子どもはお化けや妖怪といった怖いものが苦手な一方で、心のどこかで強く惹かれる好奇心を持っています。 それは、自分たちの知らない未知の世界への興味に他なりません。
温かいお布団の中や、親の腕の中という絶対に守られている環境があるからこそ、子どもは安心して恐怖という感情を味わうことができます。 安全な場所から少しだけ危険な世界を覗き込むスリルは、子どもにとって最高のエンターテインメントになります。
少し怖いお話には、実は大切なメッセージが込められていることが多くあります。 約束を破ってはいけない、暗い夜道に一人で出歩いてはいけないといった、生活の中のルールや道徳的な教訓です。
親が日常で厳しく言い聞かせるよりも、物語の少し怖い展開を通じて伝えることで、子どもはその意味を深く心に刻み込みます。 怖いという感情がスパイスとなり、大切な教えが自然と内面化されていくのです。
怖いお話を聞いているとき、子どもの脳内では想像力がフル稼働しています。 影の形や風の音から、目には見えない存在の姿や気配を一生懸命に頭の中で描き出しているのです。
見えないものを想像する力は、やがて他人の気持ちを思いやる力や、まだ起きていない未来を予測する力へと繋がっていきます。 暗闇の中で広がる恐怖は、豊かな想像力を育むための最高の土壌となります。
物語の途中で怖くなって目をギュッと瞑ったり、布団を頭まで被ったりすることもあります。 それでも、お話の結末がどうなるのかを知りたくて、最後まで耳を傾ける。
この自分の中の恐怖心と戦いながら物語を見届けるプロセスが、困難に立ち向かう勇気の種になります。 怖かったけれど最後まで聞けたという小さな成功体験は、現実世界で未知の壁にぶつかったときの心の強さに変わります。
怖いお話が終わり、現実の世界に戻ってきたとき、隣にはいつも通り優しい親がいて、自分は安全な布団の中にいるという事実を改めて確認します。
この恐怖からの解放と、絶対的な安心感のコントラストが、子どもの心を深くリラックスさせます。 ドキドキした心がホッと安心に包まれることで、結果的に心地よい深い眠りへと導かれることも少なくありません。

寝る前に怖いお話を読むことに抵抗を感じてしまうのは、あなたが親として、子どもの穏やかな眠りと健やかな心を何よりも大切に守ろうとしているからです。
しかし、安全な環境で擬似的に恐怖を体験することは、子どもの心をしなやかに強くしてくれます。次に寝る前の絵本を選ぶときは、ほんの少しだけ背筋が伸びるような不思議なお話を手に取って、おやこで一緒にドキドキする冒険の時間を楽しんでみてくださいね。
ライター / 監修:でん吉(保育士)
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