前回、子どもの非認知能力を伸ばすための親のかかわり方として、わが子の素敵な場面をキャッチするために「子どもが何気なくやっていることをほめる」「わが子の姿をプラスのとらえ方で受け止める」ということが大切だと中山先生に教えてもらいました。
また、わが子の行動をどのような"意味のある姿"として見取るのかは、親の主観であり、否定的にとらえずに肯定的にとらえる「リフレーミング」という認識の方法を知りました。
今回は、この「リフレーミング」を日常生活でより実践的に行うためのポイントをお伺いします。
よく親御さんから「ついわが子の良くないところばかり見えてしまって、良いところが見えないんです」とお困りのご相談を受けることがあります。
この困りごと…
実はいわゆる「いいとこさがし」ができないというだけではなく、子どもの同じ場面の同じ姿であっても、「良いこと」として肯定的にとらえるのではなく、「良くないこと」として否定的にとらえているから起きてしまっている場合があるんです。
よく言われる「ポジティブ(肯定的な)思考」と「ネガティブ(否定的な)思考」の関係と同じ意味合いですね。
わが子をどうとらえるのか、自分自身の人生をどうとらえるのか…
言うまでもなくポジティブにとらえられればベストでしょうが、「ポジティブ…ポジティブ…」と自分に暗示をかけてポジティブになることができれば苦労しません!じゃあ、どうすれば!?
今回は、わが子の姿をとらえるときにネガティブからポジティブへリフレーミング(ひっくり返す)するためのポイントをご紹介します!!
…って、これが一番難しいかもしれませんね。
特に親子のような家族間では(心理的な)距離も近いから、最も感情が出やすい関係ですし…。家の外に出ても冷静で理性的になり、家に帰ってきても同じようにというのではストレスもたまりそうです。
なので、決して無理することなく、わが子の前で「ちょっと感情的になっちゃってるな私」と気づくことができて、そこから深呼吸の一つでもできるぐらいの心のゆとりだけは持っておいてください!
次に、感情的になるならないは置いておいて、親が自分の中で子どもに向けてしまっている期待や要求が「ムチャぶり」になってしまっていないかをご自身でチェックしてみてください!
これは、先ほどの感情のコントロールよりは楽にできるはずです。
例えば、3~6歳の幼児期ど真ん中は「自己中(ジコチュー)」まっしぐらです。それなのに、過度なガマンや過度な気遣いを求めることは、まさにムチャぶりです。
さらに、遊びたい盛りの時期なのに、家にこもって「勉強勉強」なんていうのは、もっとムチャぶりですね。
私などは、できの悪い子ども時代だったので、よく当時の自分と比べてあの頃の自分にできもしなかったことをわが子へ押し付けるような真似はいたしません。しかし、優秀な子ども時代を過ごされた方には、あまりこの方法は使えないかもしれませんね。
そこで、「子どもは私(親)のモノじゃないんだからムチャぶりしない!そして、私(親)自身もムリをしない!」ということを念頭に置いておくのはいかがでしょう?
ここは、みなさんの子育てマインドセットそのものになりますので、努力が必要なところだとご理解ください。
あとは知識を身に付けていきましょう!簡単に言えば、反対の意味の対義語を見つけるための「言葉遊び」です。
否定的な言葉を肯定的にひっくり返すとどんな言葉になるのか…これらを知識として持っておけば、頭の中の引き出しにあらかじめ用意しておくことができますもんね。
例えば
あつかましい→積極的
神経質→きめ細かい
あわてんぼう→素早い
悔しがり→負けず嫌い
ガンコ→意志が強い
…などとひっくり返せそうです。
これらをあらかじめ用意しているのとしていないのとでは、リフレーミングするときにかかる労力もだいぶ変わってきますのでおススメしておきます。
このように、3つのポイントとしての感情とマインドセットと知識を上手に使って、わが子のいろんな姿を肯定的にとらえてみてください。
きっとますます子育てが楽しくなるはずです!!
岡山大学准教授 中山 芳一
1976年岡山県生まれ。岡山大学 全学教育・学生支援機構准教授。専門は教育方法学。大学生のためのキャリア教育に取り組むとともに、幼児から小中高学生の各世代の子どもたちが非認知的能力やメタ認知能力を向上できるように尽力している。9年間没頭した学童保育現場での実践経験から、「実践ありき」の研究をモットーにしている。『家庭、学校、職場で生かせる!自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(ともに東京書籍)ほか著書多数。最新刊は監修をつとめた『非認知能力を伸ばすおうちモンテッソーリ77のメニュー』(東京書籍)。