中学時代、部活動に励んでいたときのことです。 ある日の練習中、私はあろうことか校長先生の頭にソフトテニスのボールを当ててしまいました。
わざとではないとはいえ、相手は校長先生。 ぶつけたことはばっちり気づかれているはずなのに、当時の私は申し訳なさすぎて、どうしても謝罪の言葉が出てきませんでした。 それからは、先生が部活の様子を見に来てくれても気まずくて顔を合わせることができませんでした。
そんなあるときのことです。 校長先生が足を怪我されたようで、とても歩きづらそうにしている姿を見かけました。 先生はそのまま階段を下りようとしていたのですが、ふと見ると、階段の一部が濡れていることに気づいたんです。
「このままだと、先生が滑って転んでしまうかもしれない!」
そう思った瞬間、気づけば体が動いていました。 私は先生のところへ走っていき、手に持っていた雑巾でその階段を無心に拭きました。
校長先生は私の突然の行動にびっくりした様子でしたが、すぐに私の名前を呼んで「ありがとう」と感謝してくれました。 私は先生が自分の名前を覚えてくれていたことにものすごく驚いてしまって…。 お礼に対しても軽くうなずくだけで、また逃げるようにその場を去ってしまいました。
それから数ヶ月が経ち、校長先生が定年退職される日のことです。 なんと先生は、わざわざ私の家まで足を運んでくださり「どうしても君に渡したくて」と、一通のお手紙を届けてくれたのです。
そこには「ボールのことは気にしないでね。これからも、その優しい心を持って成長してね」という温かいメッセージが綴られていました。 あんなに気まずくて避けていた私のことを、先生はずっと温かく見守ってくれていたようです。
(女性/32歳/会社員)
※こちらは実際に募集したエピソードをもとに記事化しています。
おやこのへや編集部
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