母が生きていた頃、一度だけ一緒に訪れた居酒屋がありました。 ワイン好きだった母にしては珍しく、赤提灯が灯る気取らない店で、ふたりで焼酎を楽しんだのを覚えています。
そのとき母がふと「ここの居酒屋、いいお店ね。特にこの焼酎…」とつぶやき、私も「そうだね」と笑ったことが、なぜか心に残っていました。
数年が過ぎ、母は難病で帰らぬ人に。 毎日塞ぎ込んで仕事もままならない日々が続いたある日、ふと思い立ってその店を訪ねてみました。
すると、たった一度会っただけのマスターが私の顔を覚えていて、「久しぶりだね、お母さんは?」と声をかけてくれたのです。
事情を話すと、マスターは寂しそうに「お母さん、あれから何度も一人で来てくれてたんだよ」と教えてくれました。 さらにマスターは、母が気に入っていたあの焼酎についても「実はあの焼酎、本来は置いてなかったんだけど…お母さんが気に入ってくれてね。それ以来、こっそり仕入れてたんだよ。きっと気を使うと思って、本人には言わなかったけどね」と笑いながら話してくれて…思わず胸が熱くなりました。
そして、マスターはそっと二杯の焼酎を出してくれました。 それは、母と一緒に飲んだ、あの懐かしい味。 お通しもお箸も、二人分きちんと用意されていて、言葉にできない温かさが胸にじんわりと広がりました。
悲しい気持ちが少しだけ和らぎ、今でも母が恋しくなると、あの居酒屋へ足を運んでいます。 (女性/30歳/会社員)
大切な人との思い出は、時間が経っても色あせないものですよね。 そんな記憶を大切にしてくれる誰かの優しさに触れると、心がじんわり温かくなります。
あなたの周りにも、ふと心に残るやさしい出来事はありますか?
※こちらは実際に募集したエピソードをもとに記事化しています。
おやこのへや編集部
心も体も大きく成長する幼児期から小学生の子どもたち。一人ひとりの個性が出てきて、子育てに悩むことも多いこの時期を、おやこで楽しく過ごせるよう、ヒントになる情報を発信していきます。
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