5ふん』
リズ・ガートン・スキャンロン (文)、オードリー・ヴァーニック (文)、オリヴィエ・タレック (絵)、木坂 涼 (訳)
光村教育図書
1,540円(税込)
テーブルの上のりんご。でも、もしかしたら、これはりんごじゃないのかもしれない。大きなサクランボの一部かも。何かのタマゴかも…?りんごひとつで無限に発想を広げるヨシタケシンスケさんの代表作。こんな風に物事を柔軟に見ることができれば、単調な毎日も不思議に満ちた楽しい世界に見えてくるかも!?
『りんごかもしれない』
ヨシタケシンスケ(作)
ブロンズ新社
1,540円(税込)
朝起きたら、すごいねぐせ!寝ている間に、何が起きてる?もしかしたら、「あのひとたち」におなかを丸出しにされたり、いろんな髪型を試されたりしているのかも…?またまたヨシタケワールド全開の空想が広がる楽しい絵本。
『ねぐせのしくみ』
ヨシタケシンスケ(著)
ブロンズ新社
1,078円(税込)
1982年に発刊された五味太郎さんの人気絵本が7位にランクイン! 「きんぎょがにげた」「どこににげた?」金魚鉢から逃げ出したきんぎょは、カーテンの赤い水玉模様の中に隠れたり、鉢植えの花のふりをして隠れたり。ページをめくるたびに、逃げたきんぎょがどこかに隠れている、子どもたちが大好きな絵探しの絵本。隠れ方がユーモラスで最後はハッピーエンド!
『きんぎょが にげた(福音館の幼児絵本)』
五味太郎(作)
福音館書店
990円(税込)
ここにもヨシタケシンスケさんの作品がランクイン!
ある町のはずれにある、一軒の書店。その書店は、知る人ぞ知る“なんでもある”書店。 お客様の「ありますか?」の質問に、必ず「ありますよ」と、本を差し出してくれる店主。
『「作家の木」の育て方』『世界のしかけ絵本』『お墓の中の本棚』『水中図書館』…本好きにはたまらない、奇書珍本が盛りだくさん!
『あるかしら書店』
ヨシタケシンスケ(著)
ポプラ社
1,320円(税込)
ホットケーキといえばこの絵本、と親世代も想起するほどロングセラーの一冊。
卵を割って、牛乳を入れて…しろくまちゃんがホットケーキを作ります。見開きいっぱいに描かれたホットケーキが焼き上がっていく場面は、子どもたちに大人気。ふくふくと焼きあがったら、山積みにしたホットケーキをこぐまちゃんとふたりで「おいしいね」。
『しろくまちゃんのほっとけーき』
わかやま けん (え)、森 比左志 (著)、わだ よしおみ (著)
こぐま社
880円(税込)
これもまた世代を超えて読み継がれているベストセラー。
森で大きな卵を見つけた野ねずみのぐりとぐらは、目玉焼きにしようか卵焼きにしようか考えたすえ、カステラを作ることにしました。でも卵があまりに大きくて運べないので、フライパンを持ってきて、その場で作り始めます。おいしそうなにおいにつられて、森じゅうの動物たちも集まってきました…。
『ぐりとぐら(ぐりとぐらの絵本)』
中川 李枝子 (さく)、大村 百合子 (え)
福音館書店
990円(税込)
なんと10位までにヨシタケシンスケさんの作品が4作品もランクイン!地味だけどじわじわと心に響いてくるヨシタケワールド。日常的なあるあるから想像を広げてものの見方を変えてくれる「発想絵本」をはじめ、空虚さや不安など心の中のダークな側面も正直にユーモラスに描いてくれる作品群は、子どもを持つママパパから絶大な支持を集めています。
また『ピンポンパンプー』は11月に発売されたばかりなのに年間ランキング2位になるほど圧倒的な売上に!一時は手に入らなくなったり、いまでも店頭購入での冊数制限があるなど絵本界の『鬼滅の刃』なみに(?)ブームを巻き起こしました。
ほかにジェンダーや時間などのテーマを社会的科学的に考えさせられる絵本が登場。2020年という時代を表したランキングになったといえそうです。
プレゼントにしたい絵本から、自分がそばに置いておきたい絵本まで。ぜひこの年末年始の絵本選びの参考にしてみてくださいね。
ランキング提供元:ハイブリッド型総合書店honto
ライター 山口 舞
大学卒業後、テレビ局に勤務。幼児番組などを担当する。退職後、書籍・雑誌の編集に携わり、実用書や英語テキスト等を担当する。現在は、4歳男子の子育てをしながら、児童書の編集、児童文学創作、ソビエト児童文学の翻訳など活動中。
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