最近話題の「非認知能力」。幼児の親への調査では、注目度は高いのですが、まだその言葉の意味を正しく知らない親も多いのだとか。
そこで私が手に取ったのはこちら。
岡山大学准教授を務め、教育方法学を専門とする中山芳一さんの著書『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』(東京書籍)。
読んでみて、難しそうだった非認知能力のイメージが変わり、その非認知能力を伸ばすコツを生活に取り入れると、私自身も子どももなんだか楽しそう!面白そう!と思った、非認知能力を軸にしたまさに「実践」するための一冊でした。
さっそくみなさんに紹介しますね。
さて、ちょっと真面目な話をすると、私には妻として、母として、社会人として、また一人の人間として生きている中で「上手くいかないな」「なんで自分はいつもこうなんだ」とネガティブになることが多くあるんです。
そんな折に「非認知能力」という言葉に触れて、もしかしたら自分には自分で認識できていないけれど、足りない能力があるのではないかと思うようになりました。
自分だけでなく、子どももきっと同じ。先が見えない毎日をより楽しく、豊かに、自分らしく生きるためには、どうも非認知能力が必要不可欠らしい…。
そこで、非認知能力そのものへの理解を深めて、非認知能力に対するハードルを下げられればと思い、この本を手に取りました。
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今私たちが生きているテクノロジーと生活が密接に関連する時代、そしてAIやロボットとの共存が当たり前になるごく近い未来を生き抜くのに大切だとして注目を集めている「非認知能力」。
本書では、そんな非認知能力を、わかりやすく解説してくれています。読み・書き・そろばん・IQ(知能指数)など、〇〇テストや〇〇検定などで「数値化」して測ることができるのが認知能力。そして、数値で測ることができない能力が非認知能力と区別しています。後者は具体的には「意欲・楽観性」「忍耐力・自制心」「思いやり」「コミュニケーション」など。
でも、自分や子どもの行動を見て「これが意欲だ!」とか「今まさに忍耐力を発揮している!」と認識することってなかなかないですよね……。わからないというよりも、見えにくい。
この、見えにくい非認知能力を、より「わかる!」に変えてくれたのが、本書を通してベースとなる考え方である非認知能力の3つの枠組みです。
「数値化できない能力」と定義され、その能力の具体例も挙げ始めるとキリがない、まさしく中山さんの言う非認知能力多すぎ問題!しかし非認知能力を伸ばそうにも、どの能力が足りない・伸ばしたいのかがわからないと伸ばしようがありません。
そこで本書では、非認知能力をそれぞれの能力の性質や必要とされる場面で整理し、3つの枠組みの能力群として提示してくれています。
自分や子どもの伸ばしたい力が、この3つのうちのどれに当たるのかな?と考えると、非認知能力を捉えやすくなりそうです。
これらの能力群は、お互いに高め合ったり引っ張り合ったりする相互の関係があるのだと言います。加えて、とにかく能力が高ければいいという訳ではなく、それぞれの能力にはプラスの面とマイナスの面があるんだとか。
たとえば、1の「自分と向き合う力」は「いつも安定していて落ち着きがある」「規則正しく、注意深さがある」などのプラスの面がありますが、ほかの能力とのバランスがとれないと「臨機応変な対応が苦手」「精神的な負荷を抱えすぎてしまう」などのマイナスの面が出てきてしまうことがあります。
私の場合「自分と向き合う力」のマイナスの面として現れる具体例が、見事に当てはまっているのです!「自分と向き合う力」が高いのに対し、「自分を高める力」「他者とつながる力」が相対的に低い状態で「自分と向き合う力」のマイナスの面が出てしまっているということなのかな?と思いました。となると、私が伸ばすべきは「自分を高める力」と「他者とつながる力」だ!とわかったのです。
自分のことに関しては、なにぶん苦手意識や自覚があるのでわかりやすいかもしれません。一方子どもの非認知能力はどのように見ていけばよいのでしょうか。
価値観や感情など自分の内面に関わる力である非認知能力は、自分の意識によって変わりやすい力だと著者は言います。
第2章では、この非認知能力を伸ばすための「意識づけ」を周りがサポートするためにできることを解説しています。
まず、意識づけをするために日常生活の中で非認知能力を「見取る」視点を持つこと。そして、見取ったことを本人にフィードバックしていくことが大切だと言います。
大人でも、周りの人に言われて気づくことや、褒められてさらに頑張ろうと思うことってよくありますよね。このフィードバックによって、相手が自ら自分の行動を変容させていくのだそうです。
また、このフィードバックの仕方もポイントで、適したタイミングや伝え方の例も紹介されています。ただほめればいいというわけではなく、具体的にどの行動がどうしてよかったかがわかるように伝えるのが大切とのこと。
子どもの立場になって考えると、なんでもない毎日の行動にフィードバックをもらえるだけで意欲が増しますし、フィードバックをくれる相手との信頼関係がより強固になるだろうと想像できます。
家事育児に追われて、どうしてもバタバタしがちな毎日ですが、子どもと丁寧に向き合える時間と心の余裕をなんとか持ちたいなと思いました。
第3章は、見取り・フィードバックを基本として、さらに能動的にアプローチする方法を紹介しています。「こうなってほしい」という望ましい姿を引き出すために、ただ行動を待つのではなく意欲を引き出す「仕掛け」を用意するんだそうです。
例えば、他者とのやりとりを促すために、あえて人数より少ない数のスコップを用意する。複数人でないと取り組めない課題を与えるなど。実際の保育園や学校現場での事例は「なるほど〜」とうなづける、新鮮な気づきがあるものばかりでした。
子どもの改善したい行動から引き出したい行動を考え「どうやったらその行動にたどり着けるか」と考えるのはまるでゲームのようで、上手く取り入れられると日々の子育てがちょっと楽しくなるかもと感じました。
特に幼少期に非認知能力を伸ばすことが重要だとわかっていても「そんなに焦って伸ばそうとしなくてもいいかな」と思っていました。それ以前に「難しそうだから」「よくわからないから」と諦めてしまっていた部分もあるかもしれません。しかし本書を読んでみて、なんだかおもしろそう!とさえ思えました。
自分も子どもも、自分と向き合い、自分を高めて、他者とつながれば、今よりずっと楽しいに違いありません。
本書で紹介されている手立てすべてを実践できなくても、非認知能力に気づく視点を持つだけ・意識するだけでも、自分や相手の見え方は変わってきます。
無理なくできることから少しずつ、日々の子育てや自分育てに取り入れてみたいと思います。
『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』
著者:中山 芳一
発行:東京書籍
定価:1,870円(税込)/Kindle版(電子書籍)1,705円(税込)
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【わたし的評価】
満足度 ★★★★☆
実践度 ★★★★☆
読みやすさ ★★★☆☆
わかりやすさ★★★☆☆
ライター 西方 香澄
徳島で生まれ育ち、大学進学を機に神戸へ。養護教諭・児童発達支援など教育に従事したのち独学でライティングをはじめる。夫・1歳になった娘とクリエイティブな毎日をつくるため、現在デザインも勉強中。
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