年中の娘は、いつも「まだ眠くないもん」と言ってなかなかベッドに行こうとしません。夜10時過ぎてしまうこともあり、さすがに夜ふかししすぎだと思いますし、「子どもがこんな時間に起きてちゃダメ」とイライラして怒ってしまうことも…。
小学生になったときのことを考えると心配です。
毎晩夜遅くまで起きていたり、寝かせようと思ってもなかなか寝てくれなかったりすると困りますよね。そんなお子さんへの対処法や、少しでも早く寝てもらう方法をお伝えしたいと思います。
「早寝早起き」の習慣の大切さは、私が子どもだった50年以上前からよく言われていました。「寝るのは8時を目標に」などと書かれたプリントは今も幼稚園や学校から配られます。
でも、今も昔も、そんな早い時間に寝る子どもは珍しく、たいていの子どもは夜9時か10時くらいに寝ているように思います。
早く寝かせなきゃ、早く起こさなきゃ…そんな早寝早起き神話にとらわれすぎると、子どもが遅くまで起きている親は罪悪感を感じたり、さまざまなストレスを抱えることがあります。
でも、子どもの睡眠には個性があり、何も言わないのに早く寝てしまう子どももいれば、夜遅くなってやっと眠くなる子どももいます。
多くの睡眠を欲する子どももいれば、少しくらい少なくても平気な子どももいます。
つまり、親がどうしようもない部分も多いということです。日中、特にぼうっとしていたりもせず、毎日元気に活動しているのなら、寝る時間が多少遅くても気にし過ぎることはないと思います。
その睡眠時間について、少しお話しましょう。
子どもは「何時に寝たか」も大切ですが、「何時間寝たか」も大切だからです。
子どもの1日の睡眠時間の理想は、
と言われています。
1時間程度の誤差はOKで、昼寝も含めた睡眠の総量と考えてください。
子どもが5歳なら、朝起きるのが7時なら夜9時に寝ればOKというわけです。8時に起こすのなら、寝るのはもう少し遅くなっても大丈夫というわけです。
先ほど言ったように、体質として睡眠が少しくらい短くても大丈夫な子どももいるので、それらの時間はあくまで目安です。
また睡眠時間は1日単位ではなく2日単位で考えましょう。
多く寝すぎた日の翌日は、多少少なくてもOK(その逆もしかり)と、柔軟に考えることも大切です。
確かに早寝早起きには様々なメリットがあり、子どもの脳の発達にもよいと言われていますが、デメリットもあります。
一番大きなデメリットは、親とふれあう時間が短くなってしまうことかもしれません。
保育園に通う子どもは、自宅に帰るのは夕方の6時以後になることが多く、7時を過ぎる場合もあります。 もしも8時に寝かせようと思えば、お母さんは子どもにご飯を食べさせるのとお風呂に入れるだけで精一杯。一緒に遊ぶ時間や楽しくふれあう時間なんてほとんどないはず。
帰宅が遅いパパなら、ふれあう時間そのものがなくなり、パパとは週末しか会えないという子どもも出てきてしまいます。
「子ども時代、毎日早く寝て健康的な生活だったけれど、パパやママとは十分ふれあえなかった」と言う人と、「寝るのは遅かったけれど、パパやママとふれあった思い出がたくさんある」と言う人とではどちらがいいか、究極の選択を求められたなら、私は後者を支持します。
子ども時代に大切なのは親とのふれあいだからです。私自身も後者でしたが、それでよかったと今でも思っています。
しかし、「寝る時間にこだわらなくてもいい」とは言っても限度があります。もしも毎晩11時や12時になるのなら、明らかに遅いですよね。 そんなに遅くなるお子さんがいらっしゃるご家庭は、まずは10時に寝るのを目標にすればいいと思います。
方法がいくつかあります。
この二つは、子どもにとっては、何ごとにも代えがたい喜びです。
それが楽しみとなり、誘えばすんなり布団の中に入る子もいます。実行するのは確かに大変ですが、「早く寝る」という習慣をつけるまでの辛抱です。早ければひと月で、早寝の習慣が出来上がります。
絵本を読んだあとは、電気を消し、体を優しくトントンしてあげましょう。
寝るまでのこの一連のルーティンは、「うれしかったこと」「幼い頃のよき思い出」として子どもの心に一生残っていきます。
寝かせるときに決まった音楽をかけるのも効果があります。子どもはその曲が流れると、条件反射的に眠くなってきます。ただし選曲には気を付け、ボリュームは小さめで。
かける音楽は、ヒーロー番組の歌などポップス系の曲はたとえ子どもが好きでもかえって子どもを興奮させるので避けましょう。できれば童謡やクラシック的な子守唄がいいのですが、一番はやはりお母さんの子守唄です。お決まりの子守唄歌でもいいし、「♪〇〇ちゃんはいい子ね~」と適当にその場で作った歌でもOK。お母さんのやさしさも伝わり、子どもは安心して眠りに入ります。
子どもを寝かせたら一緒に寝てしまう、という大人は、あきらめて寝てしまいましょう。私がそうでしたが、そのときはその分早く起きて、朝、活動するようにしました。
夕方までの活動量が多ければ疲れも多く、その分、夜眠くなるのが早くなります。活動が難しい場合は、15分ほどの散歩でもOK。道中で小高い所からジャンプしたり、安全なところで10メートルほど走らせたりするだけでも活動量はアップします。
お昼寝がある保育園に通っている場合は、どうしても夜眠くならないことがあります。でも、園での昼寝は30分から2時間以上まで、子どもによって全然違うので、その日に何分寝たかは毎日の連絡帳などで確認し、一日の総量の参考にしましょう。
以上、子どもは多少寝るのが遅くなっても気にし過ぎることはない、ということをお伝えしましたが、できるならやはり早く寝かせたいですよね。
「親のせいではない」証明をするためにも、まずは子どもを含む家族が遅くまで騒いだりゲームをしたりしていないか、など基本的なことをチェックし、この機会に一度夕食後の家族の過ごし方を見直してみるのもいいかもしれませんね。
こどもコンサルタント 原坂 一郎
1956年、神戸市生まれ。関西大学社会学部卒業。神戸市内で23年間6か所の保育所勤務を経て、2004年「こどもコンサルタント」に。笑いと笑顔をキーワードに、子どもおよび子育てに関するさまざまな研究・執筆・講演を全国で展開。『読むだけで子育てがうんと楽しくなる本』(春陽堂)、『男の子のしつけに悩んだら読む本』(すばる舎)ほか著書多数。
Facebook:@IchiroHarasaka
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