出産後からママが子どもと向き合って一生懸命に育ててきたはずなのに、いつの間にかママじゃなくてパパがいちばん好きになっていたという子はいませんか?
おおよそ1歳頃、または、2人目の出産後からパパっ子になる子どももおり、ママは少しだけ楽な気持ちになったり、なんとなく寂しい気持ちになったりと、複雑な心境でしょう。
なぜ子どもはパパっ子になるのでしょうか。そこには家庭が円満であり夫婦仲が良いという、子どもに対して一番大切なシチュエーションがあるからなのです。
パパっ子の子どもはママが嫌いなのでしょうか。パパっ子をメリットとしてとらえるには? 現在、パパっ子の子どものいる家庭と、パパっ子になったらいいなと考える家庭にも知っていただきたいメリットを保育士ライターの炭本まみが紹介します。
パパっ子とはどんな状況なのでしょうか。パパっ子な子どもの具体的な行動や言動を見てみましょう。
出産後からパパっ子になるまでは、ママがお世話をしてきたからこそいつもママと一緒で、ママが大好きだったのに、ママはちょっと寂しくなるかもしれませんね。
「ママ、あっちいって」なんて言われたら、子どもの言うこととはいえショックかもしれません。パパっ子になった子どもは、ママのことが嫌いになったのでしょうか?
パパっ子になった子どもは、お世話や遊びをパパにしてもらうことを好みます。これまで当然のように「ママ、ママ」とお世話やしてほしいことをしてもらっていたのに、急にママのことが嫌いになったのでしょうか。
「ママ、きらい」なんて言われたら、ただでさえ大変で試行錯誤している子育て中、ママも悲しく寂しい気持ちになりますね。
もちろん本当にママを嫌いになったのではありません。
子どもにとってママは絶対的な存在です。小さな頃はどんなことを言ってもミスをしても必ずお世話をしてくれるし、そばにいてくれる愛情を感じています。それゆえの甘えた気持ちが「あっちいって」「きらい」という言葉が出るのです。
一方のパパは子どもにとってどんな存在かというと、生まれたあとに少しずつ「この家にいつもいる誰か」という存在から、ママの言動や態度、そしてパパの言動や態度を見て「自分のパパなのだ」とゆっくり認識していくことが多いでしょう。
ママよりもずっと後に、自分の家にいる人→ママのパートナー→面倒を見てくれる人→パパ、と認識していくものです。
ママのことが嫌いになったのではなく、愛情を持って自分に接してくれる揺るがない存在として信頼し甘えている証。決してママの愛情不足や関わりが足りないわけではないので心配しないでくださいね。
これまでママにべったりとくっついて離れたがらなかった子どもが、ある日からパパっ子になるのは、なぜなのでしょう。
その理由は、ママとパパの関係の良さ・相手を思いやる気持ちを子どもが感じることから始まります。子どもはどんなに小さくても、ママ・パパの様子を肌で感じ、家庭の雰囲気を察しています。夫婦二人の雰囲気や気遣い、優しい気持ちを持ち合っていることは、必ず子どもに伝わり、良い影響を与えます。例えば、ママ・パパの以下のような行動が挙げられます。
もしも子どもがいない家庭であっても、他人であった2人が同じ家で暮らすと、ぶつかり合うことや納得のいかないこともあるでしょう。
子どもが生まれると、疲れや家事が増え負担が増えるにもかかわらず、ゆとりのある時間は減っていきます。
そんな中、パートナーがはっきりとわかるように言葉で感謝の気持ちを伝えたり、ママやパパに聞こえるように子どもに話したり、パートナーがいないときでも子どもと話すことで、子どもは「このおうちに生まれてよかった」「ママが好きだけど、パパのことも大好きだな」と両親に信頼する気持ちを寄せるようになります。
子どもとは、ママとパパには仲良しであってほしいもの。その両親の姿は子どもが大人になったとき、自分のわが家のような家庭を築きたいという思いにもつながります。
夫婦の仲が良く、ママ・パパ・子どものお互いがやさしさと愛情を持って暮らしていると感じることで、安心してパパっ子になり、ママが嫌い!と言うのかもしれませんね。
ちなみに「ママ、嫌い!」という言葉は、本当に嫌いという意味ではなく「パパとも一緒にいたいよ」という意味なのです。表現する言葉がまだ未熟なためであり、本当にママが嫌いなわけではありません。
嫌いと言われたことで、落ち込んだり、ママが子どもを嫌いになったり、パパを恨んだりしないでくださいね。
言われたときはとてもショックかもしれません。けれど、本来子どもはパパよりもママがそばにいることが当然で空気のような存在です。手を伸ばすとママがいる、そんな安心感と愛情を感じています。愛情不足からくる「嫌い!」でも「パパっ子」でもありません。
では、愛情不足とはどのような状況をいうのでしょう。また、愛情不足の子どもにはどんな姿が見られるのでしょうか。
パパっ子になったのは、ママの愛情不足が原因?ちょっと厳しい声をかけすぎた?家事や2人目の子育てに忙しくてあまり関わってあげられなかったから?などと考えてしまうかもしれません。
ですが、本当に愛情不足だと感じている子どもは、ある特徴が現れることがあります。 その一例を紹介します。
愛情不足、欲求不満、ストレスや不満を感じると、爪を噛むという行動で気持ちを表す子どもがいます。爪を噛む、嚙みちぎるほか、足の爪まで噛む子どももいます。
ストレスや欲求不満から、無意識に自分の髪の毛を抜いたり、食べる子どももいます。「抜髪症」と呼ばれる行為で、爪を噛む行為と同じく、このような行動は自傷行為になります。
子どもなりに我慢をしているものの、耐え難い寂しさやストレスを抱えています。髪を抜くことで「自分は今、とても苦しいんだ」と無言のストレスサインを出しているのです。
保育園や幼稚園へ通っているのなら先生方に執拗に甘えたり離れたがらない、親戚や自宅に遊びに来た友だちのママにまとわりつくなど、目に余る他人への強いスキンシップをする場合も、愛情不足や寂しさ、ストレスの表れです。
自宅の壁や床にいたずら書きをする、わざとコップを倒して水をこぼすなど、子どもらしいけれど少し行き過ぎたいたずらをするのも、大人の目を引きたいという気持ちの現れです。
叱られることで大人に関わってもらえるので、叱られとわかっていてもしてしまうのです。
もしも妹や弟など第二子がいるときは、下の子に対して叩く・物を取る・押して転ばせるなどの行動をすることがあります。下の兄弟姉妹に対する嫉妬心だけではなく、意地悪をしたらどのような反応をするのか知りたい気持ちや、心の成長や兄・姉になるための葛藤もあります。
愛情不足だけが原因とは限りませんが、兄弟姉妹に意地悪をすることで親の関心を向けたい場合もあります。
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子どもがママと一緒にいることが多いと、ママがいちばん好き・ママだけが好きになるのは当然のことです。けれど、嬉しいもののママも疲れてしまい、ストレスが大きくなります。
ちょっと一人でお買い物へ行き一人の時間を持ちたいとき、家にいながらも追い立てられたり中断することなく家事に専念したいときなどは、パパっ子だとかなり気持ちが楽になるはずです。
ママだけではなく、子どもがパパ大好きになってくれることは理想的な家族の形とも言えますね。そのためには初めの項でも触れたように、夫婦が以下のように楽しそうに過ごしているだけで十分。
このように話すことで、ママと一緒にいることが普通であり大好きだった子どもが、パパに対しても信頼感を覚え、パパへなついたり、パパじゃなきゃイヤ!とパパっ子になっていくかもしれません。
パパっ子とまではいかなくても、パパもママも大好き!という気持ちになるでしょう。
パパも子どもに好かれたり、パパじゃなきゃイヤ!と言われたりすることに、喜びを感じないパパはいないはず。また、子どもがパパに信頼を寄せ、大好きな気持ちになれば、育児の負担がママばかりに偏らず夫婦でともに育児を楽しめるようになるでしょう。
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子どもがパパっ子になる、ママっ子になるのは成長する上で一過性のものでもあります。
けれどその時「ママのことが嫌いになったのかも」と心配せず、子どもの気持ちに寄り添い、満たしてあげたいですね。
ぜひママとパパでそんな子育てを話し合ってみてください。
炭本まみ
保育士として10年勤務し、今は高校生と中学生を育てるママ。未だに子育てに行き詰ることはありますが子育てのアドバイス記事を書きながら自分も振り返っています。趣味はキャンプと旅行とカメラ。アウトドア記事や旅行記事、保育士や保護者向けのコラムを執筆中。
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