アレルギーを持つ子の心を支える。制限ではなくできることに目を向ける。

アレルギーを持つ子の心を支える。制限ではなくできることに目を向ける。
お子さんに食物アレルギーがあるとわかったとき、親はたくさんの「ダメ」という言葉で子どもを守らなければならなくなります。お友だちと同じおやつを食べられないさみしさ。食べ物への不安と隣り合わせの毎日。でもその「制限」の中にいても、子どもの世界を豊かに広げてあげることはできます。今回はアレルギーを持つ子の心を、どう支えていけばいいかを考えます。
目次

1. 「かわいそう」ではなく「特別な個性」

私たちはアレルギーを持つ子に対して、つい「あれもこれも食べられなくてかわいそうに」という、同情の眼差しを向けてしまいがちです。

でもその「かわいそう」という言葉は、子どもの心に「自分は他の子とは違う可哀想な存在なんだ」という、セルフイメージを植え付けてしまうかもしれません。

アレルギーはその子の特別な「個性」の一つです。 背が高い、絵が上手というのと同じように「卵を食べると特別な反応が出る体質なんだね」と、親がまず事実として淡々と、そして肯定的に受け止める。

そのどっしりとした態度が子どもの心を強くします。

2. 「食べられないもの」より「食べられるおいしいもの」探し

アレルギーがある子の食生活を豊かにする秘訣。 それは「食べられないもの」を数えるのではなく「食べられるおいしいもの」を、おやこで探すことです。

最近はアレルギーに対応したおいしいお菓子や食品もたくさんあります。 「今日はこのお店に新しいおやつを探しに行こうか!」と、宝探しのように楽しんでみる。

例えば「小麦」のアレルギーであれば、米粉を使ったケーキを一緒に手作りするのも素敵です。

そのクリエイティブな時間が、子どもの「制限」されているという感覚を吹き飛ばしてくれます。

3. 自分の体を自分で守る「ヒーロー」になる

自分のアレルギーについて理解が進んできたら、子どもを「自分の体を守るヒーロー」に任命してあげましょう。

「あなたは自分の体の最高の見張り番なんだよ。知らない食べ物があったら必ずママ(パパ)に『これ大丈夫?』って聞きに来てね。それがあなたの大切なお仕事だよ」。

そう伝えることで、子どもはただ親に守られるだけの弱い存在ではなくなります。 自分の体を理解し、自分の意思で危険を回避するという、主体性と責任感が育つのです。

4. 気持ちは我慢しない。「悲しい」「悔しい」も全部話す

いくら前向きに捉えていても、やはり悲しい思いをすることはあります。

お誕生日会でみんなが同じケーキを食べているとき。自分だけが違うおやつを食べなければならない、その寂しさ。

その悔しい、悲しいという気持ち。 それを親は「わがまま言わないの」と抑えつけるのではなく「そっか、悲しかったね。本当はみんなと同じのが食べたかったよね」と、丸ごと受け止めてあげましょう。

自分のネガティブな感情も安心して話せる場所がある。そのことが子どもの心の安定に繋がります。

5. アレルギーがあっても「できること」は、無限にある

食べ物に制限があるからといって、その子の人生の全てが制限されるわけではありません。 親が意識して、食べ物以外のその子の「できること」や「得意なこと」に、光を当ててあげましょう。

足が速いこと。ブロックですごいものを作れること。いつもニコニコして周りを明るくすること。

「あなたはアレルギーがあるけど、それ以上にこんなにたくさんの素晴らしい宝物を持っているんだよ」

その力強いメッセージが、アレルギーという一つの個性と上手に付き合う。 そして、自分らしく輝いて生きていく子どもの自信を育てます。

まとめ

アレルギーは、その子の一部ではあっても全てではありません。

たくさんの「できないこと」の中に、たった一つの「できること」の輝きを見つけてあげる。 そしてそれを、おやこで思い切り楽しむ。

その前向きな眼差しが、お子さんの心を誰よりも強く、そして豊かに育ててくれるのです。 もちろん体調に関わる心配なことがあれば、必ずかかりつけのお医者さんに相談しましょう。

ライター / 監修:でん吉(保育士)

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執筆者

保育士 でん吉

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