保育士が教える!おもちゃの取り合いをすぐ止めない方がいい理由と、子どもの考える力を伸ばす接し方

保育士が教える!おもちゃの取り合いをすぐ止めない方がいい理由と、子どもの考える力を伸ばす接し方
児童館や公園で我が子がお友だちのおもちゃを奪い取ろうとする。 「ダメでしょ!返しなさい」と慌てて引き離した経験は誰にでもあるはずです。 「意地悪な子になったらどうしよう」「相手の親御さんに申し訳ない」 その焦りは痛いほどわかります。 しかし、私たち保育士はよほどの危険がない限りすぐには止めに入りません。 おもちゃの取り合いこそが社会性を学ぶための「交渉のレッスン」であり、大人が奪ってはいけない貴重な成長の瞬間だからです。
目次

1. 「自分と相手は違う」と知る大切なきっかけ

1〜2歳の頃は、まだ自分と周りの境界線がはっきりしていません。 目に見えるおもちゃは、すべて自分のもののように感じている時期です。

そこに「貸してくれないお友達」が現れて、初めて「欲しいのに手に入らない」「取られて悔しい」という葛藤を経験します。 この経験を通して、子どもは「自分とは違う気持ちを持ったお友達がいるんだ」ということを実感していきます。

おもちゃの取り合いで泣いてしまうのは、決してかわいそうなことばかりではありません。 思い通りにならない相手とどう関わるかを学ぶ、社会性を育てるためのとても大切なステップなのです。

2. すぐに仲裁に入ると、自分で考えるチャンスを逃すことも

子ども同士が揉め始めると、大人はつい焦って「貸してあげようね」「順番こにしよう」と間に入ってしまいがちですよね。 ですが、大人がすぐに正解を出してしまうと、子どもは自分で解決する方法を考える機会を逃してしまいます。

保育の現場では、手が出そうになる瞬間や本当に困り果てるまでは、少し離れてじっと見守ることも多いです。 見守っている間、子どもの頭の中では「どう言えば貸してくれるかな」「どうやって自分の分を守ろうかな」と、一生懸命考えています。

トラブルは、子どもが自分で考える力を育てるチャンスでもあるのです。

3. 「今は貸したくない」という気持ちも尊重する

「お友達に『貸して』と言われたら、気持ちよく貸してあげるのがいいこと」と大人は教えがちですが、夢中で遊んでいる最中に「貸したくない」と思うのは、とても自然な感情です。

だからこそ、「今はまだ使いたいんだよね」という子どもの気持ちも、まずはしっかり受け止めてあげることが大切です。 貸せないことを叱るのではなく「今使っている最中だからね」と本人の気持ちを認めてあげること。

自分の気持ちを受け止めてもらえた安心感があるからこそ、やがてお友達の「貸してほしい」という気持ちにも寄り添えるようになっていきます。

4. 大人は善悪を決める係ではなく「気持ちの通訳」に

どうしても間に入る必要があるときも「どっちが悪かったの?」と白黒をつける必要はありません。 大切なのは、まだ言葉でうまく伝えられない子どもたちの気持ちを代弁してあげる「通訳」になることです。

「それで遊びたかったんだね」「でも、急に取られたらびっくりしちゃうよね」と、お互いの気持ちを言葉にして伝えてあげます。 お互いの気持ちが分かると、子どもたちは落ち着きを取り戻し「これが終わったら交代ね」「こっちのおもちゃならいいよ」と、自分たちで譲り合う姿を見せてくれるようになりますよ。

5. ぶつかり合う経験が、相手を思いやる力を育てる

おもちゃの取り合いで本気でぶつかり合った後、不思議と前よりも仲良く遊び始めることがありますよね。 喧嘩ができるのは、それだけお友達に関心を持ち、関わろうとしている証拠でもあります。

大人が先回りして揉め事をすべて避けてしまうよりも、小さないざこざを経験するほうが、子どもは多くのことを学びます。 思い通りにいかない悔しさや、気持ちを伝え合う経験を重ねることで、相手の気持ちがわかる優しい子へと育っていきますよ。

まとめ

おもちゃの取り合いが始まると、見ている親御さんはハラハラして落ち着かないですよね。 ですが、その小さな揉め事の中には、大人が言葉で教える以上の学びがたくさん詰まっています。

手が出そうな危険がないときは、すぐに止めずに、深呼吸して10秒ほどそっと見守ってみてください。 子どもたちが自分なりに考えて折り合いをつけようとする姿に、頼もしい成長を感じられるかもしれませんよ。

ライター / 監修:でん吉(保育士)

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執筆者

保育士 でん吉

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