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「心の強さ」を育む!ストレス過多時代の子育てとは

わが子の姿を「あたりまえ」ではなく「ありがたし」ととらえてみて!子どもへの関わり方が激変します

わが子の姿を「あたりまえ」ではなく「ありがたし」ととらえてみて!子どもへの関わり方が激変します
教育方法学の専門家・中山芳一先生と、これからの未来を生き抜くために必要な"強い心"のはぐくみ方を考える連載。今回のテーマは、親のとらえ方ひとつで見えてくる、子どものさまざまな素敵な姿について。それを親がしっかり見取ることが子どもの「心の強さ」につながっていくといいます。
目次

これからの時代にこそ求められる「心の強さ」

前回の記事では、"強い心"には自分の弱さを受け止めることが必要であること、また、子どもが自分という存在を受け入れることができるようになる、親のイメージトレーニングを紹介しました。

今回は、さらに「できない」も含めて"あるがままの自分"を子どもが受け入れられるようにするための、親の見守り方をご紹介します。教えてくださるのは、非認知能力研究の第一人者、岡山大学の中山芳一先生です。

子どもが見せるいろいろな姿を「あたりまえ」だとスルーしていませんか?

子育て真っ最中のCさんには、現在小学1年生(7歳)の子どもがいます。

Cさんに生意気な言葉遣いをしてみたり、カッとなって物を投げたりもします。決して「絵に描いたようなよい子」ではありません。それでも、彼はCさんをとても幸せにしてくれます。

平日は毎日7時35分になると「長い針が7になった!行ってきまぁす!」と小さい体にランドセルを背負って玄関から飛び出していくのです。Cさんは、そんな彼を「行ってらっしゃい!」と言って見送るのが幸福で大好きな瞬間だと言います。

そんなCさんは、この見送りのときにできるだけ「私は、この子の『行ってきます』をあたりまえだと思っちゃだめだぞ!」と自分に言い聞かせているそうです。

きっと、Cさんは、わが子が見せてくれるいろんな姿を「あたりまえ」にしていないのだと思います。

それは前回のように「いま、ここにいてくれるだけで…」と思うのもそうですが、例えば先ほどの「行ってきます」も、ごはんを食べた後に食器を片付けてくれることも、ハサミの持ち手をこちらへ向けて渡してくれることも…どれもが「あたりまえ」としてとらえてはいけないということなのです。

そう思うようにしてみると、きっと私たちはわが子のいろんな「ありがたし(当たり前の反対)」を見つけることができるでしょう。そして、私たちはそこに幸福感や感謝を抱くようになるでしょう。

"ありがたし感度"が上がったら、子どもに反応を返そう

みなさんの"ありがたし感度"が上がったとき、きっとみなさんは子どもたちのあたりまえではない、とても貴重でステキな姿をたくさん見つけていることでしょう。その姿について、ぜひお子さんにも返してあげてください。

「すごいねぇ!」でも「ありがとう!」でも「うれしいわぁ!」でもいいですから、あんまり難しく考えずにできるだけその時その時に返してあげてください。もちろん、言葉かけではなくて笑顔でも拍手でもOKです。

そんな風に自分のことを見てくれている大人が身近にいることで、今度はお子さんの方が幸せな気持ちになれるでしょう。

前回の記事では、「折れない心としなやかな頭」の一番素地になることについてお話ししました。

今回はその「できるーできない」ではなく「自分はここにいていいんだ」という素地の上に、「いろんな『できる』があるんだ」という感覚をのせることができました。

お子さんの「できる」には、いろんな「できる」があるのですが、ついあたりまえにして見逃してしまいがちです。

特別な何かができるときだけ親が見ているのではなく、いろんな「できる!」を親はしっかり見てくれているんだと子どもに感じてもらいましょう。自分の親がそんな風に見てくれていると感じられたら、子どもは安心して自分の弱いところをさらけ出し、甘えることができるようになっていきます。

それが真の"強い心"へとつながっていくのです。

ぜひ、"ありがたし感度"を上げてお子さんのたくさんの「できる」を見つけ、そのあとにお子さんへ返してあげてくださいね!

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執筆者

岡山大学准教授 中山 芳一

1976年岡山県生まれ。岡山大学 全学教育・学生支援機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中高学生の各世代の子どもたちが非認知的能力やメタ認知能力を向上できるように尽力している。9年間没頭した学童保育現場での実践経験から、「実践ありき」の研究をモットーにしている。『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(ともに東京書籍)ほか著書多数。最新刊は監修をつとめた『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』(東京書籍)。

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