小学校入学をきっかけに始まる勉強、そして自宅で行う宿題や学習に不安な気持ちをもっているママ・パパもいるのではないでしょうか。
低学年の多くの子がしているという「リビング学習」。
リビング学習だけではありませんが、子どもが遊んだりだらだらしたりしている姿が目に入ると、親は気になってつい「宿題やったの?」「宿題やってからにしなさい」などと、言ってしまいがちですよね。
この親からの”宿題やりなさい”のプレッシャーこそが、子どものやる気を削いで、勉強を嫌いにしてしまうのです。
宿題(勉強)をやるタイミングは子どもに任せましょう。
「宿題やった?」など言いたくなったとき、一旦止まって考えてみてください。
なぜ宿題を早くやったほうがいいのでしょうか?
ひとつは後回しにして夜やることになると辛いので、「早く終わらせたほうが楽だよ」という親の気持ち。 もうひとつは、親が「安心」をほしいからではないでしょうか。「もう今日はうちの子は宿題を済ませているから大丈夫」とスッキリさせたいという安心です。
また、「子どもに"自制心"を育んでほしい」という気持ちもあるかもしれません。
目の前の楽しいことばかり優先するのではなく、それをガマンしてやるべきことを先に片付けられる子になってほしいと。
たしかに自制心は大切です。
でも、そのための「宿題やりなさい」の声かけが、子どものやる気を削いでしまうのであれば…「やる気」と「自制心」を天秤にかけてみると、どっちが大事でしょうか…?
勉強が嫌いになってやる気がなくなってしまえば、元も子もありません。
もし子どもが宿題をやっていなくて、声をかける場合は、「宿題やった?」ではなく、「宿題どう?」と声をかけてみましょう。
ちなみに宿題やった?はYESとNOの二択で答えるクローズド・クエスチョン、「宿題どう?」は何でも自由に答えられるオープン・クエスチョンです。
「宿題どう?」と聞いて「テレビを見た後でやる」「寝る前にやる」と子どもが自分なりに答えたら、それを尊重しましょう。自分で決めて答えたことは、子どもも守れることが多いのです。夜やってすっきりして寝る子だっています。それぞれのペースがあります。
リビング学習でも、そうでなくても、勉強は「いつかやればOK」という気持ちで、子どもが主体性をもって取り組めるよう見守っていてください。
子どもは遊んでいても、やらなければならない宿題のことは意外とちゃんと頭の片隅にあります。親に急かされなくても、待っていればやる子が大半です。
やろうと思っているのに、「やった?」と聞かれてせっかくのやる気が失われてしまってはもったいないと思いませんか?
また、子どもには"自分で責任を取る"という経験も大切です。
宿題をやっていかなかったら学校で先生に怒られた、恥ずかしい思いをした
「寝る前にやる」と言ったけれど、眠くてやるのが大変だった
いくら「早くやらないと大変だよ」といわれても、自分が本当に大変だった経験がなければ子どもはわかりません。
親にとっては勇気のいることですが、子どもは身をもって経験することで、次に生かしていくことができます。
勉強をいつやるのか、「子どもに主体性を持たせることが大切」ということをお伝えしましたが、「いつやるか」に加えて、その日やるべき宿題の中からどの順番でやるか、なども子どもに決めさせることが大切です。
1年生では、まだ「何をやるか」までは自分で決められないことが多いですが、やるべきことがいくつかある中で、何からやりたいか、どんな順番でやるかは本人に決めさせましょう。
親が「じゃあこれからね」と決めてしまうと、子どもは途端にやる気を失ってしまうことも。
逆に、自分が決めた順番であれば、ちゃんと取り組めることが多いものです。
リビングは家族の共有の場ですから、そこで勉強をする際には、環境を整えることが大切です。
その目的は、子どもに集中させるためです。
基本的なことではありますが、子どもが勉強しているときはテレビを消す、おもちゃは見えないところに置く、などの対応は行いましょう。
おもちゃについては、その都度片付けるということではなく、ふだんの保管場所が勉強スペースから見えないとことにあるといいですね。
必要なものが準備されている状態で勉強をスタートできると、しっかり集中できます。
些細なことに思うかもしれませんが、飲み物も最初に用意しておいたほうがよいでしょう。途中のどが乾いて飲み物をキッチンに取りに行く…という行動で、せっかくの集中が途切れてしまい、もったいないこととなってしまいます。
環境を整える…というと、子どもの勉強のためにリビングに快適な勉強スペースを作ってあげないと!と思うかもしれませんが、あくまで目的は集中できることで、子どもを楽にするためではありません。
私の経験ですが、環境が整えられすぎると子どもは勉強しなくなることが多いんです。勉強に対して条件ができて、その条件が整わないとできなくなってしまうんですね。
整えるのに時間がかかってしまって、勉強が始められない…という罠(わな)に陥ってしまう。
逆に学力が伸びる子は、何をしていても勉強できるという姿勢を持っていることが多いです。理想は立ってでも、歩いていても勉強ができること。
勉強しやすいように広いスペースを用意してあげる…など、環境を整えすぎる必要はありませんし、かえってよくない結果につながることもあるので注意しましょう。
1年生や低学年のうちは、親が近くで宿題をみてあげることも多いと思います。
その際に親ができることは、その時間が楽しくなるように工夫すること。
ぜひ「どうやって理解させよう」ではなく、「どうやったら楽しいだろう」という発想に変えてください。
表情は基本。厳しく怖い感じではなく、やさしく楽しそうに。
また、「早く教えよう」と思うと端的に厳しくなりがちですが、急ぐ必要はありません。目の前のことを子どもにわかりやすく教えるには、モノを使いながら体験しながら教えると子どもは興味を持ちやすく、楽しくなります。
とはいえ、親も忙しいですよね。もし時間がなくて親自身が「楽しくできなさそうだな…」と思うときは、子どもに任せて放っておいてOKです!
親が入って楽しくなくなるなら、関わらない方がよっぽどいい、くらい割り切ってしまいましょう。
親としては、学生が勉強するのは当たり前と思うかもしれませんが、子どもは、純粋に「なんでボクだけ勉強やらなければいけないんだろう」と思っていたりするものなのです。
親も子どもと一緒に勉強や読書の時間を共有するというのは、勉強の習慣をつけるという意味でも、おすすめです。
子ども部屋でなく、リビング学習だからこそ、同じ学びを共有する時間を大切にしてください。
親と一緒に勉強する特別な日をつくったり、横で読書していたり…学ぶ親の姿を見せるということも有意義ですが、単純に子どもにとってパパやママと一緒に同じことをする、というのはうれしいものです。
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リビング学習でも、そうでなくても、大切なことは子どもが主体性をもって、楽しく取り組めること。そうすれば、自然とやる気もついてきます。
逆に、やる気を削ぐような言動は何であれすべてNG!
家族が共有する場であるリビング。ママとパパ、ほかの家族との間で、子どもが勉強しているときの見守り方、どんな配慮をすべきかなどを話しておけるとよりいいですね。
家庭教育アドバイザー TERU
幼児教育の講師。 1000人以上の子どもたちと関わってきた経験をもとに、0~12歳の保護者向けに知育、育脳、子どもとの接し方など家庭教育情報を発信している。登録者8万人超のYouTubeでは"子どもを成長させる"実践的な子育て動画を配信中。
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